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沁月
Public
ウ教×ハ♀ 相思相愛 読み切り
声に出して、言の葉に乗せて
MHRウ教×ハ♀。相思相愛。
基本ハ♀視点、途中ウ視点あり。
不変なようで脆く儚い日常の中、自分の気持ちを伝えられる幸せ。
1
2
3
4
嗚呼、俺は、いつからこうしているのだろう。
頭がぼんやりとする。
目覚めなければと思うのに、どうしてか、体が言うことを聞かない。
俺は目を開くこともできず、体はまるで水中のような闇を
揺蕩
たゆた
い、妙に、心地好い。
何も、見えない。
睡魔に襲われている時のような、このまま考えることを放棄してしまいたくなるような、手招きしてくるあまりにも甘い、闇の
誘
いざな
い。
──俺
……
俺は
……
思考が蕩け始めたかと思った時、それを阻止するように、刺すように胸が痛んだ。
かと思えば続けざま、引き絞られるように苦しくなっていって、何かが、聞こえてきた。
何を言っているのか、まだ分からない。
けれど、確かに、声がした。
懐かしくて、愛おしくて、手を伸ばして抱きしめたくなる声だ。
──愛弟子
……
?
そう思った時、俺の体が、ぶるりと震えた。
見えなくても分かる。
闇の中にいても感じる。とても遠いところからだけれど、声がする。
──愛弟子
……
泣い、てる
……
?
まるで渇いた風のように切なく、掠れた声。
俺の胸が、どくんと一度大きく震え、焼けるように、ますます熱を帯びていく。
──愛弟子が、泣いてる
……
何を言っているか聞こえないのがもどかしい。
けれど、泣いているのは分かる。
炎のような熱が、胸から、じわじわと体中へ広がっていく。
全身に力が満ちて、手足が、動くような気がした。
──誰だ
……
──どこの、誰だ
……
!?
闇の中で、俺は、いつの間にか
拳
こぶし
を握っていた。
脳裏に駆け巡るのは、愛しい人の、幼い頃から想いを通わせ合い、将来を誓う仲となった今までの、積み重ねてきた日々の時間。
陽射しのように眩しく、灯火のように温かく蘇る、可愛いあの子の、愛する女性の笑顔。
──誰だ
……
──俺の、大切な愛弟子を
……
──俺の愛する人を、泣かせたのは!!
体が動く。
目が開けられる。
待っていてくれ、愛弟子。
大切なキミを泣かせる奴は、誰であろうと許せない。
俺は泣いているキミを置いていったりしない。
絶対に、絶対に、何があっても助けに行くよ。
小さい頃からずっと、俺は、キミが大切だから。キミの笑顔が見たいから。
俺は、キミのことが大好きだから。
これからもたくさんのことを、俺の気持ちを、キミに伝えたいから。
俺は、心からキミを愛している。
ずっと、ずっと、俺はキミの傍にいる。
絶対に、キミを独りになんかさせない。
『ま
……
な、で
……
。愛、弟子
……
愛弟子ッ!』
闇の中で目を開いた刹那、俺の視界は、まるで世界の目覚めのような、眩いばかりの白光で満ちていった。
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@acadine
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