煤逃
2025-04-27 11:47:07
19598文字
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石田孫太郎の『猫』を可愛がる



石田孫太郎『猫』言及・関連文献
※「一言」には、その文献に関する情報やちょっとしたエピソードなどを入れています。
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石田孫太郎「小猫を迎ふ」『衛生新報』(47), 1906, p7.
 *国立国会図書館デジタルコレクション・個人送信サービス対象(参照 2025-05-04)
 *自前テキストデータ
一言 とても面白い文章だったのでテキストデータを作成・公開しています(石田孫太郎は著作権保護期間満了済み)。
 特にツボだった一節をご紹介すると「一も二も無く猫を嫌ふはよし、然れども彼是理窟を捏ねて猫を嫌ふは、余其可なる所以を知らざる也。」がだいぶ好きです。

石田孫太郎「天気予報と猫」『春夏秋蚕天蚕柞蚕豊作法大全 上巻』(文明堂出版部, 1907年), pp.322-328.
 *国立国会図書館デジタルコレクション・ログインなしで閲覧可能(参照 2025-05-04)

石田孫太郎「附録 天気予報としての猫」『改良蚕室法 : 養蚕豊作 (実験応用通俗産業叢書 第10編)』(博文館, 1909年), pp.192-203.
 *国立国会図書館デジタルコレクション・ログインなしで閲覧可能(参照 2025-05-04)

石田孫太郎『猫』(求光閣, 1910年)
 *国立国会図書館デジタルコレクション・ログインなしで閲覧可能(参照 2025-05-04)
一言 国立国会図書館デジタルコレクションで全文が読めるのはこのバージョンのみですが、誠文堂新光社版・河出文庫版には収録のある「絶筆 虎猫平太郎」が未収録です。また巻頭の猫の写真が求光閣版にはありません。

石田孫太郎『猫のはなし』(求光閣, 1917年)
一言 国立国会図書館デジタルコレクションへの登録もなく古本での販売も見かけず、なんとなくレアな印象のあるバージョンだったのですが、奥野信太郎「猫」をきっかけに、慶應義塾大学図書館に所蔵があることがわかりました。水木京太が集めた猫文献が没後に慶應義塾図書館に寄贈されたとのことなので、それが今も残っているのかもしれません。
 なお、水木京太「『不完全な家』にて」と久保より江「私の猫のはなし」では、書名が『猫』ではなく『猫のはなし』になっているのは、このバージョンの話をしているからだろうと思われます。

水木京太「『不完全な家』にて」『中央公論』41(1), 1926, pp.119-141.
 *自前テキストデータ
一言 とても面白い文章だったので、ぜひいろんな人に読んでほしくてテキストデータを作成・公開しています(水木京太は著作権保護期間満了済み)。本当にこの文章が読めてよかった……この人の猫エッセイが他にもあればぜひ読みたく、これから追加調査を行おうと思います。

久保より江「私の猫のはなし」『より江句文集』(京鹿子発行所, 1928年), pp.154-176.
 *国立国会図書館デジタルコレクション・個人送信サービス対象(参照 2025-05-04)

鹿子木東郎「愛猫家への入門知識」『農業世界』30(15), 1935, pp.145-154.

石田孫太郎「評価の高い三毛の牡猫」『農業世界』31(12), 1936, pp.126-131.

「編集後記」『農業世界』31(12), 1936, p248.

「『猫』の著者石田孫太郎先生逝く」『農業世界』32(2), 1937, p84.
一言 石田孫太郎追悼の400字程度の記事なのですが、『猫』にはなかった石田孫太郎自身の情報があれこれ書かれていて興味深かったです。
玆に石田孫太郎先生の略歴を記し、哀悼の意を表する。其の後早稲田政治科に入学したが、古賀廉造氏より刑法の講義を聞くのが嫌で中途退学し、島田三郎先生の毎日新聞に入り、先生の偉大なる人格に日夕親しみ救国済民の大志を懐くに至る。名著「猫」は先生の余技

平岩米吉「猫の長寿」『動物文学』48, 1938, pp.58-59.
 *国立国会図書館デジタルコレクション・個人送信サービス対象(参照 2025-05-04)

駒井卓「猫の毛色の遺伝」『遺伝の綜合研究 第1』(遺伝の綜合研究委員会, 1950年), pp.73-74.
 *国立国会図書館デジタルコレクション・個人送信サービス対象(参照 2025-05-04)

奥野信太郎「猫」『こんにゃく横丁』(文芸春秋新社, 1953年), pp.18-20.
 *国立国会図書館デジタルコレクション・ログインなしで閲覧可能(参照 2025-05-05)

奥野信太郎「愛猫記」『かじけ猫 : 随筆』(章文社, 1957年), pp.168-175.
 *国立国会図書館デジタルコレクション・ログインなしで閲覧可能(参照 2025-05-04)

奥野信太郎「猫」『現代知性全集.7 奥野信太郎集』(日本書房, 1958年), pp.128-129.
 *国立国会図書館デジタルコレクション・個人送信サービス対象(参照 2025-05-04)

奥野信太郎「愛猫記」『現代知性全集.7 奥野信太郎集』(日本書房, 1958年), pp.248-251.
 *国立国会図書館デジタルコレクション・個人送信サービス対象(参照 2025-05-04)

井伊義勇『猫』(角川書店, 1958年)
 *国立国会図書館デジタルコレクション・個人送信サービス対象(参照 2025-05-04)

松本恵子『猫 : 随筆』(東峰出版, 1962年)

平岩米吉「猫の珍しい記録」『動物文學』32(2), 1966, pp.13-14.

奥野信太郎「猫好きさまざま」『町恋いの記』(三月書房, 1967年), pp.132-135.
 *国立国会図書館デジタルコレクション・個人送信サービス対象(参照 2025-05-04)

実吉達郎「動物文学良書紹介」『動物文學』34(3), 1968, (表2)
一言「百七十七集につづいて良い動物書を選んで御紹介します。猫の本にはこのほかに石田孫太郎『ねこ』というのもある由(筆者未見)であるが」とタイトルが挙げられているだけなのですが、著者の実吉達郎の名前に見覚えがあって驚いたので書いておきます。
 この方は『アラビアンナイトストーリー』(新紀元社, 2006年)という千夜一夜物語のダイジェスト集を出されており、この本が自分は大変お気に入りなのです。思いがけないところで好きな本がつながったようで、驚きつつも嬉しい一幕でした。
 さらにさらに、本当に『アラビアンナイトストーリー』の作者だったっけとお名前で検索したら未確認動物UMAの命名者として知られると知りさらに驚きました。

平岩米吉「猫の本」『動物文學』34(3), 1968, p49.
一言 誠文堂新光社版の付録に掲載されている大木卓「明治猫史と石田孫太郎『猫』の成立」で、「『農業世界』三〇巻十五号(一九三五年)の猫特輯号に、編輯者鹿子木東郎氏が、本書を戸川秋骨(石田孫太郎)著として紹介しておりここらが火元かと思うが、本書を戸川秋骨の変名による著作だとする説は戦後もかなり信じられてきた。」とあるのですが、実際に勘違いされている例をここで確認できました。
例①
著者はじつは英文学者戸川秋骨氏との説がある。

平岩米吉「猫の名著と研究家」『動物文學』34(4), 1968, pp.1-7.
一言 誠文堂新光社版の付録に掲載されている大木卓「明治猫史と石田孫太郎『猫』の成立」で、「『農業世界』三〇巻十五号(一九三五年)の猫特輯号に、編輯者鹿子木東郎氏が、本書を戸川秋骨(石田孫太郎)著として紹介しておりここらが火元かと思うが、本書を戸川秋骨の変名による著作だとする説は戦後もかなり信じられてきた。」とあるのですが、実際に勘違いされている例をここで確認できました。
例②
石田氏というのは仮名で、著者はじつは英文学者戸川秋骨氏(一八七〇年~一九三九年)だという説がある。

大木卓『猫の民俗学』(田畑書店, 1975年)
 *国立国会図書館デジタルコレクション・個人送信サービス対象(参照 2025-05-04)

木佐木勝『木佐木日記 第1巻 (大正八年~大正十四年)』(現代史出版会, 1976年)

大木卓『猫の民俗学 増補』(田畑書店, 1979年)
 *国立国会図書館デジタルコレクション・個人送信サービス対象(参照 2025-05-04)

石田孫太郎『猫』(誠文堂新光社, 1980年)
一言 1910年の求光閣版から増補された内容として、巻頭の猫写真7点、絶筆にあたる未完小説「虎猫平太郎」があります。また付録として8ページの小冊子が挟み込まれており、大木卓「明治猫史と石田孫太郎『猫』の成立」と、編集部による「石田孫太郎についてのノート」、主要著作目録が収録されています。
 装丁がかなり可愛くてお気に入りです。

冨田正子「猫の珍本」『猫に見せたい本』(誠文堂新光社, 1980年), pp.116-119.
 *国立国会図書館デジタルコレクション・個人送信サービス対象(参照 2025-05-04)

平岩米吉「『涅槃図の猫』の研究史」『動物文學』48(2), 1982, pp.12-16.

キャサリン・M.ブリッグズ 著, アン・ヘリング 訳『猫のフォークロア : 民俗・伝説・伝承文学の猫』(誠文堂新光社, 1983年)
 *国立国会図書館デジタルコレクション・個人送信サービス対象(参照 2025-05-04)

平岩米吉『猫の歴史と奇話』(動物文学会, 1985年)

池上正太『猫の神話』(新紀元社, 2013年)

石田孫太郎『猫』(河出文庫, 2016年)
一言 たいへん面白くいろんな人におすすめして回りたいのですが、なにぶん品切重版未定という……河出文庫さん、なにとぞどうぞよろしくお願いします!

出久根達郎「『猫』の稀覯本  養蚕指導者が著した初の百科」『本の身の上ばなし』(ちくま文庫, 2024年), pp.119-123.

有隣堂「本の泉:『猫』 近代初の本格的な猫の研究書です」
https://www.yurindo-izumiblog.jp/archives/49477302.html (参照 2025-05-04)

日刊ゲンダイDIGITAL「『猫』石田孫太郎著」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/187417 (参照 2025-05-04)

本屋大賞「2018年本屋大賞『発掘部門』」
https://www.hontai.or.jp/history/find/vote2018.html (参照 2025-05-04)
一言 本屋大賞のうち過去作を対象とする「発掘部門」に河出文庫の『猫』がノミネートされていた、ということがわかるだけのページなのですが、見つけた時すごく嬉しかったです。『猫』を「面白かった!」「もっと売りたい!」と思って選出した書店員さんがいたんだろうなというそれだけで嬉しくて……
 でも「ここで大賞をとれていれば……!!」という謎の悔しさも正直めちゃめちゃありました……自分は『猫』がもっと売れてほしいというか、広く読まれて愛されてほしいので……『猫』が本屋大賞をとった世界ってどんな風になったんだろうと思わず妄想が広がったのですが、よくよく考えれば発掘部門は「その年の本屋大賞の対象にはならない旧作」が対象なので、これからもエントリー&獲得の可能性はあるんですよね。全国の書店員さん、本屋大賞の実行委員会さん、ぜひどうぞよろしくお願いします。

国立国会図書館「第29回 関西館資料展示『結構毛だらけネコ本だらけ』」
https://www.ndl.go.jp/jp/event/exhibitions/kansai_202202.html (参照 2025-05-04)

国立国会図書館「NDLギャラリー:結構毛だらけネコ本だらけ」
https://ndlsearch.ndl.go.jp/gallery/gallery_exhibitions/202302 (参照 2025-05-04)

ぱうす むむりく「ウキウキ呑もう! ニコニコ食べよう!:【バロンキャット】ネコ男爵 上流には上流の 身過ぎ世過ぎは草のタネ? の話」
https://wakuwaku-nikopaku.hatenablog.com/entry/baron-cat (参照 2025-05-04)




石田孫太郎『猫』収録の文章が読める本


阿部昭 編『日本の名随筆.3 猫』(作品社, 1982年)
 石田孫太郎「猫と色の嗜好」収録

吉田和明, 新田準 編『猫愛』(凱風社, 2008年)
 石田孫太郎「虎猫平太郎」収録

浅田次郎 選ほか『猫のはなし 恋猫うかれ猫はらみ猫』(KADOKAWA, 2013年)
 石田孫太郎「猫と色の嗜好」「猫の表情」「猫の智慧と理性」「猫辞典」「猫の帰らぬ時の心得」収録

吉田和明, 新田準 編『だから猫は猫そのものではない』(凱風社, 2015年)
 石田孫太郎「虎猫平太郎」収録

阿部昭ほか『にゃんこ天国 猫のエッセイアンソロジー』(河出書房新社, 2018年)
 石田孫太郎「猫の睡眠と小供」収録

平凡社編集部 編『作家と猫』(平凡社, 2021年)
 石田孫太郎「猫の帰らぬ時の心得」収録

養老孟司ほか『猫と ねこのエッセイアンソロジー』(河出文庫, 2024年)
 石田孫太郎「猫の睡眠と小供」収録