MN*B
2024-06-23 02:40:06
13255文字
Public 蠱毒な夢術廻戦:pixivバックアップ
 

E.28 違乱反劇

シリーズ中第45話になります。
注意書きは1ページ目、もしくはシリーズ概要の方にあります。

このシリーズの閲覧、ブックマークやいいねなど、どうもありがとうございます。前回はスタンプをたくさんいただきまして、ありがとうございました!
お久しぶりです、お待たせしました。

 
 今回、オリジナル要素が強いです。
4P目はぶっちゃけ最初と最後の数行くらいを読めば理解できるかと思います。じゃあなんで書いたかと言えば、単に情報開示ですね。

 次回、想定より話の進みが早いので一気に時系列も進みそうです。
投稿は二週間後ほどを予定しています。

追記:執筆が終わりません。遅れます。すでに一万六千字まで膨れ上がってて、こっちとしても困ってます!!!なんでぇ!!!?

 

【挨拶】

 あけましておめでとうございます。去年はお世話になりました。
 今年もこのシリーズを、アニメ二期の範囲が終わるまで書いていく予定です。執筆は前に比べるとスローペースなので、投稿頻度もぼちぼちですが、お付き合いいただけると嬉しいです。


#夢術廻戦 #オリ主 #オリキャラ #究極メカ丸 #虎杖悠仁 #五条悟 #吉野順平
2024年1月8日 01:52



 閉門し、キューブ状に戻った獄門疆。
 夏油はそれを手中に納め、無量空処の影響から目覚めたばかりの呪霊たちに対し、話を始めようとする。

「さて、今後の!」

 獄門疆がズシン!と重たくなり、夏油は思わず手から落とす。――獄門疆が地面にめり込み、床にクレーターを作った。
 獄門疆は明らかに異常をきたしている。

 獄門疆のすべての面にある眼が一つ残らず見開かれ、ギョロギョロと忙しなく動き、涙を溢れさせた。混乱したか、或いは焦り戸惑っているかのような挙動だ。
 その最中、漏瑚はヒタリとした寒気を覚える。そして、一つ目の面で開かれた眼が自分のほうを凝視していることに気がついた。

 ザヂュッと湿っぽい音を立てて、その目玉から鈍色の切っ先が生える。――獄門疆の眼を切り裂いて、一枚の刃が飛び出したのだ。
 キリキリと細かく震える刃が表面から3cmほど飛び出している。……だが、それ以上刀身を伸ばすことはなく、ぴたりと身動きを止めた。

 獄門疆に起こった異変は収まり、静けさを取り戻すように空気が固まる。それ以上の変化は訪れなかったが、夏油らの間には緊張が走っていた。

「やられた……!」

「何が!?」

 夏油が悔しそうな顔をし、真人が理解できないように叫んだ。

「獣鉤手が結界を、封じられることを拒んでいる」

漏瑚は、夏油らとは真逆に、そっと空気すら揺らさないように話す。

「獄門疆の定員は一名なのだろう。だが、それには――封印される者が“身につけていた物”は含まれないというのか……!!」


 最悪の事態を想像して、夏油が天を仰いだ。

「はぁ~。になっちゃうよ、これだからイヤだったんだよ。計画が狂って仕方がない」

 夏油は続けて殊更に深いため息をついた。そして、切り替える。

「五条悟という情報を処理しきれず、獄門疆が重たくなったんだろうね。それだけなら問題ない」

 夏油は言外に“問題は獣鉤手”だと、言葉に棘を含めた。
 真人は肩をすくめ、「どう思う?」と漏瑚に意見を仰いだ。

「人間共は、獣鉤手に休眠や不活性という形を取らせてきた。そんな対策をさせるほどに、獣鉤手は封印を破ってきたということだ」

 それに呪霊でも休眠に入っていたほうが他者に探知されにくくなる。獣鉤手はその人間の策に乗り、休眠状態のときは自らを半呪物化して呪具に擬態するのだと、漏瑚は話す。

「獣鉤手は獄門疆にではなく、五条悟にとり憑いたのではないか? 五条悟が封印され、獣鉤手がそれを感知し、結界破りを試みたといったところだろう」

 五条悟にとり憑いた獣鉤手が、結果的に獄門疆 結界の内側に入っていた。だから、獄門疆にも影響を与えることができただけ。
 そんな獣鉤手でも獄門疆を破るには力が及ばなかった。

「苗床である五条悟からの呪力が供給されなければ、獣鉤手は十二分に力を揮えん。寄生先から動けんのなら、休眠に入る。これ以上、活動はできんはずだ……

 たぶん、おそらく、きっとそう。……といった雰囲気を出して、漏瑚は口を噤んだ。
 漏瑚の知っている獣鉤手から、青嶺衛に寄生していた獣鉤手は逸脱している。そして、その原因も漏瑚たちには分かっていた。


 そのとき、夏油たちがいるのと同じホームへ、一人の人間が線路から這い上がってくる。
 彼は夏油らとは少し離れた位置に上がると、纏っていた黒いローブを脱ぎ捨てた。そして、疲労困憊だと言わんばかりに座りこむ。

「透坂じゃん。ちょっと見ない内にくたびれたね」

 ローブの下から出てきたシャツとスラックス、そして物々しいベスト。それらに覆われていても、真人の眼にはお見通しだった。

「治してあげようか」

「断る。怪我をしていないと、また駆り出されるだろう。……私は少し休む」

「サボりじゃん」

 透坂はそう言ったが、それは建前で、真人に触れられることを拒絶しただけだ。
 怪我の痛みよりも嫌かよ、と真人は拗ねた。もちろん真人からしても、ちゃんと元通り治す保証はなかったが。

 透坂は夏油らの足元で床にめり込んでいる獄門疆に目をやり、何が起こったのかを察した。

「五条悟がここまで利他的 ヒロイックだったとは予想外だな。封印が解けないといいが」

「他人事だけどさ、お前が蒔いた種でもあるだろ」

 真人からそう言われた透坂は、少し考えるように天井を見上げた。何の変哲もない天井だったが、よく見れば所々に血が飛び散っている。

「私のような人間が仕出かしたことが、お前らのような存在の足を引っ張っているとは。いっそ笑えるな」

「貴様、燃やされたいようだな」

「まぁまぁ漏瑚」

「ぶぅ~?」

 真人が宥め、陀艮も何も分かっていなさそうな顔で鳴き声をあげた。脹相はといえば、どうでも良さそうにしたままだった。
 漏瑚は渋々、を収めたが、その一つ目で真人のことをジトリと見る。

「しかし、真人。夏油の獣鉤手に関する予想は合っていたみたいだが、こうなってしまっては……

「ま、しょーがないって。危なっかしくても、封印がすぐに解けるわけでもなさそうだし、俺らにできることもないっしょ」

 真人はあっけらかんと言った。
 その横で夏油が「いやはや困ったね」とぼやく。

 夏油は青嶺衛のことを知っていくうちに、ある可能性に気がついていた。
 真人に漏瑚、そして透坂の話を聞いていて、夏油は思ったのだ。――"蠱毒"は完成し、封印されている可能性があることを。


 あの晩。透坂の術式は、――儀式 蠱毒は完成していた。



 透坂は青嶺衛の存在によって儀式に狂いが生じたと考えていたが、それは間違いだった。
 狂わせていたのは、獣鉤手。透坂がその手で殺した術師 柊魚が所持していた、呪具 獣鉤手だ。