来羅
2025-06-23 18:03:00
6421文字
Public トワウォ
 

いいねされた数だけ書く予定のない小説の一部を書く その1

ふせったーに書いていたもののまとめ。5個ずつ。風信編。


2.どちらがいいか選ばせてやろう



「どちらがいいか選ばせてやろう」
 実に楽しげに龍捲風が言った。
 覆い被さる男は人差し指だけですうっと腹から胸へと肌を撫でて口角を上げる。息を呑んだ信一は身動ぎひとつできないというのに、余裕の笑みは意地が悪い。
 手首を動かすだけでパイプベッドがぎしりと鳴った。信一の手首を戒めている布はそれぞれヘッド部分のスチールパイプにきつく結ばれていて、下着ごとトラウザーズを脱がされた両脚はひとつにまとめて縛られた上に龍捲風が体重をかけている。
「反省するなら今のうちだぞ」
「誰が!」
 反発すれば、サングラス越しに細められた瞳は冷ややかだった。
 けれども緩やかに弧を描いた唇が僅かにぴくりと引き攣れた。それがわかるくらいには、信一は龍捲風という男を常日頃からよく見ている。
 だからこうして信一を追い詰めておきながら、それでも今にも爆ぜそうな本気の怒りを腹の中に抱え込んでいるのも、ちゃんとわかっていた。わかっていたけれども、信一にだって引けないときはある。こんな風に反抗的になるのは何年振りだろう。
 龍捲風の言葉には絶対服従。藍信一はそういう男だと思われている。それはまま正しい。龍捲風は信一にとって唯一絶対の存在だ。
 だからといって、どんなことでも言うことを聞くと思ったら大間違いなのだ。
 養い子であり、情人である前に、龍捲風の右腕、龍城第一刀として、ここは譲れない。
「大佬、どっちでも受けて立つよ。俺は悪くない」