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enoki181
2024-10-13 22:27:24
12540文字
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リプレイ
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【ストリテラ】すみおよぐ 冬の巻
俳優:黝さん、エノキ
シナリオ
https://talto.cc/projects/d5TBzmX3fM5XTPV6cWCgQ
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冬の季節。枯葉の擦れる乾いた音がふと耳に届く。外は雪のある地域ならしんしんと降り積もる籠りの時期だ。寒さと薄暗いあかりに金魚も人も、少しばかり活動の気力が落ちる。それでも作家に締め切りはやってくる。
作家は担当編集に激詰めされ、精神も体力もすり減っている。年末進行も関わってくるため、編集も必死だ。そんなことは金魚には関係のないことだ。
寒い季節はどことなく調子が悪い。そんな互いの状況をどことなく気にかけている状態だろう。
どうせ籠るのであれば、いい宿に泊まり、缶詰されながら湯治を楽しもう。
作家と金魚は、雪深き宿へ向かう。
◆オープニングチャプター:旅館「蘭獅子」
見渡すかぎりの白い世界。チラチラと降る雪が、頬を冷やす。まつげに触れる小さな結晶は溶け、つむるとしずくは、はじけて消えた。
雪をかき分け、踏み分けられ、丁寧に整備された細い雪道を作家と金魚は歩いている。
担当編集が手配した旅館・「蘭獅子」にきた理由。それは作家の「缶詰」のためだ。
編集の年末進行に関わるため、早めに原稿を貰いたいという理由で、作家は担当編集から再三「原稿をあげろ」とせっつかれていた。締切は待たぬ。伸びぬ。
それに冬であるためか、体の節々も縮こまり、なかなか調子も悪い。それならばと作家と金魚は、良い旅館で湯治も兼ねようと決めたのだった。
雪に霞む向こうに、旅館の影が見えた。真っ直ぐと歩いて行くと、宿が近づくにつれ霞は晴れていく。
ふっ、と雪が止んだ。
なにやら化かされているような気持ちになるが、旅館には人の賑わいも感じられる。「蘭獅子」は、名湯のある宿として有名だ。それに湯治にも利用される旅館のため、長期連泊の客は珍しくない。
この「蘭獅子」は金魚にも縁深い旅館らしい。作家も金魚にもこれ以上ない宿だろう。
紅璃:雪の中、サクサクときゅっきゅと雪を踏みしめながら、わたしはおぼつかない足取りでこいちろーの後ろを歩く。
「ここが、かんづめ?」
最近こいちろーのお仕事が大変みたいで、かんづめに行くんだって言ってた。だから今日はこいちろーと一緒にここに来たの。
こいちろーに手を引かれて辿り着いた場所は綺麗なかんづめだった。こういうところって行った事ないけど、ここにはあたたかい水槽があるみたい。わたしはそれが気になってこいちろーと来たのだけど、とても、とてもさむい。
「さむぃ
……
」
首に巻いたまふらーに顔を埋めてから、わたしはこいちろーを見上げる。
「こいちろー
……
はやくぽかぽかぬくぬくしたい」
三田 小一郎:「ここは旅館。蘭獅子っていう名前だよ」
紅璃は缶詰の意味を理解していない。
呆れ
……
は、半分。もう半分は可愛さで笑ってしまった。
「膨らませて、ハトかスズメみたいじゃあないか」
ふかふかとしたマフラーに触れる。金魚だから寒さに弱いとはわかっていたけど、予想以上かもしれないな。
はやく行こうか、と足を速める。僕も荷物を持つ手がかじかんで震えていた。
「温泉、はじめてだったっけね。たのしみ?」
紅璃:「ええ、楽しみよ」
「ん〜、あたたかいお水は知らないから、きっとはじめてよ?」
こいちろーの言葉にそう返すと、わたしは彼の後ろに続いていく。この場所はこんなに綺麗なのだから、きっと「おんせん」というあたたかい水槽も素敵なところなのよ。
「こいちろーはこういうところに来たことはあるの?」
首を傾げながらこいちろーに聞く。
おんせんを知っているなら早く教えてくれれば良かったのに。なんて思うも、彼と一緒に入ることができたら嬉しいという気持ちもあるので、わたしは怒らない。
何より今回わたしも一緒に連れてきてくれたからいいのだ。
三田 小一郎:「あるよ。もうずっと前
……
紅璃がうまれる前かな」
言いながら思い返す。
小さい頃、父と母と姉と温泉宿に来たことがあった。此処じゃないけれど。
何年前だろう。それもすぐに出てこないくらいだから、紅璃がうまれる前っていうのはあながち間違いじゃあないと思うんだ。
足を止め、紅璃が隣に立つのを待った。
本当に寒そうにしている。はやく温まってくれるといいな。ヒレはきっと温泉でも綺麗に揺れるのだろう。個室風呂のついている部屋にしてよかった。
「久しぶりだから、僕も楽しみ」
手をとって微笑みかけてみる。ちょっとくすぐったいな。
そうして、ゆるやかに二人で歩き始める。宿まではもうちょっとだ。
紅璃:こいちろーがわたしに合わせて歩いてくれる。その気遣いがうれしくて、寒いのは寒いけれど、もう少し歩くのをがんばろうって気力がわいてくる。
「そう、昔に行ったことあるのね」
「じゃあ、またおんせん入れるの楽しみね!」
そう言って2人して歩いていたところで、ふと雪が止んだ。
なんだろう?と顔を上げると目の前にはきれいな建物があった。これがかんづめなのだろうか?すごく大きくて見上げていると首が痛くなってくる。
「こいちろー、着いた!」
そう一緒に来た彼に微笑んでわたしは雪で凍えていた足が軽くなったようにかんづめに入っていく。
今日からここが2人で過ごす場所。
こいちろーといられるのならどこだってわたしは構わなかった。だって大好きなこいちろーと一緒なんだもの。
「とっても楽しみね」
そうわたしはこいちろーにほほえんでみせた。
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