雨宮水月
2024-07-01 19:10:39
14365文字
Public FTN
 

モノクロのチューリップ

Fate Table Night カルデアif
ヴァンピル=アセナの幕間
よその子と原作キャラをお借りしています。
合作作品(SBさん、リロードさん)
(2021年12月の作品)



ー進行度2ー
[回想]
あの時の記憶を、忌々しいものとして捨てることは出来ない。
確かに苦しかった。この身体が引き裂かれんばかりの苦痛と、屈辱と、悲しみが支配していた。
それでも。
アセナは始祖として、母として在るべきだとわたしの誇りが遠く遠く月へ、空へ吼える。
声が枯れても、血が滲んでも、それだけは持ち続けていたかった。
矛盾だらけでも、自分の子どもだけは愛していたかった。
気まぐれで神に愛されたこと、神性を与えられたこと。傲慢な愛に喘ぎ、鳴き、苦しみ続けたこと。
優しさと期待という名の首輪に囚われていたこと。
あのどうしようもない、逃げ場のない愛の暴力たちをわたしは、誰にも与えたくない。
奪いたくない、傷つけたくない。
愛したくないけれど、愛してしまう。
ああ、なんて存在。愛に板挟みにされた、矛盾を抱える愚かな怪物。
それでも自分の存在理由に固執して、人狼たちを我が子のように慈しみ、その存在を受け入れた。
これはただの、自愛だ。
悪の味方だなんて言ってるが、こんなものはただの自己満足だ。
……結局は。
ただ、自分の存在を認めてもらいたかっただけなのかもしれない。


[管制室]

メドゥーサ(はぁ……結局言われた通り来てしまった……

ユダ=ダザイ「ああ、来てくださいましたか。こんにちは、可愛らしいお嬢さん」

メドゥーサ「……その歯の浮くような台詞をやめてください。それで、本当に今日も行くんですか」

ユダ=ダザイ「はい、無論です。7日間でも、半つきでも、彼女が本気で拒まぬのならいくらでも通う心算です」

メドゥーサ「……そこに、私は毎回付き合わされるんですか……?」

ユダ=ダザイ「おそらくは此たびも戦いになることでしょう。ありがたいことだ、私一人ではどうにも心許なく」

メドゥーサ(……無視すればよかった……

ユダ=ダザイ「ああ、どうか、そのようなお顔をなさらないで。では、他でもないあなたには、先にお伝えしておきましょう。私があなたをお誘いしたのには、訳がある」

(話す二人。やがてメドゥーサが驚いたように口を開ける)

メドゥーサ「……納得しました。そういうことなら、私も協力します」

(ユダが笑みを浮かべる)

[暗転]

[洞窟]

(亡霊の声)

ユダ=ダザイ「こんにちは、狼のお嬢さん。本日もあなたと共に過ごしたく、こうして参りました。亡霊越しでも構わない、あなたのひとときを、私にいただけませんか」

メドゥーサ「出来れば直接話がしたいのですが……仕方ありませんね。これも対話の一つだと思いましょう」

[戦闘]
サポート:ユダ=ダザイ、メデューサ
エネミー:
1/3 1日目のゴースト、2日目のゴースト
2/3 3日目のグール、4日目のグール、5日目のジン
3/3 6日目のジン、7日目のキメラ
(余談ですがジンはよくエネミーにいる炎の妖精。本編でアイクに食わされてたやつの下位互換)

ユダ=ダザイ「ふう、さすがに今日は少々骨が折れました。ようやくあなたの元へ辿り着けた、麗しきお方」

アセナ
…………毎日毎日飽きもせず」
「なんなんですか、あなた方……。わたしもあんまり魔力消費はしたくないんです。帰ってください」

ユダ=ダザイ
「ひとつお尋ね申し上げます、ご麗人。私は戦闘には不慣れなのです。あなたにお会いしたい、その一心でここまで参りました。どうかお答えいただきたく存じます」
「あなたは何故、カルデアから距離を置くのですか。この洞窟も確かに美しく居心地が良いが、私はもっと日々、あなたと当然のようにすれ違いたい」

メドゥーサ「……この言葉は無視していいと思いますが、マスターも貴女を心配しています。自分は何か、貴女に負担をかけているのではないかと」

アセナ「…………その質問に答えたなら帰ってくれます?」

メデューサ「答えによっては帰れない気もしますが、少なくとも今日は引きましょう」

アセナ
……………
……はぁ」
「あのカルデアには、たくさんいらっしゃるでしょう……神様が。あなたもですよね」

メデューサ(バレたか、という顔)

アセナ
「わたしは神様が嫌いです。……いえ、違う。怖いのです」
「わたしは傲慢な神が苦手です。あのような存在に、『アセナ』は平穏な運命を狂わされた。『人狼たち』は一匹狼の爪弾き者(アセナ)に呼応して、この霊基に入り込んだ」
……そもそも、人がたくさんいる場所は苦手なのです」
「今も、この場から一目散に逃げ出したいくらい」
……出来ることならあなた方をこれ以上傷つけたくはありません」
「ですから…………こんな弱い狼のことは放っておいてください」

ユダ=ダザイ
…………なる程。そうか、やはりそれか。ええ、ええ!」
「はははは、それ、それ、それだ。私が聞きたかったのは、そういう言葉だ!」

アセナ
…………?」

ユダ=ダザイ「はい、はい。落ちついて申し上げます。勝手ながらで恐縮なのですが、私はあなたに親近感のようなものを抱いていたのだ。ここであなたの話を聞いた時から……いや、きっと、もっと前から」

アセナ「……!」

ユダ=ダザイ
「確かに私たちは、神と呼ばれる存在に生を弄ばれた身だ。いえ、私の場合少々あなた方と違う面もあるのだが、それはひとまず良い」
「ですが、ここはカルデアだ。神も、人も、獣も、ここでは肩を並べ一人の主に従うサーヴァント。お分かりですか。誰もかれも、対等だ。つまり我々の手で、見事、復讐してやれるのです。こんなに痛快なことがありますか」
「さあ、お嬢さん。私たちと、事を為しに行きませんか」

アセナ
……ええと、あの」

メデューサ「はい」

アセナ「結局……何の話ですか、これ」

メデューサ「ですから、我々で神をぶん殴ろうという」

アセナ
「正気ですか?!」
「ていうか、そんなのわたしと組まなくてもあなた方お2人で、あ、いえ、3人? とにかくわたしがいる意味あります?」

ユダ=ダザイ
「いえ、いえ。むしろ、あなたが居なければ、物語は始まらない。……私には、為さなければならない役がある。あなたにもまた、果たせなかった役が残っているのではないですか」
「──女神、アテナに対して」

アセナ
……あなた、やはり覚えて。いいえ、なんでもありません」
……ほんとうに、変なひとたち」

ユダ=ダザイ
「ふふ、やはり、まんざらでもないようだ。最初から私は、あなたをお誘いするつもりで来ていたのですよ」
「とはいえ、本当にあなたが拒むのなら、私とてこうも毎日は訪れなかった。あなたは、最初から私たちを拒絶していなかった」


[回想]
アセナ
「怪我をさせたくないのになんで来てしまうのでしょう」
「ああ、あんなにボロボロになってまで戦うなんて」
「治療したいけれど、そもそも戦わないで逃げて欲しい」
「また今日も来てくれたのが申し訳ないけれど、少しだけ……嬉しい」


ユダ=ダザイ「ふふ。分かっていましたが、あなたも大概、お人好しのようだ。」

アセナ
…………ッ!!!!」(愕然)(バレてる)(なんで)
「あ………わ、わたし
「ひ、ひ、一言もそんなこと言ってませんが?!!」(真っ赤)

メデューサ「おや、図星でしたか。流石は作家といったところでしょうか。言葉の裏を読むのがお上手で」

ユダ=ダザイ「申し訳ない。私も"彼"も、その類いのものを見抜いてしまう鋭敏の才能を持っておりますもので」

アセナ「いいえ、あの、ほんとに裏とかないですから!!」(ある)

ユダ=ダザイ「閑話休題。来ていただけますか、お嬢さん……いえ、アセナさん。どうか私の手を、お取りいただけますか」

アセナ
…………はぁ」
……あなたも人のことが言えないくらい、お人好しでしょうに。こんな狼、いてもいなくても戦力に変わりなどありません」
……ですが、この7日間。飽きもせずこちらにいらっしゃっていたのですから、ここで無視しても相変わらず、ここへ来てしまうのでしょうね」
「では、あなた方の提案を飲み──神を食い殺しましょう」
「お察しの通り……アテナ様には、わたしもちょっと苦い思い出がありますので」

ユダ=ダザイ「はい、はい! ありがとう存じます。では、これから準備を行います。共に行きましょう」