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あいづき
2025-07-04 16:17:04
Public
創作
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人物 ✕ キーワード
短文を五月雨式に
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あまりいい話ではなくなってしまった。
ほんのり暴力があるよ。
許せる人だけ読んでね。
一応下げておくからね。
約束
からりころりと、ゆっくりとした足取りで下駄が石畳を叩く音が風鈴の音に混じって響く。昼間の茹だるような暑さは少々鳴りを潜め、山から降りる風はうっすらと汗ばんだ肌を冷やす。
今日は地元の神社で納涼祭が行われるために、弟に連れ出されている。私に拒否権はなく、いつの間にか新しい浴衣も仕立てられていた。白地に古典的な蝶をあしらった、シンプルなもの。帯は黒く、帯留めには濃い紫のとんぼ玉。同じ系統のものを簪にもあてがい、弟の腕にも帯留めと同じとんぼ玉が光る。
どこまでも、自分のものだと主張をしたいのだろう。
いつだって、子供のような独占欲と支配欲を隠さない。
今までそれが正しい行いなのだと、私本人も思っていたから享受して来てしまったことが間違いなのだとも分かっている。それを断ち切れていない事も、理解している。
怖いのだ。
私が拒否をし続ける事で、何も知らない末の弟に土岐家の全てを知られる事が。けれど、このままでいいとも思っていない。家を出たからこそ、余計に目の前の弟は支配欲を強くした。世間一般で言うストーカーにも似た行為を繰り返し、弟と言う立場を利用してアパートにまで入り込んだ。今日も、待ち構えていた弟にまるで拉致されるかのように車に押し込められるところから始まり、ここに来ている。
「
……
姉さん、覚えてる?」
ふと、弟がこちらを振り向き微笑んだ。
「この後花火が上がるけど、その時神社の裏側に回って、二人だけでその花火を見たこと。その時、ずっと一緒だって指切りしたこと」
ねえ、覚えてる? 私の手を取りながら重ねて問い掛ける弟の顔は、微笑んでいるのにその瞳には明確な憎悪が滲んでいる。どう答えたところで、次の返事は暴力なのだと言っている。ならば、少しだけマシな方を選択するべきなのだというのも分かる。
「
…………
覚えてる。だからこの帯留めを指定したのも、分かってる」
「分かってるなら良いんだ。覚えてるなら良いんだ。最近の姉さんはずっとずっと俺に反抗的だから、全部忘れたかと思った」
「そんな────」
そんな事はないと言う前に、弟の手が私の首を掴んで物理的に言葉は途切れた。
「忘れてないのに、おかしいだろ。姉さんは俺のだ。他の何処にもやらない。他の誰にも触れさせない。このままずっと一緒に居るんだよ、約束したんだからさ」
それだけ言うと、ふっと力を緩めて酸素を求める私の呼吸を奪いにかかる。まだマシな方だと思いながら、力が入らず抵抗もままならない。
後ろで花火が大きく花開き、二人の影を地面に映しては消えていく。
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