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豆炭々炬燵
6049文字
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モアナと伝説の海シリーズ
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【コトモア】吐露【カカモア】
モア海2の世界観で椰子の実族の息子と無垢の勇者の意思疎通を図る話。軽度のマウモア要素含む。映画ネタバレ独自解釈捏造要素有。
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この状況身に覚えしかない。何なら現在進行形でも時折それとなく向けられる両親、特に父の視線に宿る意味からモアナは毎度適当にはぐらかして逃げていた。
それを今、ひしひしと如何にか両親と意思疎通を図ろうとしている立派な骨の兜を被り、手入れが行き届き使い込まれた槍を背負っているカカモラの隣に佇んでいる共に呪いを打ち破った掛け替えのない仲間の彼から感じ取っていた。
別段彼らの詳しい身の上話を聞いたわけではない。でも、この二人から漂う雰囲気身に覚えがあり過ぎる。
引き攣った笑みになるのを意識して抑え、モアナは言葉が通じないなりに島に訪れた相手の意図を汲み取ろうとしている父を盗み見る。大まかなニュアンスは通じているらしいが、絶妙に痒い所に手が届かない。
村長と首長の会話が上手く編めない籠みたいになっていく様子に騒ぎを聞きつけたケレが思わず間に入った。
「カカモラ語には多少の覚えがある」
ケレの登場に父トゥイが助かったと云わんばかりに解れ、海賊カカモラの首長である相手もその話を聞いていたのかココナッツの体をポコポコ叩き意思表示をして早速通訳を頼んでいる──、ようにモアナの目には見えた。
そして、ケレは村長と首長の期待に難なく応えた。
「どうやらこいつらは友好関係を築きたくてモトゥヌイに訪れたようだ」
ケレの通訳に合わせ首長が小気味よくココナッツの体を叩き背負っていた槍を抜きその先端で自分らが乗っていた小舟を指せば、待ってましたと云わんばかりに船番であろうカカモラが意気揚々と小舟に繋がれていたロープを引っ張った。
豪快な水飛沫と音を立て見たこともない巨大な魚らしきものがモトゥヌイの砂浜に打ち上がる。それを興味薄に見たケレを除くモアナ、トゥイとシーナの三人は目をまん丸にさせ数回瞬かせた。
「こいつは手土産だと」
「ほうっ。こちらとしても無駄な争いをしたくない。可能であれば双方にとって有意義な、」
対話可能且つ友好的と知るやトゥイの目が輝きを増しすわトップ会談が開くかに思われたが、やんわりトゥイの横にいたシーナがトゥイの逞しい肩にそっと触れ彼を落ち着かせた。
「トゥイ、ここで話を続けるにしても開放感がありすぎるわ。それに船旅で疲れているでしょうし」
「それもそうだ。気付けずに申し訳ない。話の続きは向こうでゆっくりと」
無礼を詫びるトゥイに首長が「気にするな」と自身の体をポコンと鳴らし案内するトゥイの後ろに付いて行く光景を一歩下がって歩くシーナがケレに目配せをして優秀な通訳の同伴を願い出た。
「そんな目で見んとも分かってる。今日の畑仕事は仕舞いだ」
「頼りにしています」
やれやれと溜息を吐くケレを見て微笑むシーナが顔を前に向けたのを見計らい、若干置いてけぼりを喰らっている後継者二人にケレがぶっきら棒に、されど気遣うように小声で声を掛けた。
「お前さん等はどうすんだ」
「んー
…
。出来れば同席はちょっと遠慮したいかな」
歯切れの悪いモアナに相槌するようにコトゥが被っている骨メットを上げ体を一回叩きすぐさま骨メットを被り直した。
種族は違えど似たような立場同士が抱える親近感。パッとしゃがみ込んだモアナがコトゥの顔を覗き込み「あなたもそう?」と同意を求めれば肯定の意を示してか、コトゥがまた体をポココっと叩いた。
「カカモラ語、分かるのか」
疑っている訳ではないが、ケレの怪訝そうな面持ちにモアナは首を傾げ空に浮かぶ雲を眺めた後、パッとケレに顔を向けおどけるように肩を竦めた。
「なんとなく?」
「だったら先にお前さん等の方から、」
「ううん、大丈夫ケレ。ありがとう」
ケレが言わんとしていることを敢えて遮ったモアナは、丸い体を傾けているコトゥに嵐さえ吹き飛んでしまう笑顔を見せた。
「私もカカモラ語を覚えて、もっと彼らと話をしたいもの」
屈託のない純粋なモアナの想いにケレは柔らかに微笑み、よく通るトゥイの声に呼ばるや否や「適当に誤魔化しとく」と丸くなった背中越しに一言残して歩き出した。
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