ろころころ
2025-04-30 04:40:20
5437文字
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pk短編擬小説まとめ①




たまにはこういうこともある


「痛っ!」
「んにゃあ?どしたァ?」


一緒に野生のホルビーを倒していたはずの相方から悲痛が上がり、カーニャはふと後ろを見る。

そこには、片足を引きずるように歩くフローラの姿があった。

「ご、ごめん足痛めたかもぉ……
「んえ?まじでぇ?動いたら悪化するぜ?」

捻挫をした時は足を動かさないのが一番だと、確かアオちゃんが言っていた。それを思い出したカーニャはフローラに肩を貸すと、その場にそっと座らせた。

「ごめんカーニャちゃん〜!あっまずいかも、敵の下レーン担当がそろそろ来ちゃう!?」
「んにゃあ、別にへーきだろ。だって多分相手の下レーンってカメパイセンとケロパイセンだぜェ?アンタが怪我したって言ったら試合なんでぶん投げで秒速で飛んでくるにゃあ」

欠伸をしながら呑気にそんなことを言う後輩の主張には、フローラも納得してしまった。フローラの幼馴染のアレックスは、ああ見えて過保護なところがある。特に幼少期からの長くであるフローラとホムラに対しては躊躇が無い。
また、カゲも同じで仲間思いな上に、幼馴染のマギアが何度も怪我をしていた過去があり選手の怪我には敏感だった。

やがて、敵チームの下ルート担当の二人の姿が見えてきた。カーニャの予想通り、アレックスのカゲだ。アレックスがタンクで、カゲがアタッカー。両チームの境目にいるヤジロンを倒しているが、普通であれば現れるはずの敵選手が姿を表さないことに警戒している様子でもある。草むらに入ったり技を打ったりして、近くに隠れていないか確かめているようだ。

そして、二人の視線がやがて少し先に座り込んでいるフローラと、その前で呑気に欠伸をしているカーニャを捉えた。

……お前たち、そんなところで何してるんだ。ちゃんと戦わないとペナルティを食らうぞ」
「ほぉら来たにゃあ。……ぱいせぇん、フローラパイセンが足痛めたんだってぇ」
…………なに?」
「いやぁドジっちゃって?えへへ……

アレックスが駆け寄り、フローラの前にしゃがむ。少女の足を見ると確かに赤く腫れているようだった。

「ふむどうする、アレックス。審判に試合の無効を検討させるか?」
…………ああ。頼む」

了解した、と簡潔に告げてカゲは自慢の身軽な動きでその場を立ち去った。

「おいフローラ、歩けるか?……いや、無理だな。俺が背負う。乗ってく……おい、何をニヤニヤしやがって」
「いんやぁ?センパイ達、いつもクールなみずタイプです〜って顔しときながら仲間想いだにゃあと思ってェ?その手際の良さ、あの救助隊とかいう奴らの仲間の方が向いてそうだにゃあ」
………喧嘩なら買うぞ」
「褒め言葉だにゃあ」


私のことは怒ってくれて良いけど、二人とも喧嘩はやめてよ〜!と、アレックスの背中の上で抗議の声が上がった。


そんな午後の無効試合を、カーニャは呑気に立ち去った。