山城まつり
2025-02-19 21:49:19
19194文字
Public 【馬子軸スーリニ】レヴリの紅玉
 

【馬子軸スーリニ】レヴリの紅玉#01

続いた!!!!やったあ!!!
ようやく自キャラが出てきます、良かった……ファン作品のままでも良かったけど、自キャラ絡める事が出来て良かった……。

レヴリの紅玉 シリーズ▼
https://privatter.me/user/YamashiroMatsuri?category=66492

前回▼
【馬子軸スーリニ】レヴリの紅玉 #00【Prologue】 https://privatter.me/page/67b4614601013

前回に引き続き、アスナショウコ様宅【レゾン・デートル】から四宮椿さん、市ノ瀬咲良さん、大河カレンさんをお借りしております。お貸しくださって本当にありがとうございます。

本作は自創作【suicidal/leniency(スーサイダルリニアンスィ)】を「馬子軸」(現代ファンタジー)に落とし込んだ作品です。何度でも言いますが、作者自身、馬子軸に関してど素人中のど素人ですので、間違った解釈などあるかもしれません。本当にすみません。
また、本シリーズは【suicidal/leniency】本編のネタバレを含みますので、「ネタバレNG!」という方は閲覧をお控えください。作者的にはスーリニはネタバレありきの方が面白いと思いますのでネタバレ推進派です────。

スーリニ原作が気になってくださった方におかれましては、以下に本編リンクを載せておきますのでよろしければご覧ください。現在Prologue~Karte03まで読めます。
昨日、Karte01の第6節が誤って第7節を載せていたことに気付きまして、修正しております。すみません……。

▼suicidal/leniency本編
https://novel.daysneo.com/works/3870c9c909042fb07a363f371caeee59.html


それでは、皆様にとって良い時間になりますように。


「────あ!え、っと……あの、日本から来られた、四宮さんと市ノ瀬さん……と大河さん、でしょうか?」


エントランスホールに入るや否や、背後からそう流暢な日本語が聞こえたので思わず振り返る。柔らかな中性的な声。そして、その言葉を発した本人も声色に見合った中性的な容姿をしていた。
夜空色の黒髪を後ろの低い位置で一つに束ねている。整った目鼻にサファイアの瞳。くすんだ水色のワイシャツの上にはネクタイ……ではなく青い宝石のブローチ。そして夏だというのにネイビーのセーター。厚着をしていても、薄く華奢な体つきをしているのが一目で分かった。指は細く、骨ばっている。何処かで見たような形だな、と思案して直ぐに答えが分かった。嘴馬先生だ。彼の掌より一回り小さいものの、繊細に動きそうな形をした指だった。
そして、彼が纏っているのは袖と裾が黒く縁取られ、右腕に二本のベルトがあしらわれた真っ白な────。


……担当者か」


椿がそう答える。目の前の彼────いや、彼女かもしれないが────は「あっ、」と焦ったように告げて首に掛けている名札を提示した。


「シメリス中央病院で心臓血管外科専攻医をしています。ルミエール・シュヴァリエと申します。……えぇと、こちらの名乗り方の方がいいですかね────《EFMATイーフマット》の、ルミエール・シュヴァリエです」

「わざわざ日本語で対応させてすまないな。気遣いが染み入る」

「い、いえ!わざわざフランスまでお越しくださった訳ですし、こちらがこの程度の気遣いをするのは当たり前といいますか……。僕もその、最近覚えたばかりですので言葉遣いとか間違っていたらすみません」


「僕」と名乗るのを聞いて、目の前にいるのは「彼」なのだと認識する。そして同時に、彼がスアサイダル症候群の専門医であるという事も。にこ、と天使のように笑う彼を見て心が浄化されていくような感覚を覚えた。彼が東医に来たら泡を吹いて失神するやろうな……そう余計な事も思案する。


「俺達の事は────」

「あ、ローザさ……神秘管理局の方から聞いています。四宮椿さん、市ノ瀬咲良さん、大河カレンさんですよね。日本の神秘管理局……ええと、先進医学研究監視公安事務局、と東都医科大学付属病院の……

「うわァ~~~!正式名称言ってる~~~!!なんか久々に聞きましたその名前。みんな公安局公安局、東医東医って言うんでェ」

「あっ、公安局と、東医と呼んだ方がいいですかね……!?」

「あぁ、気にしないでください。コイツは五月蠅く茶々入れてるだけなんで」

「えと、そう、ですか……?ありがとうございます……市ノ瀬さん」

「咲良でいいです。すみません、うちの莫迦が、シュヴァリエ先生」

「さ、咲良さん。僕もルミエールで大丈夫ですよ」

……ルミエール、先生」

「いえ、あの先生、なんて言われるほどの腕はないので……

「では、ルミエール……で」

「ありがとうございます」


そう言って眉を下げるシュヴァリエ先生────いや、ルミエール。椿は一通り会話が終了したのを見て、「本題に入ろう」と口にする。ルミエールは「あ!」と一声鳴いて俺達の「此処に来た理由」を思い出していた。


「周知しているとは思うが、日本でスアサイダル症候群の死者が出た。その死に方が異様であったために私達は公安局、そして厚生労働省に命じられ此処に来た訳だ。早速情報共有を始めたいのだが────」


此処では不味いか?
椿はそう言いながら大きな瞳だけを動かしてエントランスの自動ドアを見遣った。既に外来診療時間は終了しているようで、エントランスホールには一般人の姿は見受けられなかった。だが、スアサイダル症候群は少なくともフランスでは秘匿されている病なのだ。このような公の場所であれやこれやと議論するのはどうなのか……椿が言いたいのは、つまりそういう事らしい。


「医局にご案内します。本日皆さんがいらっしゃる事は《EFMAT》内で通達されていますので、全員集まれます。ちょ、ちょっと待ってくださいね……連絡します」


ルミエールはそう言うと後ろを向いて携帯端末を取り出し耳に押し当てた。彼が仲間に連絡している間、俺はぐるりとエントランスホールを見回していた。ダンスホールのような空間だ、と思う。天井にはシャンデリアが吊られており、ステンドグラス風の硝子窓からは一番星が瞬いているのが見えた。「異国感」というものをひしひしと感じる。自分が居るべき場所ではない、アウェーな世界……そういう事実が背筋を撫でて、一種のこそばゆさを、そして居心地の悪さを感じてしまう。
そうこうしているうちに目の前から「すみません、お待たせしました」と声が降ってくる。ルミエールが、右手を胸に置いて告げていた。


「ご案内します。スアサイダル症候群の専門チーム────Emergency Field Medical Assistance Team緊急現場医療班、《EFMATイーフマット》のもとへ」