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もち粉
2025-06-28 08:53:09
5666文字
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歌えカナリヤ、告げよヒバリ 中
シスヒスの話
シスヒスの過去を捏造してます
あとミスさんの隊を運営してます感を出したかった
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明けて五一〇年、春。
調査隊の帆船は、西方大陸にある港の一つに寄港した。今日一日は最低限の人員を船に残し、休日である。
パッタドルもリシオンとフレキを連れて下船した。
別にまだ仲の良い同期ができてないわけじゃない。囚人は看守がいないと下船が許可されないからだ。囚人といえども、たまには息抜きも必要だ。誰にともなく言い訳しながらも、思い切り背伸びをして港町の活気ある空気を吸い込む。
頭上に知らない花が咲いている。ふわりと甘い香りが漂ってきた。久々に降り立つ陸地は、しっとりとやわらかく、まだ体が揺れているような気がする。
三人で街をぶらぶら歩きながら、店先を冷やかす。麻薬中毒者のフレキがすぐに売人を探して薄暗い路地裏に行こうとするのを首を引っ掴んで止めながら、たまにはと屋台で軽食を奢ってやる。
「おめーもいいとこあるじゃんよー」
嬉しそうに唐辛子で真っ赤になった麺をすするフレキに、串焼きの肉にかぶりつきながらリシオンも答える。
「沖合に出ちゃうと、保存食ばっかだもんな。こんなん食べるの久々だ。ありがとな、パッタドル」
「そ、そうか。よく味わえ」
パッタドルも船上ではなかなか食べられない生野菜のサラダを食べながら、照れて顔を伏せる。執務室に通うようになってから、パッタドルの矛先がシスヒスにばかり向きがちなのもあるのか、この二人との関係は改善してきている。
しかしそれにしても。
「でもまあ、隊長来てから船の食事も多少マシになったよな」
「あれ、前任のやつが中抜きしてたらしいぜ」
「そういう所はちゃんとしてくれるよね、隊長」
「迷宮入ったら他の事は全然だけどな。前回だって方向音痴のくせに一人で先に先に行きやがるから、使い魔で追うのが大変だったぜ」
「
……
ふたりは、その、ミスルン隊長とは、元々近しいのか?」
聞けばミスルンが迷宮に潜る時は、二人も同行しているという。
それでか。執務室で仕事の手伝いというのに望んでついてきて、隊長、隊長、と懐いていると思った。
少しばかりの疎外感を覚えるが、今こうして三人でワイワイと過ごせるのは間違いなく執務室で過ごした時間のお陰だろう。
隊長も、下船されて少しは楽しまれたらよいのに。
今日も船内に残っているはずのミスルンを思った時、ふと花屋の店先に目が留まった。鮮やかに咲き誇る異国の花々の中、懐かしい花が咲いている。
故郷の花だった。
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