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豆炭々炬燵
3814文字
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ジャンルごった煮
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【花攫い】人外×人間詰め合わせ【其の壱】
Xでお見かけした素敵設定に多大なるインスピレーションを受けております。
ジャンル別人外×人間で統一、ノリと勢いでどうぞ。
※クロスオーバーものでは御座いません※
睦月 梅→ダンダダン・タボ星
如月 水仙→アニメ学校の怪談・天さつ
弥生 枝垂桜→繰繰れ!コックリさん・狸こひ
卯月 桜→ぬらりひょんの孫・土ゆら
次の季節→
https://privatter.me/page/67d2b3e5a2fc1
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【狸こひ】手折った枝
3月 枝垂桜 攫われる人→市松こひな
「またか」
概ね現実世界から程遠い不明瞭で曖昧、これ見よがしに老齢な枝垂桜の木が一本だけ佇んでいる異質な空間に市松こひなはノータイムで唾を吐き出した。
オカンな狐がこの場にいればこちらもノータイムで「お行儀悪いことしちゃだめでしょ!」と叱る事請け合い。
こひなの周りを楽しげに駆け回る風が彼女の綺麗に切り揃えられた濡れ羽色の髪と無数の淡い桜色の腕を揺らす。こちらへおいでなさいお嬢さん、と招き誘う光景に早々見切りをつけたこひなが踵を返して枝垂桜から距離を取る。
しかし、お約束と言うべきか一定の距離を歩けばいつの間にか後ろにいた枝垂桜が正面に現れた。
これには無表情のこひなも無言で隆起した枝垂桜の根を高速で踏みつけるのも致し方なし。からからに乾いた樹皮に十円玉で傷を付ける事で抗議の声を上げ、こひなの丸い頭を無許可で撫でている桜色の腕の一本や二本、三本四本
…
とにかく沢山引っこ抜く勢いで彼女が手を伸ばすのに合わせ、筋の張った酸いも甘いも嚙み分けたけど甘い汁だけ啜りたい執念が滲み出ている壮年の男の手がはっしと小さな手を掴んだ。
「嬢ちゃん流石にそれはおイタがすぎるぜ」
「おじさんも流刑を食らったのです?」
「しょっちゅう悪いことしてる自覚あっけど、ほらおじさん素敵ダンディズムで殆どの罪免除されてっからさ」
「その手を自画自賛自称してる人ほど胡散臭いのです」
「よせやい」
人を誑すのに罪悪感を抱くつもりが更々ない顔でウィンクをかます狸の出現に少女はドン引きした。
慣れた動きでこひなを抱き上げる信楽の腕から生きのいい魚よろしく暴れ逃げようとする少女を緩い顔で笑い煙草の匂いが染み付いた着流しに押し付ける。途端、怨念に似た呻き声を上げるこひなに信楽がひと際大きく笑い──、虚空から取り出した錫杖で深紅に染まった無像の腕を払い除け透き通る音を周囲に響き渡らせた。
「ぬーん」
「機嫌直してくれよ。な? 狐にナイショでカップ麺買ってや、」
「万年無一文がなにか嘯いているのです」
呪詛を撒き散らす枝垂桜の骸を興味薄に踏みつけ今際の際まで無様にこひなの命を付け狙っていた魑魅魍魎をねめつける信楽の目は背筋がゾクリとする程に冷たく、無垢な少女の視界は意外と逞しい信楽の胸板と煙草の匂いがしみ込んだ着流しのみ映り込み終ぞ彼が自分の身を守ってくれた事なぞ彼女は知る事は無かった。
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