ろころころ
2025-04-30 04:40:20
5437文字
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pk短編擬小説まとめ①


ちびっこ



エオス島の選手にしか体験出来ないものがある。

それが──────


『上レーンはヒトカゲとピッピ、中央レーンはアブソル、下レーンはミライドンとカビゴン………本試合を魅せてくれる紫チームのポケモン達の入場だ!』

そう。進化前の姿に戻ることである。
選手ライセンスの取得審査に参加するには最終進化を遂げていることが条件であるが、ゲームでは何もスタート時から最終進化の姿を見せれるわけじゃない。
進化前の姿から始まり、スタジアム内に生息する野生のポケモンや敵チームのポケモンを倒すことでレベルを上げ、進化をする。その流れで新たな技を覚え、強くなっていく……これがユナイトゲームの一つの特徴だ。

だから普段は地面から足を話して行動することが出来るホムラも、この時ばかりは二本足を使って地面を蹴らなければならなかった。

──────そう。とどのつまり、選手達は嫌でも幼少期の自分の姿を観客に見せねばならないのだ。

観客からすれば、"子供"とも言える小さなポケモン達が頑張って敵を倒し戦う姿は微笑ましいものだろう。まぁ中には進化しないため序盤から可愛らしくない伝説とか、妙に禍々しい黒いシールドを纏いザシアンに殴られても倒れないイーブイとか、目に涙を浮かべた後にザシアンですら倒すえげつないみずでっぽうを噴射するトカゲとかもいるが。
そういう論外を除けば、小さなポケモン同士の可愛い戦いなのだ。もちろんそんな光景を目にした、特に女性の観客は「かわいい〜♡」と黄色い歓声をあげる。

そんな中、

「おーっ!?あれが小さい頃のホムラか〜!?めっちゃ小さいな!」

と、男の声が聞こえてくるのは割と珍しいことなのだ。

「あれ、試合終わったら戻っちゃうのか?高い高いとかしてやりたかったな〜!」
「外見が子供に戻ってるだけだろう、中身は今のホムラのままだと思うが

聞き覚えのある声の後に、聞き覚えのあるもう一つの声がツッコミを入れる。その通りであると、ホムラは頭の片隅で猛烈に頷いた。

ふと、相方のピッピがホムラの顔を覗き込んでくる。

「どうしたッピ?」
「いや客席から知り合いの声がしただけ……

お友達が見に来てくれてるんだ!良かったッピね!だなんて呑気な事を言われるが、この後試合を終えて、ヒトカゲに戻れとせがまれる未来を想像すると……気が気でなかったのだ。

この後もホムラは中々試合に集中出来ずバリューを発揮出来なかったが、味方のミュウツーの巧みな攻撃により勝利に終わった。

控え室の外から先程の声がすることに気がつき、30分ほど扉越しに押し問答をした結果………

ピカ様にしばかれる羽目になったのはまた別の話。