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紫輝
2024-08-03 13:28:58
19176文字
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リオヌヴィ
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【リオヌヴィ】最高審判官の家にはご飯の精霊がいる【原神】
合鍵を渡したらふらっとやってきたセスリ殿がご飯作って帰ってくれたヌ様の話です。全3話+番外編。
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ex.ご飯の精霊のベッドには不法侵入者がいる
肩口に乗る重みと温もりに意識が浮上した。飛び起きる事はしない。その必要もない場所なので。
視線を向けた先に散らばる銀色とゆっくりと上下する肩を見てため息混じりに笑う。どうやらまた不法侵入を許してしまったようだ。
“整えたのでどうか泊まっていってほしい。君の職務に影響のないときだけで構わないので”
――
開かずの間だったゲストルームに手を入れた恋びとに、躊躇いがちかつ控えめにそんな申し出をされて断れる男がいるだろうか。少なくともリオセスリにその選択肢はなかった。それじゃあ有難くと返答した時のほっとしたような顔がそれはもう可愛くて、今も時々思い返している。実は主寝室の使用許可もとっくに出ているのだがそちらは丁重に辞退させていただいた(ゲストルームが整えられた理由の一端はここにあるのだろう)。家主のいないところで家主のベッドでぐっすりと眠れるほどリオセスリは家主に対してふてぶてしくはなれないし、紳士的なゲストでありたい。できる限り。
そんな経緯もあって恋びとの自宅のゲストルームでそれなりの回数夜を越しているわけだが、初回からずっとベッドに不法侵入されている。本当に、言葉通り、毎回だ。事前の同意がないだけでこちらに拒否の意思はないので半不法侵入というか何と言うかだが、ともかく
――
「頑張ったけど外的要因のせいでダメだった」日、恋びとはこうしてゲストルームのベッドに潜り込んでくる。白銀の髪が纏う石鹸の香りと腕に触れるやわらかな布の感触がなんとも心地いい。今日はきちんと湯浴みをした上で潜り込んできたようだ。偉い偉い。小さな頭を撫でながら心中で呟く。初回のこのひとときたら辛うじて外套を脱いだだけ、髪飾りもスカーフもブローチもそのままの、自宅で就寝するためのドレスコードを全て無視した格好でこうして隣で丸まっていたのだから。
「顔を
…
見るだけの、つもりだったのだ。だったのだが、君の寝息を耳にして、温もりに触れてしまったら、その、気づいたら朝だった
…
」
寝苦しかろうにと思いはしたが深い寝息を聞いてしまえば起こすのが躊躇われて、男二人には
細
ささ
やかな広さのベッドで寄り添って迎えた朝。腕の中でぽやりと微笑む愛しいひとの額に唇を落として問いかけた「何故」に、もにょりと返された答えがあまりにも可愛らしくてどうしようかと思った。し、連休なり半休にすべきだったと心の底から後悔したりなどした。始業に間に合うように帰るためには、朝は割とふわふわしているこのひとをふわふわのまま置いて出なければならないのでは?
…
という事実に遅まきながら気づいたからだった。以来泊まる余裕のある時には午前半休も取る事にしている(看護師長にはそれはもうイイ笑顔で「いい傾向なのよ!」と親指を立てられた)。
さて、と目をやった時計は恋びとの起床予定時刻の三十分ほど前を指していた。起き出して朝食の準備に取り掛かる、もしくはアーリー・モーニング・ティーを楽しむのも良いのかもしれないが、リオセスリはこんな時、このまま恋びとの眠りを護る事にしている。一度先にベッドから出てキッチンに立っていた時にゲストルームから出てきた恋びとがひどく消沈しており、慌てて声を掛けたところ「私を起こしてくれずに帰ってしまったのかと思った」などと現状を自分の夢と疑うくらい可愛いことを、寂しさと安堵の混じった
表情
かお
と声で言われた
――
という経緯があるからだ。
寂しがってくれるのは男冥利に尽きるが美しいかんばせに影が落ちるのは見たくないし、大切な恋びとの新しい一日の始まりは出来る限り良いものであって欲しい、いや俺がそうしてみせる、という願いと決意のもとに、以来リオセスリはこうしてあどけない寝顔を堪能しながらその階調の瞳が自分を映すのをゆったりと待つ事にしている。恋びとが目を覚ましたらおはようを交わして、朝食は水派である彼にも無理なく食べられる食事を用意して、髪を結わせてもらって、出勤する恋びとを見送るのだ。そのための半休なので。実に充実している。ふわふわな恋びとを甘やかす事によりある種の癒し効果を得られ、午後の自分のモチベーションも上がるのでいい事づくめだ。ちなみに行ってらっしゃいは必要かいと聞いたら帰ってきた時君がいない事実に耐えられなくなるから控えて欲しいと言われた。ちょっとばかり可愛いがすぎる。やはり水の上への引越しを検討すべきだろうかと本気で考えている、ことは、今はまだ言葉にはしていない。
もぞり。腕の中の身体が身じろいで、撫でていた小さな頭が手のひらに擦り寄ってきた。んぅ、と常の凜々しい姿からは想像できない愛らしい唸り声が聞こえたあと、深海の色をしたまつ毛に縁取られた目蓋がゆっくりと開く。
「
………
りお、せすりどの」
「おはよう、ヌヴィレットさん」
「おはよう
……
」
覗いた夜明けの瞳がリオセスリを捉えてほわりとゆるむ光景に今日も何度目かの恋に落ちて、まずは白い頬に挨拶のキスをひとつ。
「ちゃんと夕飯は食べたかい?」
「うむ
…
いつもどおり
…
とても、びみであった。ゔぃしそわーず
……
」
問いに答えながらゆっくりとまたたく恋びとは今にも夢の世界に逆戻りしそうだ。ともあれ昨日の彼がきちんと食事をし、湯浴みをして、ドレスコードを守って潜り込んできたことを改めて確認して一安心などしつつ額に唇を落とす。
「俺はそろそろ朝食の準備をしようと思うんだが、あんたはどうする? もう少しベッドにいるかい?」
テーブルが整った頃に声を掛けにこようかという提案に、恋びとは首を緩慢に横に振った。
「
…
きみがいないのではいみがない」
ので、おきる。
「
……
そうかい」
相変わらずリオセスリに対する威力補正が凄まじい言葉をぽやりと呟いて、身体を起こそうとしている彼に手を貸してやる。上半身を起こした状態で向かい合うと、恋びとはそのままのそのそと胸の内に入ってきてすりと首筋に懐いてきた。いつものように。
龍種の一般的な起床時の挨拶なのかもしれないが相変わらず諸々の威力がすごい。庇護欲だの愛おしさだの多幸感だのが際限なく溢れてくる。そのうち幸せの過剰摂取で倒れるかもしれないとは流石に口にした事は
――
いや、いつぞやの酒の席で風の国の某騎兵隊長には漏らしたかもしれないが
――
ない。
本日も丁寧かつ完璧にコロされつつひよひよと跳ね回る銀糸を指で梳いていると、持ち上がった美貌と目が合う。龍種の作法に則った朝の挨拶は終わったらしい。
「今朝も君の顔が見られて嬉しい」
にこ、と。ご機嫌麗しい微笑みを真正面から受けてらしくなくもきゅんなどと鳴った気がする心の機微から目を背けながら、笑顔を返して珊瑚の唇に己のそれを寄せる。
「俺も今日一番に見たのがあんたの顔で嬉しいよ。一日頑張れそうだ」
「
…
うむ、私もだ」
吐息の触れる距離で囁けば、暁の瞳が甘やかに融けた。
ーーーーー
リ殿のヌ様可愛いが大洪水を起こしました。私が一番びっくりです一生やってて欲しい
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