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あいづき
2025-07-04 16:17:04
Public
創作
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人物 ✕ キーワード
短文を五月雨式に
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女の勘?
一応中学教師という職業柄、あまり強い香りを纏うことをしてこなかったけどたまにふと香る瞬間があることを理解している。その香りも毎回同じではないから、特に女子生徒はその差に敏感で「先生彼女変わった?」とか特に悪気も無く思春期特有の最強感で突っ込んで聞いてくることもある。聞かれる度にどうかなぁとへらりと笑ってやり過ごしていたのだけれど、そこで変わったのが香水ではなく彼女かどうかを聞いてくることに気付いて、ふとこちらの好奇心も湧いた。
たまにはこちら側から質問をしてもいいだろう。教わるのは何も生徒だけじゃないし、教師こそ若い子の流動的な常識について行かないとすぐに置いて行かれてしまうのだから。まあ、今自分の疑問に関してはまた毛色が違うけれど。あと単純に俺が生徒にナメられてる自覚はある。常に低空飛行をしているから、生徒からしても話しやすいんだろう。パッと思い浮かぶだけでも渥美先生に話すと言葉以上に真面目に捉えられ手生徒指導みたいな空気になったり、顔の良い嗤哂先生には話しかけるのも躊躇ったり、待雪先生の雰囲気に呑まれて軽口は叩けない生徒達は多いだろう。多分、俺はそのどこにも属さず、何でも言っていい人間に分類されている。そもそも必修科目の教師じゃない上に、クラス持ちでもないのも大きいんだろう。接する機会が少ないから、生徒からの興味も薄い。
逆に言えば俺に興味を持つ生徒なんて美術部の中の真面目な生徒くらいのものだから、聞いてくる生徒も必然的に美術部に所属していることになるんだが。だから、こちらも気安いというのはある。
今日も聞かれたから、どうかなぁと言わず口を開く。
「ねぇ、なんで毎回女が変わったのか聞くの?」
絵筆を動かしていた手を止めた女生徒はうーんと視線だけ上に一瞬向けて、こちらに視線を向ける。
「だって、宇津木先生っていつもお姉ちゃんがつけるような甘い匂いさせてるから」
「そんなに分かる?」
「分かるよ。だって先生は男の人だからそういうの買わないだろうし。土日に出て来る時しかそういう匂いさせないからさ」
何とも言えない顔をした自覚が、ある。
男の人だから、は、中学生にしては少しだけ幼稚かなと思ってしまったけど、その後。土日しかそれを感じない、という言葉。
実際それは正しい。テキトーな女を引っ掛けるのは大体週末だから。
「でもさ、なんでそれが女が変わるって話になるわけ?」
「ええ、まだ聞くの? 先生って悪い男っぽーいと思ってるだけだよ」
「失礼過ぎない?」
「大丈夫大丈夫。先生が犯罪犯してもあの人はいつかやると思ってましたって言ってあげるから」
「教室閉めようか?」
「やだー! 職権濫用!」
「こっちからしたら名誉毀損なんだけど」
事実だから、別に何も損害を被らないのが怖いところなんだが。
でも、もう少しだけ気を付けようと改めて思うには十分だった気がする。火のない所に煙は立たないとも言うし、その火を捏造する悪意はどこにでも転がっているのだから。
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