水晶氷山
2024-11-15 22:12:24
10252文字
Public 毛魂
 

過去に投稿した毛魂二次文再掲

過去X(旧Twitter)に投稿した掌編やSSを過去投稿検索やメディア欄から遡るのも手間だと思ったのでこちらに再掲載いたします
拙文・捏造・妄想・イマジナリーバーババ・イマジナリー白幻死装徒などご注意ください


【帝王は企む】(ビービビ)2021/04/17投稿
 ボボボーボ・ボーボボが毛狩り隊のどこの基地を潰しただとか、最近仲間ができたらしいだとか、とうとう四天王を倒しただとか……そういった報せを聞く度に複雑な感情を覚えた。
 あいつは俺と戦うつもりなのだと気付くのに時間はかからなかった。
 わかっている、そうするように焚きつけたのは俺だ。あいつはそれを愚直に全うしようとしているだけに過ぎない。この二十年間鍛え続けた力で、抱き続けた覚悟で。
 世界規模の帝国を相手によくもまあやるものだという感心と、奴が未だに反逆の意思を持ち続けていることへの不快感が入り混じる。大人しく降伏すればいいものを。
 そしてあいつがサイバー都市を制圧したこと、復活した3世世代や地上からの追放者達に勝利を収めたこと、ついでにマルハーゲ帝国が解体されたことを知り、俺はついにその時が来たのだと悟った。二十年前の言葉通り、ボーボボはもうすぐ此処に来るだろう。俺を殺す為に。
 もちろんそう簡単に死んでやる気はない。たとえボーボボがどれほど強くなっていたとしても、どれほど仲間に恵まれていたとしても関係なく俺の手でねじ伏せてやるだけだ。俺に逆らうのならたとえ弟であっても殺す。もしその場に奴の仲間がいたとしたら一緒にあの世へ送ってやるのも悪くない。いや、それともあえて仲間から先に殺すか?
 想像すると胸が高鳴ってしまう。

 だがもしあいつが全てを諦めていて、俺への服従を選んでいたのなら……その時はせめて可愛がってやるよ。俺の支配する世界を特等席で見せてやろう。
 いずれにせよ、最後に笑うのは俺だ。


【阻まれて、止められて】(ゴイスー)2021/05/19投稿
 計画の失敗を悟り、俺はその場に崩れ落ちた。
 ……結局また何もできなかった。
 兄さんを傷付けた奴等を皆殺しにしようと決意した。そのために策を巡らせて、それに相応しい舞台を整えた。確実に奴等を殺すために俺自身も激しい鍛錬に身を投じた。
 そこまでしたのに、誰も殺せなかった。
 せっかく奴等が死ぬ様を見せて差し上げようと、兄さんもこの場に呼んでいたのに。
 殺したかった奴等が俺を見ている。やめてくれ、そんな目で俺を見ないでくれ。敗者を見下すような目を向けないでくれ。
 殺したかった奴等が何かを言っている。なのに何を言っているのかが聞き取れない。罵声かもしれないし、憐れみかもしれない。何もわからない。言葉は聞こえているのに意味を理解することができない。きっと理解することを脳が拒んでいるのだ、そう冷静に分析できている自分がいた。

「もういいんだ」
 そんな中でも兄さんの声だけははっきりと聞き取れた。
「もういいんだよ、ゴイスー。ありがとう」
 兄さんの言葉に込められた意味だけは、理解できてしまった。
 他の奴等の表情とは違う、優しく柔らかな微笑みが俺の思考を掻き乱す。涙が溢れて視界が滲んでいる。
 やめてください兄さん。こんな俺に情けなどかけないでください。貴方のために何もできなかった俺なんか、救済される価値もないのです。
 どうか俺を罰してください。


【前夜】(ギガ)2021/06/07投稿
 帝王感覚を最大限研ぎ澄ませ、幾度も思考を繰り返す。
 読み尽くせないほどの様々な可能性を一つ一つ拾い上げては処理していく。
 これからのことを考えるといくら計算したとて無駄ということはないだろう。何せサイバー都市がこの世界に、世界中のありとあらゆる勢力に宣戦布告するのだ。最後に笑うのがオレであるためにも、計算式は多いに越したことはない。
 見知った顔の奴等と脳内で何度も何度も対峙する。かつてこのオレと敵対した奴等はもちろん、部下であるはずの6闘騎士の奴等も、それなりに仲のいい奴等も例外なく対処法を考えていく。だって彼奴等が素直にオレに従ってくれるとは限らないだろ。最後の最後で裏切ってくる可能性はゼロじゃない。

 ただ無力化するだけじゃなく、命を奪うケースも忘れずに想定する。
 黒炎が掻き消える。嵌められることなく枷が破壊される。文字が虚空に溶ける。白銀が紅に染まる。黄金が哀れにも砕け散る。ポンパドールが力なく解けていく。その様を想像するのが、その解を導き出すのが、そこに至るまでの演算がとても楽しい。酷く愉しい。
 きっと今ならオレを負かした奴等にも。ボーボボだけじゃなく、あの三つ目野郎や着ぐるみのクソガキ、裁判狂いにも後れを取ることはないだろう。何せオレは帝王なのだ。もう二度と敗北なんてし得ない、するはずがない。だってお前等の手の内は分かってるんだぜ。あとは答えを出すだけだ。
 さあ、世界を敵に回してやろうじゃん?