Dr.ギャップ
2023-11-16 22:48:05
16625文字
Public 二次創作短歌オンリー歌会
 

2023二次創作短歌オンリー歌会(折句の部)

2023年秋に開催した二次創作短歌オンリー歌会(折句の部)の参加作品とコメント一覧です(参加申込順・敬称略)。

企画詳細→ https://privatter.net/p/10391147
企画用ハッシュタグ→ #二次創作短歌オンリー歌会


浜の果て長く保たない黎明に「ずっと」を問えば鈍いろの磯 池田いくら

【選評コメント】
★折句の5文字は「はなれずに」なのに、最後が「鈍色」なのが不穏で好きです。ずっと一緒にいられることが確定していれば、「はなれずに」なんて祈らないわけですから、何か不安に思う要素があるのでしょうね。──石ころ

★黎明は実際の明け方に自身の今(黎明期)を重ねているのかなと読みました。歩いて来た浜辺の明け方、その瞬間だけの壮大さとその先の岩場に打ち寄せる灰色の世界というのがキャラクターの黎明期と衰退期の一瞬の間を切り取っているのだろうと思います。砂浜と岩場、黎明と鈍いろの対比が歌をしっかりと立たせていると感じました。「ずっと」と尋ねてもただ波の打ち寄せる海というのが映画のワンシーンのようなイメージです。折り込まれている言葉の縛りがある中でも1首として繊細で詩的ですてきな歌だと思いました。──山と森と街

★申し訳ございません、原作も折句もわからないのですがこのお歌にとても心惹かれました。明るいようですぐに終わってしまう黎明期を作中主体は「浜の果て」に「ずっと」と問うがそれは「鈍いろの磯」できっと答えもない、そんな風に読みました。──水川怜

★折り込まれている言葉と歌意のバランスがいいなと思いました。問いに対する回答の部分である結句がこちらの推量を促してくるのが好きです。──谷澤

★歌を読んで浮かんだ情景がとても素敵だと思い、選ばせていただきました。
「長く保たない」とわかっている黎明に敢えて「ずっと」を問うてしまうことが、この主体自身が本当は「ずっと」なんて存在しないことをわかっていて、それでもなお信じたいと思っている願いのような行為だと取れて、とても引き込まれました。
そして「鈍いろの磯」は当然答えを出してくれるわけではなく、その解答は自身で考えていくしかないのではないか、という余韻を残しており、印象的な歌でした。──古月もも

★黎明を「長く保たない」と言い切りながら、「ずっと」を問うてしまう。その矛盾した行為にひそむ切なさ、永遠への憧れを感じ、かっこいいな……!と思いました。海を「鈍いろ」と表現しているところもとても好きです。なんの(誰の)折句なのかすっごく気になります……!──せいら

★詠み込まれているのは、アニメ『ユーリ!!! on ICE』より楽曲タイトル【離れずにそばにいて(はなれずにそばにいて)】だと推測して読みました。各句の頭の音を拾って読んでいって(もしかして……!)となった後、各句の末尾の音を逆順で拾って(やっぱり!!)となった瞬間の感動をまずはありがとうございます。沓冠を作られたのも、歌の格好良さもすごすぎて……!!
 『ユーリ!!! on ICE』は視聴したことがあるのですが記憶がやや薄くなっており、楽曲の使用シーンを具体的に思い出せないのが悔やまれるところです(公式サイトで確認可能な範囲で使用箇所を確認してきました)。ただ、浜辺のシーンの印象のあるアニメだったなとこの歌で思い出しました。
 〈黎明〉=夜明けは明るく希望を感じさせるけれど、そう呼べる時間は短くすぐにただの朝になってしまう。そこに〈ずっと〉を問うという構図が切なく胸を打たれました。〈長く保たない黎明〉と知っている=〈ずっと〉を否定されるだろうという予感がありつつ、それでも問わずにはいられない、訊きたいという”私”の心中を思うと胸がぎゅっと掴まれるようですし(加えて〈問えば〉に続くのが〈鈍いろの磯〉であるので、問いに対する答えが明るいものだったとは考えづらい)、長く保たないとしても黎明は確かに“私”にとってとても明るく大きな意味のある光なのだろうとも思うと、明るく切ない気持ちになります。
 アニメを見返してからもう一度この歌を読ませていただきたい、という気持ちです……!!──Dr.ギャップ

●「黎明」が差そうとしている……と思いきや、その先には「鈍いろの磯」しかない。絶望感が胸をしめます。「長くもたない」「浜」からも、やるせなさを感じます。私までぽつんと取り残されたような気分になりました。──おかのきくと


【作者コメント】
Yuri on Ice より「離れずにそばにいて」。沓冠(初句から結句の最初の文字で「はなれずに」、今度は逆順に結句から初句の最後の文字で「そばにいて」)に挑戦しました。──池田いくら