ゑ/圓堂
2023-08-16 20:34:27
4796文字
Public 管理NO3250本丸
 

【刀剣乱舞】さにごぜTwitterログ01【創作男審神者×一文字則宗】

2021年~2022年にかけてTwitterに上げたさにごぜの超SSのまとめです。ピクブラに上げていたのですがいつ復旧するか謎なのでこっちにも置いときます。
男士ごはんタグ参加小話『あじわふ』
則宗実装一周年小話『新たな幕開けに、どうか今は祝福を』
初めて刀ステ見てカッとなって書いた小話『誰が為に』
煙草ネタが書きたかっただけの小話『メロウフレイヴァー』
の四本立てです。


【メロウフレイヴァー】

厭に静かな夜だ。

風の無い滞った宵闇は、それでもからりと涼やかである。
深く息を吸い込むと、僅かに秋を思わせる匂いがする。

季節の移り変わりは、存外に早いものだ。
否、それは只自身がそう感じるようになってしまったに過ぎないのか。
後者に違いない、と男は微かに吊り上げた口角に紙巻き煙草を挟んだ。

もう十年近く使っている、くすみ果てて鈍色になったジッポで火を点ける。
じりじりと煙草の先端に朱の灯りが宿り、細い紫煙が宙を泳ぎ始める。
するすると夜空へ向かうその煙の姿を目で追う事が、男はすっかり癖になっていた。

立て続けに二、三口吸うと、僅かにずれていた思考のピントが徐々に合っていくような感覚を覚える。
先程まで体内に燻っていた熱が、吐き出す煙と共に褪めていくのを感じる。


心地好い、と目を閉じた。
しかし、不意に指の間から煙草が消えたのを感じて、すぐさま男は刹那の内に開眼せざるを得なくなった。

煙草の行方を目で追おうとしたが、その必要は無く、あっさりと煙草を奪った当人が男の傍らに腰を下ろした。
重力に逆らって踊る金の毛先が、月光を纏って白銀に煙っている。
おい、と男は声を掛けたが、きらめく髪の男は応えず、妙に慣れた仕草で指の間の煙草を口に含んだ。

そして、盛大に噎せた。

「ったく、言わんこっちゃねぇ」
「ぐ、ぅはは。煙管とは勝手が違うな」
「煙管は吸うのか。見た事ないぞ」
「当然だ。吸った事などないからな」

平然と嘘を吐く男――一文字則宗に、彼の主である男は深々と溜息を吐くと、一文字則宗の白々とした指の間から煙草を奪い返した。

「ただでさえ枯れてる喉、更にやられんぞ」
「誰の所為だろうなぁ」
「さぁな」

羞恥の一つも煽ってやろうかと主が投げた言葉を、一文字則宗は艶然とした笑みで受け流す。
着崩れて、最早辛うじて絡みついているばかりの夜着姿に、主は却って煽られたような心持になったが、悟られぬよう空惚けてみせた。

「だが、悪くない」
「そうか?」
「お前さんの味がするからな」

一文字則宗の浮いた科白に、今度は主が盛大に噎せる事となった。