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豆炭々炬燵
3814文字
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ジャンルごった煮
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【花攫い】人外×人間詰め合わせ【其の壱】
Xでお見かけした素敵設定に多大なるインスピレーションを受けております。
ジャンル別人外×人間で統一、ノリと勢いでどうぞ。
※クロスオーバーものでは御座いません※
睦月 梅→ダンダダン・タボ星
如月 水仙→アニメ学校の怪談・天さつ
弥生 枝垂桜→繰繰れ!コックリさん・狸こひ
卯月 桜→ぬらりひょんの孫・土ゆら
次の季節→
https://privatter.me/page/67d2b3e5a2fc1
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【天さつ】耳に残る声
2月 水仙 攫われる人→宮ノ下さつき
爽やかで少し甘い香りに灯る情景に誘われ差し出された一本の水仙を受け取った、までは覚えていた。
しゃんと背筋を伸ばす母が好きな花から滲み出る不気味な気配。それでも目を逸らして胸に抱きしめ続けている未練がましい行為にさつきは苦笑を漏らした。
捨てたいのに捨てきれない可憐に咲く水仙、母親の大好きな花に母親の面影を見る。
「お母さん
…
」
耳に残る声が、指の形が、ぬくもりが、さつきの心に深く根を下ろして生気を吸う。
涙を流すのを堪え見下ろした水仙はさつきの悲しみを薄っぺらい名残で慰めせせら笑う。なんと、無力で愚かしく愛い存在なのだろう。ほんの僅かな幻覚と幻聴の色を濃くしただけで呆気なく飲み込まれ儚い命を散らすその様に興奮で白い花びらが震える。
『おいでさつき』
「お、母
……
」
不協和音に彩られた声でさえ惑わされてしまう無力な少女。
瑞々しい茎から伸びた蔓がさつきの指、手と腕に巻き付き拍動し始め、小さな体をさらに覆い尽くす。蔓に抱かれる幻のぬくもりにさつきは力なく微笑み、譫言のように母を呼んでは膨らみ始めた蕾を愛おしげに頬ずる。まるで母親に甘えるように頬を摺り寄せ、似ても似つかないぬくもりに目を閉じた。
そして、はち切れんばかりに膨らんだ蕾が花開く寸前地の底から這い上がるような低く重い声が響き渡った。
「誰の許可を得て俺の獲物にちょっかい出してんだ」
耳を劈く金切り声を上げ少女の体と魂から無理やり引き剥がされた水仙は為す術もなく巨大な足に踏み潰された。
水仙が巨大な足越しに見た大妖怪の面貌は、この世のものとは思えないほど歪みゾッとする喜色満面。その裏側に隠す気なぞ無い強い執着が虎の尾を踏んでしまった己自身の愚かしさに気付き、息絶えた。
「ったく、世話が焼ける」
気を失っている少女の体を片手で抱え上げ生気を取り戻しはじめた顔に掛かる前髪を傷付けぬよう鋭い爪で払う。
揺らめく陽炎に後ろ髪を引かれる思い無く別れを告げ、幼い寝言を紡ぐさつきのぬくもりを無くさぬよう天の邪鬼は巨体を人が見る世界からズラして彼女の帰りを待つ家へと歩を進めた。
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