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アッポーの本棚
2025-07-04 09:47:50
11888文字
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崩壊世界の復讐劇
🩵🐏が初めて『崩壊』に遭う話
軽度の流血表現があります、メリバです
会話の中だけですがナリンデルが死んでます
※この話に登場する『お兄さん』の性格と展開はみずちーさん(@/mizuchi2015)の小説
『そして罪人は救世主の夢を見る 』
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18802599
からお借りしました
(本人には事前に許可&確認済みです)
先に上記の小説を読んでから読むことをおすすめします。
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これは昔の話なんだけど
…
ボクが旅を始めてすぐの頃、気まぐれにひとつの世界線にやってきた。
そこでボクは、大きな『
僕
子羊
』と会ったんだ。
大きな『僕』は、外の世界からやって来た『
世界の迷い子
ロストレン
』のボクを温かく受け入れてくれた。
性別は分からなかったけど、ボクは『お兄さん』と呼んで慕っていた。お兄さんもそれでいいって言ってた。
それ以降、ボクはその世界によく遊びに行くようになった。
お兄さんはボクが遊びに来ると、よくお茶とお菓子を出してくれた。
でもたまに、ベリーを使った飲み物を出してくれる時があった。
「
…
これなーに?」
「ベリーが沢山収穫出来たので、シロップを作ってみたんですよ」
「シロップ?」
お兄さんは「これですよ」と大きな瓶に入ったベリーシロップをボクに見せてくれた。
「氷砂糖とベリーを交互に入れ、しばらく冷やせばベリーの水分で氷砂糖が溶けてこのようになるのですよ」
と作り方を教えてくれた。
あの沢山の氷砂糖を、1粒1粒が小さいベリーの水分だけでこんなに溶けるんだとボクは興味津々にシロップを眺めた。
シロップは濁りのない艶やかな美しい赤い液体で、水分を出し切ったベリーが浮いている。
それを炭酸水や水で割って飲む
……
物らしい。
シロップを炭酸水で割ったベリージュースを飲んでみると、炭酸水のあの無味無臭はなく、ベリーの上品な香りと氷砂糖とベリーの甘酸っぱい味がボクの舌を刺激した。
「美味しい!」
ボクは思わず声を出した。お兄さんの方を見ると、ふふっと口が笑っていた。 ボクはシロップの瓶を見て答える。
「ねぇ、これ牛乳に入れても美味しそうじゃないかな!」
「そうかもしれませんね」
とお兄さんは笑いながら返す。ボクはねぇねぇとお兄さんに尋ねた。
「これ、ボクも作ってみたい!」
「ええ、いいですよ」
お兄さんは頷くと、どこからか小さなメモ用紙を取り出しボクに渡してくれた。
そこにはベリーシロップのレシピが事細かく丁寧な字で書かれていた。
「
……
いいの?」
丁寧に書かれていて、相当大切な物なのだろうに、こんなに呆気なく他の世界から来たボクに渡していいのかとちょっとだけ怖くなった。
「
……
大丈夫です。私にはもう必要ないので」
しかしお兄さんはボクの様子に何も動じずそう答えた。
「
……
うぅん、ありがとう!頑張って作ってみる!」
ボクは息を飲み、お兄さんにお礼を言った。
お兄さんは「頑張ってください」と答えた。
よく見れば、お兄さんの部屋は、花瓶やドライフラワーや鉢植えと、植物でいっぱいだ。ボクはクッキーを食べながらそう感じた。
部屋だけじゃない。教団の外も、お花で沢山だった。
……
特に、夜闇の森に咲いてる『ツバキ』が花壇に沢山咲いていた。
「
…
お兄さんは、花が好きなの?」
ボクはふと尋ねてみた。
シロップの瓶を保管していたお兄さんはしばらく思案すると「そうですよ」と頷き
「私は自然が好きなので」と理由を説明した。
「特に夜闇の森に咲いてるあのツバキの花が好きです」
「だから教団の花壇にはツバキが沢山咲いてるんだね!」
とボクは答えた。
実はと言うと、ボクもあの森のツバキの花が好きだ。
教祖だった頃は、ただ信者達の病気を治す為に栽培していただけで好きという自覚はなかった。
でも、世界の迷い子になる前、煉獄にいた頃にボクの墓にナリンデルが大輪のツバキの花束をお供えしてくれたのがきっかけでこの花が好きになった。
その事を話したら、お兄さんは少し顔を歪ませると「そうですか」と優しく微笑んでくれた。
お兄さんがなんでツバキの花が好きかは言わなかったし、ボクはあえて聞かなかった。
窓から教団の風景を覗いてみると、司教達を殺した記念碑が置いていなかったことに気がついた。
お兄さんが言うには、
疫病の司教
カラマール
を殺して、そろそろ
暴力の司教
シャムラ
を殺す予定らしい
……
だとしたら、カラマールまでの記念碑を建てれるはずだけど
……
素材が足りないと最初は思ったけど、周りの装飾品をよく見たら、大量の金の延べ棒やクリスタル、ツバキ等を利用する装飾品が沢山あった。
それに、食料とかにも余裕があるみたいだから、金貨にもさほど困ってないと思う。
……
何か理由があるのかな?ボクはそう思ったが、聞かなかった。
だって、ボクと話してる時、お兄さんはとても楽しそうだった。
それを壊したくなかったから。ナリンデルの事を話してたあの時も、お兄さんは顔を歪ませていたから。
それにボクも、お兄さんと話すと、とても楽しい気持ちになる。
だから、それでいいんだ。それで、いいと思った。
でも、そんな気持ちは、日々は、長くは続かなかったんだ。
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