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かずきち
2025-06-02 00:37:28
4983文字
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夜っぽいのまとめ
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cara notte
いつも通り何気なく連絡を取り合っていると翌日の休みが重なっている事に気が付いた。特に予定もないし、じゃあまあなんか一緒に寝ようかと恋を部屋に迎え入れてから数時間。ドアを開けた時点から眠そうにしていた彼はベッドに横たわりむにゃむにゃと欠伸をしている。
その端に座っていた郁はこれだけ済ませてしまおう、といくつか届いていた仕事関係のメッセージに返信をする為に携帯を握っていた。
「ねーないーのー」
「まーだかなー。恋こそ、寝てていいのに」
いつの間にか起き上がっていてあくび混じりに聞かれる。もうすっかり寝るものだと思っていた恋に寄り掛かられて笑うと、うーんと煮え切らない返事が返ってくる。話し足りないとか、そういう感じのニュアンスの相槌だなと受け取って、郁は空いている方の腕をのばして子供をあやすように肩をとんとんと叩いた。
「あとこれだけだから。もうちょっと待ってて」
ごめんと謝りながら様子を伺えばもう殆ど目を閉じている状態で、こんなに眠そうなのによく来てくれたなあとありがたい気持ちになる。
はやく時間が取れるようにと上から順にこなしていると最後の一件、という所で恋に腕を掴まれる。やんわり手首を掴んで、手を握らせたり開かせたり、自分の手と繋いでみたり指を組んだり。楽しそうなのでされるがまま放っておくとそのうちに指先に軽い痛みが走った。
「いた」
玩具で遊んでいる笹熊1号のようだと思っていたらいつの間にか口に運ばれていた。流石に驚いたのでそれこそ笹熊にしているように、わざわざ声に出してそれをアピールしてみたのだが悪戯の主はやめるつもりはないらしく、お構いなしにがじがじと噛み続けている。カリ、と爪が歯に当たる感覚と、それが押し潰されて指の腹に反対側の歯が食い込む感覚。痛さとともに別のむず痒さがじわりと広がっていくのを感じて一度携帯から顔を上げて恋に向くと、噛んでいた歯が今度は指の付け根まで進んで行くのが見えた。奥まで喰まれて、ザラついた舌が指先までなぞるようにじれったく滑る。
「
……
随分甘えただね?」
「んー」
「それともそんな気分だった」
「
……
んー」
意図的な仕草に聞いてみると否定とも肯定とも取れない声がするが、それでも指は離してくれないまま、もごもごと咀嚼でもするかのように口の中を動かされてくすぐったい。鳴き声は普通にしているのによく見ると耳が赤くて、それがおかしくて笑ってしまう。
「でもそんなに眠そうにしてるのに、来てくれたの」
「
……
むぐ」
曖昧な返事にごまかされていたが、ここまでされたら逃すつもりはもうなくなってしまった。
……
というか眠気より自分を取ってもらったのにここでお断りする訳にもいかない。
「じゃあ俺がそんな気分だった、でどう?」
最後の連絡を終えてサイドテーブルへと携帯を置いて、あいたその手を恋の頭へ乗せる。さらさらと髪を梳きながら撫でて、わざとらしくゆっくりゆっくり、挑発するように耳をくすぐる。ぱたりと反応がなくなってしまい、格好つけ過ぎたろうかとちょっとドキドキしていたら、そんな郁よりよっぽど顔を赤らめて
「なら、しょうがないかなぁ」
と、消え入りそうな声で合意してくれたのだった。
ごろりと二人で転がって、眠気の涙で溶けそうな赤い瞳が、照れて染まった目元と合わさって美味しそうだなと思った。だからおもわずそこに口付けるとへへへ、と気の抜けきった笑い声がする。
ああ、もしかして、恋の作戦勝ちだったんだろうな。
「恋、最近"ズルい"の増えた気がしない?」
「そうですかね?」
とぼける恋に先ほどのお返しのつもりでちゅう、と指先を啄んでそのまま指を辿り手のひらを甘く吸う。律儀にびくりと跳ねるのが愛おしかった。
「郁のせいじゃない?」
「そう
……
かもなあ」
そうして二人の夜がふける
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