たこてい
2023-05-11 01:37:00
4642文字
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そして、心底耳障りで不愉快な呼び出し音は止みました。

「赤い糸の解き方.exe」の光くん視点の話

 





 幼馴染のあの子に、新しい家族が増えた。お母さんと、弟。光くんと一緒で、私もついにお姉ちゃんなんだよ!そうやって笑った彼女は誰よりも輝いていて、オレはそれだけでなんでもよかった。
 例えそれで彼女と2人で居る時間が減ってしまうことになったとしたって。オレは良かったんだ。あの子が、幸せなら。

 だから、彼も同じ気持ちなんだと思っていた。
 あの子の新しい弟くん。彼女にとても懐いていてべったりで、どうやらオレは嫌われているようだった。でもオレだって悔しい思いをしていたし、オレだって好いてはいなかったし、別に構わなかった。なにより、彼はあの子の幸せに必要な存在だから。いくらだって、我慢できた。

 彼の「好き」がどういうものなのかはわからない。弟が姉に向けるはずのものなのか。クラスメイトの女の子に向けるようなものなのか。それでも、好きな気持ちは同じなんだと、オレは信じていた。




「え」
「お前うざいんだよね。馬鹿のくせに姉さんに気に入られてて」


 冷たい目をした彼が、踏みつけたチョコレートを更に踏み躙った。明らかに手作りのそれが、砂に埋もれて汚れる。
なんで、なんでそんなことを?それは、あの子が作ったものじゃないのか?無駄になんてしたら、傷つくのは彼女なのに。好きなんじゃないの?なんで好きな子に、酷いことが出来るんだ?オレは、大好きなあの子にも、妹の明里にも、そんなこと出来ないのに。どうして?

 何も言えなかった。とにかく混乱してしまった。頭の中がはてなでいっぱいになって、うまく言葉が紡げない。喉から出かけた疑問符すら、冷え切った視線に殺されてしまう。

何も言わないオレを見た弟くんは、舌打ちをすると丁寧にラッピングされていた袋を投げつけてきた。真っ赤なリボンが、砂場に落ちる。あ、とそれを拾うオレにもう一度大きく舌打ちをすると、彼はどこかに消えた。



どうしていいのかわからなくて、オレは、殺されてしまったチョコレートとラッピングとここで起こってしまったこと全てを庭に埋めた。なんだかお墓みたいだった。