Momosei808
2024-10-27 20:36:44
10381文字
Public SD(リョ花)
 

なんかおおきくてかわいいやつ

唐突にリョータとの体格差を意識してしまった花道が悩む話。
エッチな場面は……ご想像にお任せします(??????)


*******

「お、今週の5位、あのバンドじゃねーか」
「リョーちんがこの前カラオケで歌ってたやつか」
「そー。新曲はまだ覚えてねーんだよな。ラジオでかかってたやつは録音したけど」
「CD買わねーの?」
「いちいちシングルCD買ってたら金勿体ねーから、俺はアルバムで欲しい派」

街の小さな定食屋で安いラーメンをツケで食べ終わって、二人揃って花道のアパートにやって来た。
今は二人でテレビの前に座って、歌番組を見ているところだった。
歌番組を見ながらも、花道は早速困っていた。

というのも。

畳の上に座った花道の長い脚の間に、リョータが背を向けて座っているからだ。

(リョーちん、相変わらず、良いニオイする……。刈り上げんとこ、ちょっと伸びてきたっぽいな。ピアスの裏っ側んとこ、丸見えだ)
自分に密着して座るリョータの、自分より一回り以上小さな後ろ姿が、花道の胸をときめかせていた。
リョータの身体は、とにかく花道の中にすっぽりと納まり具合が良い。
加えて、リョータは時折手慰みのように、花道の太腿を優しく撫でるのだ。
その感触はとても優しく、慰撫するようなものだが。
その一方で、リョータに触れられる意味を知ってしまった身体に、艶めいた熱を残す。
リョータの触っていた部分が他の部位よりも熱く感じられて、花道は頬を染めた。

(リョーちんは心配してオレんちに来てくれてんのに、何フラチなこと考えてんだオレは!!)

そう思って、花道はブンブンと頭を振った。

そして、いつの間にか歌番組がCMに入った頃だった。

「なー、花道」
リョータに呼びかけられて、ぼう、としていた花道の意識が焦点を結んだ。

「お前、今日、何があった? 何であんな元気ねー感じだったんだよ」

遂に、リョータが本丸に切り込んで来た。
「言いたくない、ってんなら、無理強いはしねーけどよ。悩みがあるなら、少しでも俺のこと頼って欲しいんだけど。……コイビトなんだし」

リョータの問う声も口調も、普段のキャプテンであり先輩をしている時とは違う。とても優しいものだ。
その優しさを感じるにつけ、花道の胸の奥が、じいんと熱くなる。
思わず自分の前に座るリョータの背中を、ぎゅ、と抱き締めた。
自分よりも小さいけれど、確かに頼れる背中だと、そう思って。

花道は、口を開いた。

「なぁリョーちん」
「何だ?」

遠慮がちに問いかけてきた花道に、リョータが優しく相槌を打って促してやる。
すると、花道は──、


「腰とか腕とか、最近、よく疲れるようになったりしてねーか?」


こんなことを言ってきて。

思いがけない問いに、リョータの目は点になった。

……は???」

呆気に取られたリョータが唖然とした声を出す。
花道は続けざまに問いかけた。
「腰とか……、場合によっちゃあ背中とか、酷い筋肉痛になったりしてねーか? その……、部活以外の『運動』で、すげー疲れるみたいなことねーか? 夜、特に体力を消耗する、みてーなことねーか? もし痛むようだったら、マッサージして……
「花道、ストップ!」
延々と問いを繰り出す花道に、遂に待ったをかけたリョータは、勢い良く背後を振り返った。
花道の腕の中で反転して、目の前の恋人の顔を見る。
花道は、顔を真っ赤にして、必死で言葉を紡いでいるようにも見えた。
決して冗談を言っているワケでは無さそうだった。
目は真剣そのもので、リョータの状態を、心底知りたいと思っているかのような──。

……なあ花道。今の俺への質問って……、どーいう意味? わりーけど俺、ピンと来てねえわ」

リョータの眉は、いつもと違って困惑で歪んでいた。
花道はそんなリョータを見遣ると、酷く困ったように俯いてしまった。
学ランの裾をぎゅ、と握って、何かに耐えているように見える。
学ランから覗く耳も首も真っ赤で、何か酷く言いにくいことを言い淀んでいるのだろう、ということだけはリョータにも分かった。

そして、リョータが困惑している間に、CMが終わっていたらしい。
いつの間にか今週のランキングの発表は終わり、雛壇に座っていた今週のゲスト歌手がスタジオで歌う時間になっていた。

花道は、リョータの背後に見えるテレビの画面を見た。
画面に映るのは、若く可愛らしい、少女たちのアイドルグループだ。
今どきの思春期の恋の悩みを歌う、ありふれた、売れ筋の曲だった。
今は、リョータは背後の花道の方を向いているため、テレビを直接観てはいない。
それでもリョータは流れて来た楽曲で、目の前の恋人が観ているだろう画面を察した。
「リョーちん、あのオンナノヒトたち、どう思う?」
不意に花道が漏らした問いかけに、リョータはまた頭に疑問符を浮かべた。
今の花道の視線の先を確認すべく、背後を振り返り、テレビを見遣る。
「どうって……、ふつーじゃね?」
リョータが答えても、花道は更に詰め寄った。
「ふつー、って、それだけかよ?」
やたらとしつこい。リョータは眉をまた歪めた。
「それだけって何だよ」
「例えばだな……、小さいな、可愛いな、とか、そーいう」

「あ~~~、まあ、そうだな。可愛い寄りだよな」
……リョーちんも、ああいう感じ、好きか?」
「まあ、嫌いじゃねー、つか、そーね、好きかもな」

リョータは、何の気無しに、そう答えた。
とは言え、実際には彼女達のようなアイドルグループは、リョータの好みとはちょっと違う。
リョータの好みは元々、背も高めでスタイルが抜群でセクシーな、大人の魅力溢れるタイプだ。
少女らしいリボンやフリルをあしらった衣装よりも、黒いタンクトップでボディーラインがはっきり見えるセクシー系の方が断然好みなのだ。

そして、ぼう、とテレビ画面を観ていた数秒間の後に、ある気配を感じて振り返ったリョータはぎょっとした。

花道が、大粒の涙を流していたからだ。


「ひぅっ……、ぅぐっ……、っ……!」
声を押し殺して涙を零す花道に、リョータは狼狽えた。
「ちょっ……、どーした!? おい、花道!!!」
慌てて呼びかけつつ、花道を宥めるように広い背中に腕を回し、撫で摩る。
「どっか痛いか? 辛いとこあるか?」
問いかけても、花道は首を横に振るだけだった。
遂にはひっくひっく、としゃくりあげ始め、リョータは途方に暮れた。
花道の背中と肩を撫でながら、優しく呼びかける。
「なぁ花道。どした? 何か辛いか? オレ、何かマズいこと言った? そんなら言って、ちゃんと謝るから」
花道は暫くの間、涙を止めようと頑張ったらしいが、余り効果は無かったらしく。

遂には、しゃくり声を上げながら、話し始めた。


「リョーちっ、ほんとは、オレと、エッチ、してて、しんどいって思って、んだろ」


それを聞いた瞬間、

………………ハ?????????????」

今度こそ、特大級に困惑した声が、宮城リョータから零れ出た。