かいえ
2025-01-27 00:06:40
9724文字
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【マイ武】そのアイドルは恋をする ①

トップアイドル「東京卍會」リーダーのマイキーと、研究生の花垣武道のラブコメ
他のメンバーとは頻繁にご飯を食べたりしているのに、マイキーとは何故か行かない武道に、マイキーがぶち切れて主にドラケンが振り回されるお話
タケミチ愛されのアイドルパロ
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 ドラケンがスマホの録音機能のボタンを押すと『‥って凄かったですよね』と、スピーカーから武道の声が聴こえてくる。するとマイキーは、より一層ドラケンのスマホに近寄った。
 武道と中華料理屋に行き、ラーメンとチャーハンに餃子もつけてがっつり食べた後、マイキーがイライラしながら待つマンションに、ドラケンはやって来ていた。明日は朝から仕事が入っているので、出来たら自宅に帰って早く寝たいと思うのだけれど、荒ぶるマイキーを放置すると、ろくなことが起きないというのを、幼少の頃の経験から身に染みて分かっているので、疲れた身体で今日の実験の結果をマイキーに知らせに来たのだった。
 武道の言葉に『そうだな』と相槌をうつドラケンの声も聴こえてくる。しばらく雑談が続き『そういえばさ、おまえ、マイキーと飯に行ったことないの?』と、ドラケンがさりげなく切り出した。
 武道は『ああそうですね』と肯あっさり定する。マイキーの喉がごくりと鳴った。
『なんで行かねぇーの? 他のメンバーとは行ってるよな?』
『それはですねだって、行けませんよ』
『なんで?』というドラケンの言葉に被るように、マイキーも「なんで?」と思わず声に出している。
『マイキー君ですよ? 一緒に行くとか考えられないっスよ。だって俺、マイキー君を目の前にしたら、ご飯なんて喉を通らないっス。マイキー君がご飯を食べているところをずっと見ていそうで
『そんな理由なのかよ?』
『ええ。変ですか? だって、マイキー君は俺の最推しなんスから。憧れの人と飯なんて絶対行けません』
 ドラケンが停止ボタンを押して「だって」と、マイキーに言った。
「嬉しいけどなんか絶望的な気分なんだけど俺は一生タケミっちと飯に行けないの? キラキラしている俺のせいなの?」
「まぁまぁ。良かったじゃん。タケミっちは、オマエが好きすぎて一緒に飯に行けないんだぜ?」
「うん。そこは素直に嬉しいんだけど俺はそういう崇拝みたいなものを求めていないんだって。どちらかといえば、俺と付き合いたいと思って欲しいんだけど」
「ハァ?」
 ドラケンは呆れるような声を上げた。
「俺はさぁ、タケミっちが好きなの。好きで好きでたまんないの。付き合いたいって思ってんの。独り占めしたいし触れたいよ
「ええ? そういう好きなのかよ?」
 衝撃の展開にドラケンは気が遠くなるばかりだ。てっきり後輩としてマイキーは武道を可愛がっていると思っていたのに、そんな盛大な下心があったとは! と、猛烈にョックを受けていた。
「ダメ?」
 小首をかしげてドラケンを見つめてくるマイキーは、正にアイドルそのもので、無駄にキラキラしている。何万人もの人間を魅了する力だ。自分には無いものを持っているマイキーをドラケンは素直にリスペクトしたくなる。
「ダメというかアイドルは恋したらダメだろう?」
「恋もしてないのに恋の歌なんか歌えるわけないだろ? 何言ってんの、ケンチンまで! アイドルとか関係ねぇの! 俺はタケミっちが好きなの! 俺だけにものにしたいんだって」
「最近、オマエの作る歌詞が艶っぽいのは、そういう理由だったんだな
「そうだよ。歌にしか想いを込められないんだって。俺、可哀想過ぎねぇ? もう、アイドルなんて辞めてやる!」
「落ち着け。大丈夫だから落ち着け」
 ドラケンはこの先二年は埋まっているスケジュールの事を考えて頭が痛くなった。マイキーが辞めると言えば「東京卍会」のメンバーは、全員辞めてしまうだろうという未来が目に見えていた。自分だってそうなのだから、絶対そうなると分かる。それくらい「東京卍會」というのは、マイキーが中心となっているグループだった。
 しかし、今すぐアイドルを辞めた場合の兆単位にも及ぶ経済的損失と、億単位の莫大な違約金が頭を過る。それだけは、絶対駄目だとドラケンは思った。
「分かった。まずはそうだな‥タケミっちとの会話を増やすってのはどうだ?」
「マジ?」
 マイキーはドラケンの提案に目を輝かせた。
「ああ、マジだ」
「すげぇ、ケンチン! 俺、タケミっちともっと会話したい」
「そうだよな、もっと会話したいよな? じゃあ、まずは仕事をさくさく進めよう。空いた時間が出来たら、俺がタケミっちとじっくり話す機会をつくってやる」
「分かった。秒で済ます」
 マイキーは急に真剣な表情になって言った。それから、そそくさと自分の部屋に行ってしまった。きっと遅れている作詞活動をするに違いなかった。ひとまず、一難は去ったが、思ったより大変な事になってしまったと、ドラケンは盛大にため息をつくしかなかった。