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かずきち
2025-06-18 00:17:56
7038文字
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SS
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SS詰め4
アオハルまとめ
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部員達がみんな体育館から出たのを確認して戸締りをしてそこから出る。空を見上げれば暗い鼠色で、今朝の予報通りに部活の途中から降り出した雨は未だやまないままだった。傘を忘れたという後輩につい折り畳みを貸してしまったものだからこれからどう帰ろう、走ったらまだマシかなと考えながら下駄箱へ向かうと玄関の軒下に見知った人影があるのに気が付いた。
「恋」
思わず声をかければ近寄って来た後輩もちょうど今帰りらしい。
「珍しいね、そっちがこんな時間までやってるの」
「ま、まあそうですね。なんていうか
……
たまたま」
靴を履き替えながら話していると彼はこっちを待ってくれているのか、手に持っていた青色のシンプルな傘を開いて空を見上げて落ちてくる雨粒を傘越しに眺めていた。待っていてくれるのはありがたいのだが、流石にこの土砂降りで並んで歩くのは難しい。
「ごめん恋、俺傘忘れちゃってさ。走って帰るから
……
先帰っていいよ」
「えっ、傘ないんですか?あんなに天気予報で言ってたのに珍しい」
「うーんまあ、あはは」
「先輩の事だからどうせ誰かに貸しちゃったとかでしょ」
「うぐ。正解です」
「ほらやっぱり。
……
じゃあ途中までですけど、隣入ってきます?」
「え?」
靴紐を結んで顔を見上げればきょとんとした顔がこちらへ傘を差し出している。彼を守っていたスペースが少し移動して、はみ出した肩と鞄を雨が濡らし始めたのを見て慌てて軒下へと引っ張り込む。入らないんですかと言わんばかりにじっとこちらを見る目にいたたまれない気持ちになってくる。
「
……
あのさあ、昨日俺が君に告白したの覚えてる?」
放課後の今しかないっていうタイミングで告白をして、返事を待ってる間に部活に呼ばれて曖昧になったまま別れたのが昨日。そしてそのまま今に至る訳で、そんな相手を簡単にお隣さんにしてしまっていいのだろうか。
「覚えてますよ。
……
だから待ってたんじゃないですか」
「うん?」
彼が俯くのに合わせて傘も少し下がってきた。視界に広がる涼しげな青色。雨音に掻き消えて聞こえなかった言葉を聞き返す。
「だーかーら!告白されたから!一緒に帰りましょうって言ってるんじゃないですか!」
勢いと共に持ち上がった傘から覗いた真っ赤な顔を見てようやく言葉の意味を理解した。これが返事なのだと思うとその遠回しっぷりにくらくらしてしまう。慣れてない子だとは気が付いてはいたが。
「もしかして部活今終わったんじゃなくて、俺が来るのを待ってくれてた?」
問えば真っ赤な顔をそのままに無言でいるのを見て肯定として受け取る。そうか、自分の為だったのか。そう理解すると顔がどんどん熱くなるのを感じて首を振って彼が持っていた傘の柄を掴む。
「
…………
傘、俺が持つよ」
「ありがとうございます」
「いや、こちらこそ
……
ありがとう?」
青春の事を青色の春なんて漢字で書くけれど、俺の青色は暗い空の下の傘から始まった。
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