ながひさありか
2025-07-05 04:37:14
18127文字
Public STR-Phaidei
 

#23570001:かつての見知らぬ人

・3.4/ヒアンシーの説得後、自分の中に芽生えた「なにか」を確認したくなり、今まで決して選ばなかった、「子どものころのモーディスをステュクスから拾い上げ、育てて、手放し、輪廻を終了させる」話。すべてが「ない」、ご都合、捏造満載。
※「最初の二人はパートナー関係にあった」と言う前提で書いていますが、拾った子どものモーディスにカスライナ(=永劫回帰終了後のファイノンと同一人物となる、と解釈しています)は恋愛感情は抱きません。歪な師弟関係と感じており、あくまで、大人になってからの彼にのみ恋愛感情が発生しますが、気になる場合は読まないほうがいいです。
※原作の各種資料等の個人解釈、曲解、設定捏造が大量に含まれており、個人の感情整理の話です。


 
 家を出る前日、新たな嘘をつくことにした。僕が祈っている、と口にした瞬間に真実になる嘘だ。
 きっと彼はもう、自分をステュクスから拾い上げ、育てた男の顔は覚えていないだろう。クレムノスにたどり着くまでの三日の間、彼は霧の中で迷い、きっと、一度か二度は死んでしまうだろうし、そこで意識が混濁したと「わかって」くれる筈だ。
 彼はいつか「ファイノン」と出会ってしまう。その運命を止める術はもう僕にはない。

 あの日、詭術でかつての自分の姿を再現したことを今になって本当に後悔していた。
 救世主になりたいと戯言をぬかす人間はこの世に数多といるが、姿かたちの全く同じ別の人間が、この世に複数人いるわけにはいかないのだから。

 火追いの旅に同行し、「ファイノン」を同胞として歩む輪廻は幾度も失敗している。
 もうあんなことは二度としないと決めている。
 
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