獣と獣の小話たち その二

pixivに上げていた同タイトルのまとめより、既にこちらに掲載済の作品を除いた短い作品たちの再掲となります



夕方に電池が切れた猫




 ベッドの上で丸くしていた身体をゆっくりと伸ばし、クルウはゆるりと瞼を持ち上げる。しかし起き上がることはなく、ぼんやりと今の状況を確認する。
 今日は確か、ディルが買い物があるからと1人で出かけていったので、家に残って掃除なり料理なりしていた。そのあとに少し疲れたから数分ほど休もうと寝室のベッドで横になって……それから……、多分すっかり寝入ってしまったんだろう。だけど、最後に手をつけていなかったはずの布団を何故かしっかりと被っている。さては無意識に引っ張ってきてしまったか。
 ふと顔を上げてベッドの傍に置いてあるクロックメーターを見てみると、指している時刻はとうに夕飯時を過ぎていた。それを確認した瞬間、ガバリと勢いよく起き上がって寝室のドアを開け、キッチン目指して階段をバタバタと駆け下りた。

「ディルー! ごめん、めっちゃ寝てた!!」
 勢いのままリビングに飛び込めば、ソファに座ってのんびりとくつろいでいるディルがいた。テーブルには二人分の東方料理が並んでいる。
「おー、ただいま。よく寝れたかー?」
「いや、なんで起こさなかった……てか、夕飯作ってくれたのか!? 先に食べてもよかったのに……
「別にそこまで腹空いてなかったし、普段はお前が作ってくれてるんだ。たまには俺が作ったっていいだろう?」
「んー、ううん……。いや本当にすまない、これ以上冷めるといけないし早く食べようか」
 クルウはディルの隣に項垂れながらも座り、小さく手を合わせた。それを見てディルも同じように手を合わせ、やがて二人同時に食事を始めた。

 この後、本当は寝ている間に襲うかどうか迷ったという話をディルにされたクルウは、危うく味噌汁を吹きそうになりディルの頭を思わず叩いたとかなんとか。