Dr.ギャップ
2023-11-16 22:48:05
16625文字
Public 二次創作短歌オンリー歌会
 

2023二次創作短歌オンリー歌会(折句の部)

2023年秋に開催した二次創作短歌オンリー歌会(折句の部)の参加作品とコメント一覧です(参加申込順・敬称略)。

企画詳細→ https://privatter.net/p/10391147
企画用ハッシュタグ→ #二次創作短歌オンリー歌会


おれたちは互いの影だ いつまでも取り除けない人斬りの業 月ノ華

【選評コメント】
★これ折句なんですか!?自然すぎませんか、すごい!!!と衝撃を受けました。め〜ちゃくちゃ格好いいです。好きです。影って常に目に見える状態であるわけではないけれど、決して振り払えずに足元にあって、明るさの中でこそ意識するものですよね。腐れ縁といえるかもしれない、でももっと翳りがあるような関係で、それをどうこう言わずただ指摘している温度感が好き〜〜!となっています。──池田いくら

●上の句を見たときは、「おれたち」は「相棒」のような関係性なのだと思っていました。しかし下の句で「人斬りの業」を背負う「共犯者」だと判明する点が、ミステリーやサスペンスのようで、どきりとさせられました。──おかのきくと

●「互いの影」という関係性にとても惹かれました。どうにもできない業を背負っているけれど、それでも互いがいるから目を背けられない(背けない)という共犯者、運命共同体のような2人の印象を受け、仄暗い中にも確固たる決意が見えるような歌だな、と思いました。──古月もも

●描写と語調それぞれの淡々としたトーンと内容が相まって、静かに確かに胸中に落ちていくような印象の一首でした。
 〈互いの影〉とあるのは、〈おれたち〉が単に対照的な存在であったり、相棒であったりするのではなく、お互いの“悪”とされる部分において対照的な存在や立場なのではないかと想像しました。また一字空けより後の部分については〈おれ〉にかかっているのか、〈おれたち〉にかかっているのか、どちらだろうと思っていたのですが、詠み込まれているのが【岡田以蔵(おかだいぞう)】だろうと推測してからは〈おれ〉にかかっていると読むようになりました。あくまでざっくりの史実を踏まえての印象ですが、岡田以蔵に〈お互いの影だ〉と指される相手は人斬りといったいわゆる汚れ仕事からは遠い場所にいる(少なくとも自分で直接他人を殺したりしない)人物ではないだろうかと思ったためです。人斬りを指示したり、あるいはその結果を受けて政治面で戦ったりというような誰かを想像しました。そしてそうして読んでいるうちに(その方が〈互いの影だ〉の対称性が際立ってときめくな……)とも思い……〈おれ〉が人斬りの業をいつまでも抱え続けるように、相手もまた別の業を同じように抱え続けているんだなと想像するとときめきます。
※岡田以蔵は実在の人物ですが各種キャラクターにもなっているようです。岡田以蔵の史実をざっと見たところ「人斬りから足を洗った」というような説明は見当たらなかったので、この歌の原作は史実ではなく史実ベースの創作(転生などの設定を持つ)ではないかと思っているのですが、具体的な作品は念頭に置いていません。──Dr.ギャップ


【作者コメント】
原作:刀剣乱舞
作中主体は肥前忠広、折り込んだのは彼の元主の名前である「岡田以蔵」です(【お】れたちは たがいの【か】げ【だ】【い】つまでも とりの【ぞ】けない ひときりのご【う】)。
うちの本丸に肥前が顕現してからはや二ヶ月弱(〆切時点)、「肥前くんが以蔵さんにどんな感情持ってんのかよく分かんねぇ!!」から始まり、維伝やら江水散花雪やらを見た結果審神者がたどり着いた今のところの結論がこの短歌です。刀剣男士としての姿を得るにあたって元主の影響をもろに受けた肥前にとっての以蔵は自らのアイデンティティを形作るが故に斬っても切り離せないもの、また自分と同じ「人斬り」の業を背負った影のようなものであり、また以蔵にとっての肥前忠広も自らの暗い部分(人斬りの部分)に溶け込みその暗さを共有するしかなかった影のようなものなんじゃないかな、と思っています。
とりあえずこの一夏で肥前忠広と岡田以蔵にクソデカ感情を抱いてしまった限界審神者は肥前のレベリングをしつついつか来る肥前の極実装を震えて待つことに致します。──月ノ華