かなざわ
2025-04-20 22:55:29
11822文字
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たとえば頁をめくる速度で

よだつか。海外在住の夜鷹の元へ司が慎一郎から預かった手紙を届けに行っている数年後if。ゆっくり距離が縮まっていく話。


《三頁目》


 はい、明浦路です。
 ……あのー、どちらさまですか?
 そちらの声、聞こえないんですけど……
……僕だけど」
 ……
「聞こえてる?」
 よだかじゅんにそっくりな声だな……
 どうしようこの声で振り込めって言われたら断りにくいぞ……
「本人だからね、他人よりは似ていると思うよ。振り込みはいらない」
 ……
 前にも聞いたことあるなこの言葉……って、本人? えっ、本物?!
 よだっ、夜鷹さんなんですか? ホントに?
「落としたら壊れた」
 スマホ落としたってことです? 画面バキバキに割れてましたし、とうとうって感じしますけど。
「違う。水たまり」
 水たまり? あっ、ああー、水没……それで番号……
 事情は分かりましたけど、いきなり僕だけど、じゃなくて名乗ってくださいよ、詐偽かと思うじゃないですか。
「登録しといて」
 あっはい、それはもちろん。
 というか、スマホ変えたってことはデータも飛んじゃったんですよね? よく俺の番号分かりましたね。
「借りた本にメモが挟まってた」
 本? メモ? ってまさか、しおり代わりに挟んでたレシートのことですか!
 そういや番号書いたっけ……あんな殴り書きのくっしゃくしゃの、よく残してましたね?
 いやそれがあったから連絡ついてるんで、ありがたいんですけど。でもあんなきったない字のやつを……
「じゃあ」
 あっ……
 ……
「何」
 あの、電話ありがとうございます。
 声、聞けて良かった。
「そう」
 まだ先になりますけど、またお伺いしますね。
「うん」
 怪我とか病気とか、気を付けて。
……君もね」
 ……っ、はい。
 おやすみなさい。