enoki181
2024-10-13 22:27:24
12540文字
Public リプレイ
 

【ストリテラ】すみおよぐ 冬の巻

俳優:黝さん、エノキ
シナリオ https://talto.cc/projects/d5TBzmX3fM5XTPV6cWCgQ



◆メインチャプター:金魚売り


 旅館の中には「金魚の間」があり、金魚の水槽や、金魚の絵や写真が飾られている。この旅館は金魚とともに歴史を刻んでいるのだ。土産や娯楽のコーナーもあり、作家と金魚は華やかさに目を引かれることだろう。


三田 小一郎:部屋に案内されるまで暫く待つらしい。その間に旅館の中を見て回ることにした。
それにしても、あちこちに金魚ゆかりのものがある。聞いていた以上で驚いてしまう。

「これだけたくさんの種類がいると、先生のところを思い出すな」

水槽たちを見つめながら呟く。
先生とは、紅璃の元飼い主、僕の現雇用主である、とある作家の大先生のことだ。
仕事を引き受けるのなら一匹やると言われて、彼女、紅璃をもらったのだ。

「この先も僕はこのままなのだろうか……

はぁ、と悩ましく溜め息を吐いた。
僕の名は世の中に出ていないんだよなぁ……だからこの旅館でも身分を隠さなくていいし、金には困ってないのだけど。これでいいのだろうか、と焦りだってある。

[ 三田 小一郎 ] コレクト:0 → 3

紅璃:「そうね……姉様達、元気かしら?」

なにやら品評会があっているらしい。わたしはなにをやっているのかもあまりわからないまま、きれいにゆらゆらふわふわ踊る仲間達に見惚れていた。皆とてもきれいに踊るのだもの、少し羨ましいわ。

たくさんの金魚、わたしと同じ子達を見ながら、わたしは前に居た棲家を思い出す。
あそこでは姉さん達に可愛がられてただたゆたっていたけれど、今はもうあんなに狭いと思っていた水槽を独り占めできる。たまにそれがちょっぴり寂しいと感じたりすることもあるけれど、今はこいちろーが一緒にいるもの、寂しくなんてないわ。

「?」
「こいちろーはこいちろーよ?それとも、こいちろーは何か変わりたいの?」

何かに悩んでため息を吐いているこいちろーにわたしは素直にそう言ってしまう。
だって、こいちろーはこいちろーだもの。

[ 紅璃 ] コレクト:0 → 2

三田 小一郎:「変わりたくは……ない、と思う」
「ただ、僕が僕であることを認めてほしい、わかってほしい……のかも、しれない」
「僕の名前が、作品が、歴史の一頁に残って欲しい。ああ、作家であれば当たり前の欲だったんだなあ」

紅璃は相変わらずきょとんとしている。
わからなくていいよ、と笑いかけた。

「後悔はしてない。おかげで紅璃と出会えたのだから」

そう。仕事を受けなくてよかった、とは思わない。嘘を吐いて名前や自分を隠すことにはなったけれど。
紅璃と出会えなかったこと。紅璃が僕の元に来てくれなかったこと。そっちの方が嫌だ。

……こんな想いの一欠片だって紅璃には伝わらないのだろうけど。それでいいんだ。

「紅璃は紅璃のままでいてね」
「あっちのお土産屋さんでも見に行こうか。根付なんてあるよ。浴衣の帯にさしたらいいんじゃない?買ってあげようか?」

[ 三田 小一郎 ] コレクト:3 → 5

紅璃:こいちろーは笑って言っていたけれど、さっきまでちょっと浮かない顔をしていたのが少しだけ晴れたような気がした。だから、わたしは良かったって小さくふっと息をつく。

相変わらずこいちろーの言っている事は私にはわからないことが多いけれど、それでも、わからなくてだいじょうぶだよって言ってくれるからいいの。これってこいちろーに甘えちゃっているのかしら?

「?」
「紅璃は紅璃よ?こいちろーったら変なの~」

そうくすくす笑ってお土産屋さんに2人で向かう。こいちろーの言った通り浴衣の帯にさす物だったり、色んな物が置かれている。

「わぁ、色々ある。こいちろーどれが似合うかな?」
……?」

どれも物珍しくて目移りしてしまう。手土産として買うのもいいしどうしようと迷っていたところで、近くで型抜きをしている子供たちがいるのを目にしてじっと眺めてしまった。

三田 小一郎:やはり宿に縁があるからだろう、金魚を模したものが多い。
どれがいいかとたずねようとしたら、紅璃は違うものを見ていた。

「ああ、型抜き。夏祭りでもでていたかな」
……気になる?」

誰でも参加できそうな催しだ。そっと背中を押す。

[ 紅璃 ] コレクト:2 → 3

紅璃:「じゃ、じゃぁ……あれやったら、このねつけ、買ってもいい?」

そう言ってわたしは金魚のあしらわれた根付を指さす。せっかくこいちろーが買う?って言ってくれたんだもの……でも欲張り、かな?あれもやってこれも、なんて。
それに少しだけ後ろめたいような罪悪感の様なものを感じて、こいちろーにごめんなさいなんて思ってしまう。

「わ、わ……が、がんばる……!」

そしてこいちろーに背中を押された私は後に引けなくなり、金魚の型抜きを手に取って型抜きに挑戦していく。

紅璃:1D6 (1D6) > 3

紅璃:1D6 (1D6) > 3

紅璃:1D6 (1D6) > 4

紅璃:「……こいちろー、金魚じゃ、なくなっちゃった」

ぷるぷると型抜きの残骸を手に取って、自分の不器用さに涙目になりながらこいちろーに言う。

三田 小一郎:ふはっと笑ってしまう。
いや、泣き出しそうなところ悪いんだけど……かわいくて。
家に来たばかりの頃より表情豊かになってきたと思う。

「はじめては皆こうなるものだよ」
「僕も久しぶりにやってみようかな」

同じ形のものを手にした。

三田 小一郎:1D6 (1D6) > 1

三田 小一郎:1D6 (1D6) > 6

三田 小一郎:1D6 (1D6) > 2

三田 小一郎:「……ほらね」

最初に思い切り崩壊させてしまったら、後はどうにもフォローすることができなかった。
まあ、皆こんなものだよということで。紅璃を元気づけることはできたのかな。

「他にも気になるものはある?」

紅璃:「こいちろーも、これは難しいのね」

こいちろーがしていたものも金魚ではなくなってしまった。なかなか成功させるのは難しいのだろう。他の周りにいる子供達も苦戦しているようだった。

金魚だったモノを食べられそうだったので、気になってもぐもぐとして、甘いなぁと感じた後にわたしは口を開く。

「ほか、ほか……さっきのねつけ、見たい」
「金魚のやつ」

そう言ってこいちろーの袖をきゅっと軽く握って甘えてみる。

三田 小一郎:「いいよ。浴衣の帯に差したらゆらゆら揺れて、紅璃の尾みたいで、綺麗だと思うよ」

部屋に案内される前に見られたらいいなと、足早に土産売り場に向かうことにする。

しかし素晴らしい空間だった。
昔からの写真、今を生きる金魚たち。並ぶ娯楽も、古き良きものから新しいものまで。
僕の作品もこんな風に皆に楽しんでもらえたらいいのに……ゆらりとまた、形容し難い気持ちが立ち上ってきた。

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◆メインチャプター:名湯に入ろう


 「蘭獅子」は湯治にも使われる名湯の旅館だ。その名湯に入らずじまいであるということはないだろう。大浴場に行くもいいし、部屋に備わっている個室温泉でも、好きに楽しもう。ただ、どれだけゆったりとした時間が流れていても、締め切りは伸びてはくれないだろうけれど。


紅璃:こいちろーに根付を買ってもらってから、わたしはそれがきれいで浴衣に付けいている間も、そうじゃない時でもじっと眺めたり触れたりしている。
しかしそんな私でも、おんせんは気になっていたのでこいちろーに「温泉一緒に入る?」って言われた時は飛び上がって「おんせん!おんせん!」とこいちろーの周りをくるくるとした。

どうやら温泉はこの部屋にもにもあるらしく、こいちろーと二人で入れるようだ。わたしは一緒に入れるのが嬉しくなってしまった。
だっていつもわたしだけ水の中にただよっているのだもの。

でも、一緒に水槽に入るのは一緒にお遊びする時くらいじゃないかしら?

「こいちろー、はやく、はやく」

そんな事を考えていても、温泉への興味が冷めることはなく、わたしはこいちろーの手を引いて二人で温泉のある部屋へと向かった。

三田 小一郎:喜ばれるのは嬉しいけど……ほんとにいいのか。僕と一緒だぞ。誘ったのは僕だし、断る理由だってないけど。

部屋についていたのは露天風呂だった。
外ではちらちらと雪が舞っていて、裸で洗い場にいると寒い。二人で体を洗ってから慌てて湯に浸かる。

「ふー……あったか……紅璃には熱かったりしない?」

金魚を飼う温度の水じゃないと思うけど、火傷とかしてないものかな。
確認……

「!!ご、ごめん!!」

思い切り顔を背ける。
紅璃は裸だった。いや当たり前だよ、一緒に服も脱いだって。今更なにを恥ずかしがってるのか、自分でも呆れる。

[ 三田 小一郎 ] コレクト:0 → 2

紅璃:「?」
「こいちろー?どうしたのお顔見せてくれないの?」

そっぽを向いてしまったこいちろー。
湯気であまり彼の様子が見えないけれど、お水があたたかいからか少し火照った様に頬が赤く染まっている気がする。

わたしは彼の顔を見たくてこいちろーの頬に手を伸ばす。
のぼせてしまってはいないだろうか?わたしじゃないのだから、こいちろーは大丈夫だとは思うのだけれど、少し心配してしまった。

めいとうと言われるくらいここはいいおんせんらしいのだけど、わたしは普段水の中にいるものだから新鮮だった。あまり慣れないけれど、寒かった体にはちょうど良くて暫くここから出たくないほどだ。

もしかしてそんなわたしにこいちろーは無理に付き合ってくれたのだろうか?と少しだけ顔を窺うようにこいちろーの頬に触れ、ゆっくり優しくこちらを向かせるようにする。

「大丈夫?こいちろー。無理してない?」

[ 紅璃 ] コレクト:0 → 3

三田 小一郎:顔を固定されてしまった。湯気が仕事をしないので、紅璃の全部が見えている。水槽の中だと服を着ているじゃないか。
ぐらぐら、頭が茹だるようだ。酒を飲んだときの酔いにも似ている。

「あかり……だめだよ、そんなことしちゃ」

顔を寄せ口付けた。ちう、と小さな唇を吸う。かわいい。

「君が傍にいると、ぜんぜん、なんにも、大丈夫じゃない」

離した唇の間に糸を引かせながら囁く。こちらも紅璃の丸くて可愛いほっぺたを両手に包み、真っ直ぐ見つめた。

……いい?その、ここも水の中だから」

体が近付いたから、僕の主張がよくわかると思う。

[ 三田 小一郎 ] コレクト:2 → 3

紅璃:こいちろーがちぅってわたしのお口に吸い付いた。こんなことしちゃダメだよといいつつもこいちろーは離れる気がないみたいで、わたしの顔を包み込む。

このおんせん、にはそういう気分にもなる効能などがあるのかしら?なんだかこいちろーに見つめられたらわたしも少しだけ息が荒くなってきた気がする。

一緒にいたらこいちろー大丈夫じゃなくなっちゃう?でも、わたしはこいちろーといるの大好きだよ。
だからもっと近くにいたいの。

こいちろーの主張するものの存在を肌に感じながら、わたしもこいちろーを見つめ返す。

「うん、いいよ」
「わたしもこいちろーと遊びたい」

そしてこいちろーに抱きつく様に首に腕を回してきゅっと体を密着させる。

[ 紅璃 ] コレクト:3 → 4

三田 小一郎:押し付けられたものが大きくて柔らかい。いつも通りなのだけど、ぬくもりが違った。
冷たい水と温かなお湯。どちらで触れ合っても、紅璃と密着するのが心地好いことは変わらない。

「きもちいいこと、しようね」

いつもと違う場所に興奮の熱が上がるのははやいけれど、抑え込まなくては。紅璃に怖い思いをさせてはいけない。
しとやかな背中に腕を回し、抱き上げて膝にのせた。

***

…………さて。
温泉の効能ではなく、思いもよらぬやり方でととのってしまった。
元気は出たが、原稿の進捗はよろしくない。
逆に紅璃のことは疲れさせてしまったかもしれない。
バツが悪くなってしまい、「按摩してもらってきたら?」と、旅館のサービスを勧めるしかできなかった。

[ 三田 小一郎 ] コレクト:3 → 5

紅璃:「ふにゃ……
「やだ、こいちろーといる」

お風呂でこいちろーと遊んだせいか、のぼせてしまったようでくてんとこいちろーの体に寄り掛かる。
なんだかこいちろーから離れがたくて、わがままな金魚(わたし)は彼を困らせてしまう。それに按摩ならこいちろーにしてもらう方が好きだもの。

火照った体をこいちろーに預けながらわたしはおねだりをする。

「こいちろー、お水ちょうだい?」

[ 三田 小一郎 ] FP:1 → 2