ながひさありか
2025-07-05 04:37:14
18127文字
Public STR-Phaidei
 

#23570001:かつての見知らぬ人

・3.4/ヒアンシーの説得後、自分の中に芽生えた「なにか」を確認したくなり、今まで決して選ばなかった、「子どものころのモーディスをステュクスから拾い上げ、育てて、手放し、輪廻を終了させる」話。すべてが「ない」、ご都合、捏造満載。
※「最初の二人はパートナー関係にあった」と言う前提で書いていますが、拾った子どものモーディスにカスライナ(=永劫回帰終了後のファイノンと同一人物となる、と解釈しています)は恋愛感情は抱きません。歪な師弟関係と感じており、あくまで、大人になってからの彼にのみ恋愛感情が発生しますが、気になる場合は読まないほうがいいです。
※原作の各種資料等の個人解釈、曲解、設定捏造が大量に含まれており、個人の感情整理の話です。



 こうなることが分かりきっていたのに、もう流れないと思っていた血が全て流れて行ってしまうような最悪の気分だった。
 やはり余計な真似はするべきじゃない。

 今回創世の渦心へ「ファイノン」と共に最後まで今回辿り着いたのは、よりにもよってメデイモスだった。
 いつか見たように、眼前で「ファイノン」とメデイモスが最後の言葉を交わし、かつて対峙したように僕の前で拳を構える。

 やっぱり君は剣を捨ててしまうのか、と変わらなかった結末に落胆し、それと同時に、ようやく僕の知る彼になったのだと……奇妙なことに、少し、安堵していた。
 きっと僕は、君を捻じ曲げてしまうのが恐ろしかったのだろう。
 君は僕なんかには侵されない、いつだって、まっすぐに前だけを見て、君の信念と想いを抱えて、真面目に、頑固に、融通が利かない人生を歩む。
 傲慢で尊大なふりをしておいて、いつでもずっと他人のことばかり考えている、わかりづらくて、優しい男だった。
 君は今でも甘いものが好きなのかな。きっとそうだろう、あの家で僕に作ってくれたおやつやデザートは、もう僕には殆ど味なんてわからなかったけれど、とにかく甘いことだけはわかったから。

「来い!」
 
 拳を構えた絶対王者と相対する。死を前にしても、君の瞳には一切の怯えもない。かつて10万8642回目の君が僕に尋ねたように、心の中で「今日まで一度もない」と呟く。

 君を長く苦しませはしない。
 必ず一撃で貫き、君の不死の呪いを終わらせる。

「さようなら、メデイモス」

 ――2357万1回目の輪廻はこれで終わりだ。
 もう二度と、こんな馬鹿な真似はしない。

 絶対に。
 
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