恋愛成就のまんばの話【ちょぎくに】


ちょぎくに

まんばはひょんなことから、恋愛成就のご利益として有名になってしまった。

ある時友人が「好きなひとに告白するんだ、勇気が出ないから頑張れって手を握ってほしい!極めてるあんたにそうしてもらったら上手くいく気がする!」と言ったため、ぎゅっと手を握って激励した。

その告白がうまく行き、めでたしめでたし、と思ったら「あいつのおかげで上手くいったんだ!」とそこらかしこで架空の手柄を触れ回られ、『恋愛成就の極山姥切国広』と噂になってしまった。

しかもタイミングが悪いことに、演練で握手をした刀に恋刀ができたり、困っていたおばあちゃん審神者の手を引いて案内したらその後別の審神者とシニア結婚したり、立て続けに実績ができてしまった。

今では演練や買い物に行くたびに「握手してほしい!」と声を掛けられる。

本当に効果があるわけないが「お前のおかげで片恋が叶った!」と報告が絶えない。それは彼らの努力の結果であって、まんばはただ勇気を出すキッカケにすぎない。だから誇大広告はやめてほしい。


まんばは本丸の長義に恋していた。しかし嫌われてる。

本当にまんばに恋愛成就の効果があるなら、本人にも適用してほしいが、本人には効果がないらしい。
いつも嫌そうな顔をされる。

しかしある日審神者の命令でふたりで買い物に行くことになる。
人混みで逸れそうになったため長義が言う。
「仕方ない、手を繋ぐぞ」
「え」
普通だったら嬉しかったが、今は例の噂がある。長義の耳にも入っていることだろう。
「あ、いや、その……
逸れないようにというのは建前で、まんばのご利益狙いでは?と頭を掠める。
「長義は、もしかして、好きなやつが、いるのか……?」
「えっ」

その反応だけでわかってしまった。
まんばの噂を知らなければ「何で当然そんなことを?」と怪訝そうに聞くはず。
今の反応は的を得られてドキッとした表情だった。
まんばは胸がぎゅっと締め付けられる気持ちになって「手は繋ぎたくない!」とだけ言って人混みから離れ、走って逃げた。

本歌はもちろん「好きな子と手を繋ぎたーい!」と言う気持ちで言ったんだけど拒否されてorz(表現が古い)
「繋ぎたくない」はだいぶ心に来る。

まんばは完全に「長義、好きなやついるのか……」ってしょげてる。お前お前!

で、いろいろあって、転けそうなまんばを助けるために手出して、思わず握る。
「あ!」ってなって、手を握ってしまったから長義の片恋が成就してしまう……って思い、涙をぐっと堪えながら「えと、よかったな……。これで長義の恋は叶うから……」って言うんだけど長義は「???」ってなっててまんばも「???」ってなる。

「お前知ってたのか?」
「え、なにを?」
「だって俺の恋が叶うって」
「え、叶えたくて俺の手を握りたかったんだよな?ジンクスの……
「ジンクス??」
「???」

話が噛み合わなくておかしいなって思って、まんばは「俺の手を握ると恋が叶うってジンクスを知ってるよな?」って聞く。
長義からは「は?なにそれ。お前の霊力皆無のくせにそんなことできるわけないだろ。お前そんな大嘘ついてるの?」と言われる始末。

「は!?でも今まで何人も……!」
自分では過大広告だとか偶然だとか言ってたくせに、否定されると可能性を示唆したくなる心理。

「でももしそれが本当だとして、俺の恋が叶うの?」
「いやその……
「お前次第なんだけど」
「そんな責任は持てない……!」

ぎゅって握られて泣きそうになる。そんなに恋を叶えたいのか。

「俺が好きなのはお前なんだけど」
「は?」
「お前の手のご利益はあるかな」

チョギクニハピエーン!!お読み頂きありがとうございました!お疲れ様でした!