獣と獣の小話たち その二

pixivに上げていた同タイトルのまとめより、既にこちらに掲載済の作品を除いた短い作品たちの再掲となります



実は寝相が悪く朝も弱いらしい




 ここ数日で気温が下がり、それぞれの布団を厚いものに変えたが、朝になるとそれがなくなっていくのだ。毛布だけはかろうじて握ってはいるが、寒いものは寒い。
 クルウが手足をグッと伸ばし、布団を奪った犯人のベッドのほうを見ると、そこには犯人も布団もない。しかし、ベッドの下には大きな白い布団団子が落ちている。

 え、これ、どうなってるの?

「ディル、お前ちょっと起きろ。というかもう朝だから起きて」
 団子を揺さぶり中を開けようとするが、犯人に抵抗されていて上手くいかない。
「うう……ヴヴヴヴ……ッ」
 何か猛獣のような低い唸り声もする。余程機嫌が悪いようだが、それでも布団だけは返してもらおうと無理やり引っ張る。ようやく開けると、いつもの数十倍は怒っていそうなディルがこちらを睨みつけていた。
「はあ……、いやホント頼むから布団もっていくなよ。俺だけ寒いのは嫌だから勘弁してくれ」
 そう言うと、ツンとそっぽを向いてからまた団子の中に戻る。クルウは諦めて団子から離れ、寝巻から部屋着に着替え始めた。

 次の日の朝、目が覚めたクルウは異常に暖かい布団の中にいた。目の前にはすやすやと眠るディル。なるほど、奪うのがダメなら中に入れてしまえと……

 いや、それもどうなの?