【用語解説】魔女の洞窟




“いいかい、町の東にある入り江には決して近づいてはいけないよ。

あそこの洞窟にはとても恐ろしい魔女が棲んでいて、
迷い込んできた子どもを捕まえては食べてしまうという話だからね”

✤概要

──────────────────
潮風ラプソディー。』第1部の主な舞台である港町から東へ向かった所にある入り江の洞窟。
メインキャラである洞窟組の5人が作中で出会った場所であり、その内の1人であるリリーは数百年前からこの空間に囚われ続けています。


✤構造

──────────────────
クリック(タップ)で開きます
入り江を抜けた先の岩場でひっそりと口を開けている海蝕洞。
内部のほとんどが海に半没しているためアイリスは人魚のまま洞窟の中まで泳いでくることが可能で、また、外の岩場と繋がる陸地も僅かに存在していることから、ノワたちも海に浸かることなく自由に出入りすることができます。



唯一リリーだけは足に巻きついている蔓のせいで洞窟内の一定の範囲から離れることができません。
普段は魔法で姿を隠しており、来訪者に気が付くと入り口付近の陸地や岩の上などに気まぐれに出現します。

洞窟内の天井はとても高く、間口も奥行きも広くて深いため、閉塞感や圧迫感はそれほど感じさせない印象。
特に奥行きに関しては入り口付近からは推測できないほど深く、リリーですら「最奥部がどのあたりなのかは私もよく知らない」と語っています。
海に面した巨大な入り口から外の光が射し込んでいるため、日中であれば自然光のみでもそれなりに周囲の様子を窺うことは可能……ではありますが、それでも確かめようがないほど洞窟の奥は暗く、複雑に入り組んでいるようです。


✤伝説や噂

──────────────────
クリック(タップ)で開きます

魔女伝説

「洞窟には恐ろしい魔女が棲んでいて、迷い込んだ子どもを捕まえては食べてしまう」という、港町の住民の間で最もよく知られている話。
リリーが洞窟に囚われるよりも遥か昔から言い伝えられてきた話なので、ここで語られている「魔女」はリリーのことを指しているわけではありません。(元々魔女の伝説があった場所に偶然本物の魔女が居ついてしまったという時系列……

古くから、この洞窟がある岩場は水難事故が多発する危険な場所でした。地形の関係上強い風が吹きやすく、海水に濡れた不安定な岩場で足を滑らせて怪我をする人間が後を絶たなかったのです。
加えて水深も深く、潮の流れも速いため、ひとたび水に落ちてしまうとあっという間に波にさらわれてしまう。……そうして溺れた人間の死体が頻繁に流れ着く先が「魔女の洞窟」だったようで、「岩場の付近で姿を消した者が、洞窟の奥で死体になって発見される」という事象を「洞窟に潜む恐ろしい怪異の仕業だ」と当時の人々が解釈したことが、この伝説の由来になったとされています。

やがて港町ではこの話を「危険な岩場へ近付かせないためのお伽噺」として、大人から子どもへ語り聞かせるようになっていきました。
おかげで、港町で生まれ育った人間は誰もが一度はこの話を耳にしたことがあります。ですが本気で魔女の存在を信じているのは幼い子どもくらいで、一般的なお伽噺と同じように、年齢を重ねていくにつれ「ただの作り話だ」と現実的に理解されるようになっていきます。
そのため港町で「洞窟の魔女」が実在の脅威として強く恐れられている、というようなことは現代においては特にありません。

しかしこの一帯が危険な場所であることには変わりなく、また町から離れた入り江をわざわざ訪れる必要も無いことから、やはり好き好んで洞窟までやって来るような住民は滅多にいない様子です。


心霊話

港町の人々が洞窟にノコノコやってこない理由としては最近だとこれもあります。

前述したように、「魔女の洞窟」は水難事故で命を落とした者の死体がよく発見される場所でした。
さらに人里離れた入り江の奥にあるという絶妙なロケーションや、唸るような風の音が響く薄暗くて不気味な洞窟の雰囲気なども相まって、いつしか港町住民の間では一種の心霊スポットとしても名前を挙げられるようになっていったそうです。

別に幽霊なんて出るわけないのにね?


「隠し通路」の噂

子どもたちが魔女伝説に震え上がり、大人たちが心霊話に青ざめる傍ら、もう一つ、まことしやかに囁かれている噂として「洞窟内のどこかに、かつて栄華を極めたとある王国の隠し通路へ繋がる道がある」というものがあります。

これは前述したように、「魔女の洞窟」の内部が非常に深く入り組んでいることから生じた話のようです。
しかしこれといって明確な根拠はなく、あくまで信憑性の薄い都市伝説として一部の界隈で流布する程度に留まっています。


上述したような伝説や噂が数多く存在することから、「魔女の洞窟」は港町の住民たちに長いあいだ避けられてきました。
もちろん、時には調査目的の研究者や度胸試しの若者集団などが足を踏み入れることもあったようです。しかし誰もが口を揃えて「何の変哲もない静かな洞窟だった」と語っているあたり、恐ろしい魔女も水を被った亡霊も王国の地下通路もやはり大衆によって生み出された単なる空想に違いない……のかもしれませんね……


魚たちのヒソヒソ話

ついでに海底で暮らす人魚たちの間でも、この洞窟はちょっとした話題のタネになっていました。
「入り江の洞窟には、どんな願いも叶えてくれる魔女が封印されている」という噂で、地上に伝わる「魔女伝説」とは違い、こちらの話は明確にリリーのことを指しているように思えます。

しかし「魔女に願いを叶えてもらうには相応の対価が必要」という尾ひれがどこかしらで付いたことで、舌を切り落とされるだの声を奪われるだのナイフを踏んで歩かされるだのといった脅し文句が次から次に生えてきた結果、海底の世界でも「魔女の洞窟」に近付こうとする者はこれまで一匹もいなかったようです。

そう……あの能天気さんがふらふら泳いでいくまではね……


✤関連人物

──────────────────
クリック(タップ)で開きます
リリー:300年ものあいだ洞窟から出られなくて困っている
アイリス / ノワ / ガロン / グリス:誰も近づかないはずの洞窟に暇さえあれば集まってくる愉快な仲間たち

もっと詳しく→洞窟組


✤関連イラスト

──────────────────
クリック(タップ)で開きます