kanaco
2025-05-16 23:36:45
12216文字
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【3少信/4少仲良し】4少仲良し(信一愛されor総受)SS(単作)まとめ(フセッター時代)

1P~4P【チャージ!】信一が洛軍と十二と四仔にギュってしてもらって、ひたすらご満悦になるだけのはなし。
5P【包子】信一と十二が包子食べてて、洛軍と四仔が見守ってるだけのはなし。



■■【SAID:信一】■■


いやもうここまできたら、この男からもチャージせねばならない。謎の使命感にかられ、信一は診療所の前に仁王立ちした。

いやでも、どうするんだこれ??と、なりふりを考える。

洛軍は優しいし甘いから、信一の言うことは大抵ニコニコと受け入れてくれるので、お願いをすれば快く叶えてくれる。
十二は小さい頃から距離が近くて、体を触れ合わせることに慣れているから、自分から強引にいったところで問題はない。

しかし残りの1人はまた勝手が違う。至極クールで、あまり馴れ合うことを好まないのだ。

「四仔に抱きしめてもらうチャレンジ?」
何それ無理ゲーじゃね?

考えていても仕方がないので、いつもの調子で気安く診療所へ足を踏み入れる。
「四仔~、いるー?」
中に入ると目当ての人物である四仔が机に座って何やら作業を行っていた。信一がやってきたことに顔を少しだけ上げ「どうした?」と落ち着いた声で簡潔に問う。信一はヘラリと笑うと

「ちょっとして欲しいことがあって」

と素直に口に出してみた。四仔相手にうまく誘導することは難しいし、突撃したら有無を言わさず拳で沈められて診療所から放り出されるだろう。

四仔は返事をせず、次の言葉を待っている。マスクから覗いている目がじっくりと信一を観察していた。体調が芳しくないのは顔を見合わせた瞬間にバレているに違いない。

「昨日仕事から戻ったんだけど、全然疲れが取れなくてさ」
「そうだな。顔色も目の隈も酷いぞ。昨日も随分と酷い様子だったと洛軍に聞いたが。お前はスケジュールと体調の管理もろくにできないのか?」
どういう仕事の組み立て方をしたんだ、部屋帰ってさっさと寝ろ、と小言が始まりそうな気配に信一はげんなりとする。こんなにかったるい気分なのに、さらにお説教だなんて心底御免こうむりたい。
「ストップ、ストップ!そーなの。昨日の今日で俺ちょー疲れてんの」
「そうだろうな」
「だから、ちょっと
信一はパァ、と両手を広げた。

「俺のこと抱きしめてくれね?」

ド直球。
しばしの気まずい沈黙のあと、

「は?」

という四仔の非常に冷え冷えとして、しかし至極真っ当な疑問符だけがそこに落ちた。呆れを通り越して可哀想なものを見る視線が信一に降り注ぐ。

「疲れているなら漢方を出す。ちょっと待ってろ」
「気持ちイイほどの無視!いや、漢方じゃなくてハグ!」
「疲れを取るのと、俺がお前を抱きしめることがどう結びつく」
「うーん、セラピー?」
「断る。大体、その様子じゃどうせ洛軍と十二にしてもらったんだろう。十分じゃないか」
「え?もしかして妬いてる?」
「仆街」

バカなことを、と雄弁に語る冷めた目をして四仔が席を立った。こちらに向かってくるので「え?もしかしてしてくれる?天邪鬼デレ期!?」と期待するも当然そんなわけはなく、信一の後ろにある棚へと手が伸びた。棚の高い位置にあるのは、前にも出されたことがある独特の苦みがある漢方薬

「え~、それぇ」
不満げな声を上げて、棚を明けようとする四仔の腕を掴もうとした拍子、思いの外自分の勢いが良くそのまま四仔の体にぶつかった。その反動は四仔ではなく信一に返り、それほど強い衝撃ではなかったのに疲れのせいか足が踏ん張れず、後ろの棚に体がドンッと強くぶつかる。四仔が目を見張ったのが視界に映った。

腕をグイっと乱暴にひかれた。次に肩が強引に引き寄せられる。四仔の両腕が信一の頭を抱え込み、しかし信一の視界の端には上からバサバサと本が落ちてきたのが見えた。どさりとぶつかる音、床に散らばるページ。痛みは信一にはやってこない。
……信一、大丈夫か」
一瞬の出来事に膠着していた信一は四仔のその声と、頭を抑え込んだ腕の力が緩んだことで恐る恐る顔を上げた。怒っているかと思った相手の目と合うと、むしろ自分を気遣う優しい瞳とぶつかって思わずドキリとする。

「ふっ。ノルマ達成か?」
小さく四仔が笑った。信一は口元を不満げにする。抱きしめて、と言ったけどこういうことではないのだ。

「イジワル言うなよ。……悪ぃ、お前こそ大丈夫か」
「いや、あんな棚の上に本を置いた俺が悪い。昨日に机が散らかっていて一時的に置いたんだが、そのまま下すのを忘れていた。すまない」

信一は気落ちしたように下を向いてハァ~と息をついた。確かに、洛軍の言う通り今日は1日大人しくしていた方が良いかもしれない。思ったよりもふらつく回数が多いし、体に力が入っていない気がしてきた。
四仔のあの不味い漢方薬をもらって大人しく退散しよう、と考えて体を動かそうとし何故か動かないことに気がついた。いつの間にか四仔の腕が腰の方に回っていて、体の密着度をそのままキープしている。

(あれ?)

「せ……四仔?」
顔を再び上げると、今度は悪巧みをしているかのような愉快そうな瞳とかち合う。
「四仔、なんか顔近くね?」
「セラピー、なるほどな」
「ねぇ、俺の話聞いてる?」
「それで?お前は抱きしめてもらった後に、どうして欲しいんだ?」
「あの、放していただいて」
「ふぅん?」
ふっ、と四仔の息が訳あり気に耳にかかった瞬間、信一はとりあえず叫んだ。
「せ、四仔チャージ!!」

いや、抱きしめてはもらったけれども。
でもこれもなんか違う気がする!っと慌てて


「さささささささささ、十二――――!!!」


一番に駆けつけてくれそうな名前を声高らかに響かせる。

さすれば、
「はーーーーい!十二ちゃんでーすっ!………おんやぁ、まぁ」
九龍城砦内でも神出鬼没な男として名高い幼馴染が、元気よく診療所の扉を蹴り明けた。

そうしてすました顔をしている四仔と、その腕のなかで真っ赤な顔で目を回している幼馴染をみて、まるで動物のように猫目を大きく見開いてイヒヒと笑う。
「あらヤダ、四仔てばデレ期なの?でも抜け駆けはよろしくなくてよ?」
それを受けて四仔がシレッとした表情のままに十二に小さくベッと舌を出した。十二がより楽しそうにカラカラと笑う。十二の後ろから、ひょっこりと洛軍が顔を出す。洛軍がいるのを視界に認めた信一が「うわぁぁ~俺の癒し~」と安全を求めて手を伸ばす。やはりいつものように穏やかな調子でニッコリ笑った洛軍が、寄ってきた信一の体を受け取って背を撫でてやりながら、やんわりと四仔を咎める。
「四仔、あんまり信一を苛めないでやってくれ。今日はただでさえヘロヘロなんだから」
そんな信一と洛軍に顔を向けたまま、十二と四仔が仲良く横目で視線だけを合わせる。
(癒し?)
(いや、こういうタイプが一番危ないだろ)