ネツシの話⑤『為の』に相談したい写しの話【ちょぎくに】


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(②の後日談)


『写しの為の写し』と名乗っていた長義は恋刀にアカウントを消され凹んでいた。

1000振りのフォロワー写しがいたのに、ショックでしょうがない。
ふたりで万屋に買い物に出た際に、他の写しが目に留まり、心配になる。浮かない顔をしてる。何か悩みがあるに違いない。力になってあげるのは本歌の勤めだ。

恋刀に頼み込む。

「頼む、アカウントを作らせて欲しい!」
「ダメだ、また他の写しにちょっかいをかける気だろう」
「そんなことはない!ただ心配なだけだ!俺に相談していた写し達がたくさんいて、その後どうして……
「放っておけ。それに前科があるやつの言うことは信用できない。買い物が終わったらとっとと帰るぞ」

とりつく島もない。

帰り道、ベンチに座ってる布の写しがいた。俯いて涙ぐんでいる。
傑作の矜持がある写しが人前で涙を見せるなんて珍しい。

(なんて可哀想なんだ!何かあったんだろうか!)

「どうした?何かあったのか?」
恋刀の方が先に声をかけていた。出遅れた。
「み、みっともないところを見せてすまない

泣いてる写しは、何でもない、俺に構わなくて良いの一点張り。
「しかしこんな所で泣いてるなんて、相談できるやつがいないんだろう?俺ならもう会うこともないだろうから恥じゃない。いくらでも話すと良い」
「そ、相談相手ならいる」
「いたのか」
「SNSで知り合った同位体なんだが、アカウントを消してしまって、もう連絡が取れなくて

どこかで聞いた話だ。
「もしかして『為の』か?」
!そ、そうだ!」

この写しは長義が以前相談に乗ってあげていたフォロワーだった。
なんたる偶然。なんたる運命!
あの写しかな、いやこの写しかも、と頭を駆け巡る。

「あんた、なんでそれを
「俺が『為の』だからだ!」
(はぁぁ!?待て待て待て!!)
「あんたが……『為の』……!?」
(何言い出すんだこいつは!)

「そうだ、ちょっとこちらの事情でアカウントを消してしまったんだが、息災だっただろうか?」

キラキラと写しの目が輝きだす。
「お、俺のイメージ通りだ!『為の』さんに会えるなんて!」

違うんだが。
「やっぱり極めてたんだな!しかも本歌を従えてるなんて!」
従えてるんじゃなく、同僚だ!

「突然いなくなってすまない、良ければ話を聞かせてくれないだろうか?」
写しの手を恋刀がぎゅっと握り、心配そうに見つめてそう告げる。
「は、はひ……
なんで口説くような体勢なんだよ!お前は俺の恋刀だろうが!!

写しは顔を赤く染めつつ、しどろもどろになりながら、拙い説明で悩みを打ち明けた。さっきまでの強情はなんだったのか。

すべて話を聞き終えた後、恋刀は言った。

「殴れ。その本歌は根性が捻じ曲がってる」

物理。

「な、殴る!?」
「殴って黙らせろ。写しだからとそんな態度を取るなら体でわからせてやれ」
「し、しかしさらに怒ったら
「さらに殴れば良い。筋肉はすべてを解決する」

暴力反対……

「い、いや、やっぱり話し合いじゃないかな!?お前の本歌だって誤解があっただけだと思うよ!ちゃんとなんでそんな態度取ったのか伝えてさ!」
写しの間に口を挟む。

「誤解していたとて、そんな態度を取っていいわけじゃない」
「ほ、本歌だって事情があったんだよ!」
「どんな事情だ」
「それは話を聞いてみないと!」
「よし、その本歌をここに連れて来い。生半可な事情なら俺が一発殴ってやる」
「やめろ!」

とにかく一度長義と話すことで相談は終わった。泣いてた写しは少しスッキリした顔で帰っていった。

「同位体達は心配だな、そんなことで悩んでいたのか
「だ、だろ!俺の気持ちがわかっただろ!だから!」
「全同位体から全本歌を引き離さなければ」
「」


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