もち粉
2025-06-21 21:11:19
6065文字
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歌えカナリア、告げよヒバリ 上


パッタドルの話
パタちゃん、きっと優秀な方なのだ敬わねば!だけで、あんなにミスさんのこと心配してくれるのすごない?もうちょっと何かあったでしょ?で書き始めた

25/06/25 5頁目追加

  
 あの時は、正直言って失敗した。
 自分の方が正しい。それは絶対自信がある。けれど初手から囚人との関係構築に失敗したのはまずかった。
 最悪の初対面以降、リシオンとフレキはパッタドルに対して反抗的な態度を崩さない。
 パッタドルもなんとか言うことを聞かそうとして、看守権限で囚人の動きをたびたび封じてしまう。それがまた二人からの反感を呼んだ。
 囚人が看守の許可なく魔法を使えない制約を掛けられていなければ、世間知らずの小娘一人、あっという間に闇に葬られていた事だろう。
 
 秋の夜、甲板で月を眺めながらパッタドルはため息をついた。
 パッタドルは規律を守れない者が大嫌いだ。つい今ほども、就寝時間を過ぎても部屋で騒いでいる二人を叱りつけ、一悶着起こした所だった。
 私はいつもこうだ。正しい事を貫こうとするあまり、いい加減な奴や物事をなあなあで済まそうとする周囲と軋轢を起こし、結果遠巻きにされる。
 学生時代も教室で浮いた存在だった。教師には可愛がられたが、それがまた周囲からは「優等生」「委員長」と嫌なトーンで呼ばれる原因となった。
 
 周囲と上手くやれない自分にがっかりはしている。けれど、ほかの同期たちのように、ちょっとした不正を見逃してやったり、「いやオレは気にしないけどね? 色々言う奴はいるからさ?」なんて責任回避しながら囚人に取り入るなんて、まっぴらごめんだ。
 
 パッタドルが去った後には、月の光だけが冴え冴えと落ち、甲板を吹き抜ける風には、冬の気配が静かに忍び込んでいた。