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ろころころ
2025-04-30 04:40:20
5437文字
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pk短編擬小説まとめ①
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二匹のうさぎ
ルビーとスピネル。
紅の宝石を意味するその名は、煌々と燃える灼熱の炎を美しく表していた。
「兄ちゃんはボールを動かすのが上手でいいなぁ
…
僕は器用じゃないから
…
」
「そうか?まだスピネルは小さいんだし、そんなもんじゃないの?」
二匹の炎兎の仲良し兄弟は、柔らかな芝生の庭でボール遊びをするのが日課だった。時計の針が3を示した頃、二匹の母親が家の中から二匹の子どもを呼ぶ。そうすると、二匹の兎は軽やかな足取りで母親の元へ駆け寄るのだ。
近所に住むポケモン達は、そんな小さな兄弟を微笑ましく見守っていた。
そう、あの日までは。
「え?事故?
…
ど、どういうことだよ
…
!」
「ですから、貴方のご両親はトラックによる運搬業務中に対向車線の大型トラックと衝突し、その場で死亡が確認されました」
「な
……
なっ
…
!?」
警察から、淡々と述べられる現実味の無い話。
死亡?誰が?
父さんと、母さんが?
「に、にいちゃん
…
」
「そ、そんなのいきなり言われたって信じるわけ無いだろ!?」
「あー、それなら見に来ます?一緒に行きましょうか」
「えっ、ちょっ、おい!?」
無愛想な警察官に兄弟はぐい、と腕を引っ張られる。小さな子供に抗う術はなく、足を縺らせながらも男の歩調に合わせて動くしかなかった。
兄弟を引き連れて男が進んだ先にあったのは
…
(黒いトラック?パトカーじゃない
…
)
何の業者名も書かれていない、ただ黒塗りされているだけのトラック。
ルビーは危険を察知した。
身の毛がよだち、その太い腕をを振り払おうと暴れた。
「騒ぐな!」
「がぁっ!?」
男はルビーの頬を力任せに殴りつける。軽い身体は吹き飛び、冷たく硬い地面に叩きつけられた。
「に、兄ちゃん!
…
や、やめてください
…
!」
片腕を掴まれたままのスピネルは抗議の声をあげるが、そんな弟の反応を男は鼻で笑った。
「ははっ!自ら身体を張って手本を見せてくれるとは良い兄貴じゃねぇか!
…
良いか?逆らえばお前も兄ちゃんみてぇになるぜ?」
「うぅ
……
」
男は立て、と乱暴にルビーを起き上がらせるとトラックのドアを開けて二人を中に放り込む。
「痛ってぇ
…
」
「に、兄ちゃん大丈夫
…
?うぅ
…
血が出てる
…
」
そんな兄弟の声をものともせずに、男がエンジンを掛けたその時──────
バァン!!!
「うわぁっ!?」
「スピネル屈めっ!
………
なっ!?何だよ今度は!?」
何かが破裂するような音と、立て続けに聞こえるガラスの割れる音。二つの爆音に、ルビーは咄嗟に弟を庇うようにして屈んだ。
少しして、警戒していた次の音が響かなかったのでルビーはそっと身体を起こす。ふと、何も言わない男が気になって運転席を見る。
「──────え?」
男は額から血を流し、白目を向いて運転席にもたれかかっていた。
そう、男は死んでいた。
「な、なんで
………
スピネル、見ちゃだめだ」
「えっ?えぇ?兄ちゃん?何が起こって
…
」
小さい弟の視界を手で覆う。
ふと、ルビーの優れた耳が車の外から聞こえる足音を捉えた。
カツン、カツン──────
(も、もしやこいつを撃った犯人
…
)
思わず背筋が凍る。男が死んだということは、このトラックからの脱出が可能であることを示している。犯人に見つかる前にここから逃げるか?いや、トラックのドアを開ければ必然的にバレるのは逃れられない。であれば、屈んでいたルビー達が犯人に見られていないのを願う方が良いか。
ぐるぐると考える間に、足音がピタリと止まる。
車内と外の空気を隔てたドアの前で。
(くそ
……
なんで俺たちがこんな目に遭わなきゃ
………
こうなったら
…
!)
ルビーは覚悟を決めた。
ガチャリ、とドアが空いたその瞬間──────
「おらぁっ!!!」
「ぐあっ!?」
「に、兄ちゃん!?!?!?」
ボール遊びで鍛えた渾身の蹴りを
犯人
の顔面に入れてやった。
クリーンヒット。犯人はドサリと地面に倒れ込む。
「逃げるぞスピネル!!!」
「う、うわぁっ!?」
弟の腕を引っ掴み、倒れている犯人を自慢の跳力で飛び越え家の方へと突っ走る。
「ま、待ちなさい!」
後ろから想像より高い声が聞こえた気がしたが、それを無視して真っ直ぐ来た道を走った。
速く、速く、もっと速く──────
そして辿り着いた家は、
「な、なんでだよ
…
!?」
「燃えてる
………
そ、そんな
…
」
灼熱の炎に包まれていた。
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