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たこてい
2023-05-11 01:37:00
4642文字
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そして、心底耳障りで不愉快な呼び出し音は止みました。
「赤い糸の解き方.exe」の光くん視点の話
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「光くんおはよー!」
「おはよ!ごめんお待たせ!」
「いえいえー」
自宅の門扉をキイと引きながら出てきた彼女に、寝癖を軽く整えながら駆け寄る。
結局あの日から色々考えたけど答えが出なくて、オレは無事寝不足になっていた。でも、よりによって朝からゼミがある日に寝坊なんて。
…
友人と気まずくなりそうで更に眠れなかったのが大きいかもしれない。
気にしなくていいよお、と彼女はくすくす笑う。不安が全て溶かされるような気になって、跳ねた髪を撫でつけた。
「姉さん」
浄化された嫌なものが、一瞬で戻ってきた。玄関から顔を出した弟くんは、当然オレなんて居ないもののように彼女に話しかける。
「今日帰り何時?」
「えーわかんない。連絡するけど夕飯待たなくていいよ」
「家で食べるなら別に何時でも待つけど。時間わかったら早めに教えて」
「はーい」
一般的な姉弟の範疇から出ない、ありきたりな会話だった。不信感?嫉妬心?嫌悪感?もやもやしたものが胸を埋めるけど、それが何なのかはよくわからない。ただ、全てオレの妄想であって欲しいとだけ願っていた。こんな、不愉快な気持ちになるのはオレだけで十分だから。
「ってか遅刻しそうなんだった!光くん行こ!」
いつの間にか弟との会話を終了していた彼女が、勢い良くオレの手を引いた。えっ。繋がれた手と数歩先の後頭部を二度見する。彼女はオレの顔を見ると、いたずらっ子のように微笑んだ。
…
小さい頃は、彼女が一人っ子だった頃は、よくこうやって手を繋いで公園に行っていたなと思った。オレは足が遅くて、準備するのも遅くて、靴を履くのも遅くて、いつも待たせていて、それで。
なんだか、凄く悲しい気持ちになった。悲しくて寂しくて残酷な気持ちになった。弟くんの顔が、見てみたくなってしまった。彼は今、どんな顔をしているのだろう。どんな気持ちなのかな。オレだったらきっと悲しくて寂しくて、苦しい気持ちになると思うんだけど。好奇心と、優越感と、あとは、不安。オレが理解できるものであった欲しいという、身勝手な願い。ちらりとそちらを覗き見る。
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