Momosei808
2024-10-27 20:36:44
10381文字
Public SD(リョ花)
 

なんかおおきくてかわいいやつ

唐突にリョータとの体格差を意識してしまった花道が悩む話。
エッチな場面は……ご想像にお任せします(??????)



かつては泣く子も黙るヤンキーだった桜木花道がバスケを始めたのは、高校に入学してからだ。
バスケ部に入部してから4か月ほどでインターハイに出場し、そこで全国を相手に強烈なインパクトを残した。
天王山となった試合で花道は背中に重傷を負い、暫しの入院とリハビリを余儀なくされた。
入院とリハビリに、誰よりもよく付き合ってくれたのは、バスケ部の現キャプテンである宮城リョータだった。
リョータは、花道より1学年先輩の2年生で、インターハイの後にバスケ部のキャプテンを引き継いだ。
花道よりもずっと背丈が小さく、体格も小柄だが、兎に角プレイが速い。
そして花道よりもずっとバスケに詳しかった。
初心者の花道は、普段は強がってこそいるが、分からないことがあればリョータには積極的にプレイについて聞くようにしていた。
今年の5月頃に部に復帰したリョータと瞬く間に距離を詰め、気づけば部内で最も親しい友人関係になっていた。

その関係性が変わったのは、花道がリハビリに苦しんでいる頃だ。
終わりが見えないリハビリに苛立ちと焦燥を感じていた花道は、自分に割り当てられた病室で、よく苦し気に涙を流した。
部のみんなが見舞いに来てくれる時には決して見せまいとしていた、弱気な涙。
それを、リョータは目撃した。
リョータは、苦しむ花道に何も言わず、ただ優しく寄り添ってくれた。
病室のベッドの上で泣きじゃくる花道の頭を優しく胸に抱き、花道が落ち着くまで傍についていてくれた。
リョータの胸は、香水だけじゃなくて、海の香りがする。
何度目かの抱擁になったかも分からないある時、ふと花道はそう思った。
それから、花道はリョータの存在を意識するようになり。
リョータもまた、花道を献身的に支えてくれた。

そして、花道が退院した頃。
いつしか思い合うようになった二人は胸の内を打ち明けて、晴れて恋人同士になった。
部の誰にも秘密にしている、同性の友人関係から始まった、恋人関係。
自分よりもずっと小柄な先輩のことを、いつしか誰よりも心の支えにしていた花道は、初めての両思いに浮かれ切っていた。



だからこそ、先ほどあのサッカー部男子からあんなことを言われて、花道は冷や水を浴びせられたような気がした。
花道は、既にリョータと肉体関係がある。
『お前を、抱きたい。……花道』
初めての頃、リョータが願い出て、花道はそれを受け入れた。
自分の思いも寄らない部分を暴かれて拓かれる恐れはあったが、それ以上に、リョータと誰よりも近い部分で繋がれる幸福感で胸がいっぱいになった。
初めて身体を繋げてから、リョータとは時折、タイミングを見計らって体を重ねている。
大切な試合や試験がある時はお互いを思いやって控えているが、タイミングが合ったらそれは熱く身体を交わらせていた。
花道は、リョータに触れるのも、触れられるのも好きだ。
でも、その一方で、エッチを覚えたての身で、しょっちゅう求めたらリョータに引かれてしまうのでは……、と。
そういう危惧もしていた。

そんな中で、今日新たに、その事実を突きつけられたのである。

リョータと自分の間に、埋めようも無い、大きな体格差があるという事実を。

リョータは花道よりもずっと細く、小さい。
勿論実際には、リョータ自身は鍛えていて、同じ身長の同年代の男子よりは遥かに筋肉質なのだが。
それでも、花道はリョータよりもずっと重いし、ずっと大きい。
セックスをする時も、向かい合う体位だと、リョータの顔は花道の胸の辺りに来る。
花道のむっちりとした太腿を抱え込むのリョータの腕は、鍛えてはいるが、花道のそれよりも細い。
花道の大きな尻に、リョータの腰の骨ばった部分が当たる感覚。

それらを思い出して、花道は途方に暮れていた。

ちなみに現在は、バスケ部は通常通り部活中である。
しかし、気もそぞろな花道に対し、周囲は何事だと訝しんでいたし、それはバスケ部キャプテンで花道の恋人であるこの男も例外ではなかった。

「花道!」
部活終わりに、突然明朗な声で呼びかけられて、花道の身体が跳ねた。
「りょ、りょーちんっ!!!」
花道の眼下には、20cmの身長差のついた恋人の、心配そうな顔がある。
周囲に人が居ないのを見計らって、リョータは聞いてきた。
「お前、どーした? 今日ずっと集中出来てねーだろ」
「ふぬ……、そんなこと……
「そんなこと無え、とか言わせねーからな。……なあ花道、何か悩みでもあるか? 今日ずっと、ぐるぐる迷子になったみてーな顔してるぞ」
自分でも気づかないうちにどうやら顔に出ていたらしい。
リョータは花道の微妙な、というかだいぶ分かりやすい動揺を感じ取って、呼び止めたのだ。
花道がリョータの問いかけに満足に返せずに俯いていると、不意にリョータが花道の胸元を引いた。
汗に濡れたタンクトップの胸倉を掴み、己の方へと引き寄せる。

そして、リョータは宣言した。

「今日の帰り、お前んち、寄るから。……ダメだっつーなら、諦めるけど」

強気に出た後に、リョータらしい弱気と繊細さが顔を出す。
花道は、そのリョータの人間らしいところが好きだ。
自分の悩みは解消されたワケではないし、リョータが果たしてどう考えているか不安ではあったが──、

花道は、頷いた。