MN*B
2024-06-23 02:30:20
11063文字
Public 蠱毒な夢術廻戦:pixivバックアップ
 

E.25 悪夢の幕開け

シリーズ中第42話になります。
注意書きは1ページ目、もしくはシリーズ概要の方にあります。

このシリーズの閲覧やブックマークなど、いつもありがとうございます。お待たせしました。

 今回、あんまり話が進まない上にエグめなシーン多めです。苦手な方はご注意を。
あと小説冒頭でとある映画のネタバレがあります。タイトルは書いていませんが、以前の小説内でも触れたことがある作品の物です。

 次回、バリバリの戦闘になります。
二週間以内に投稿する予定で書きます。気長にお待ちいただけると幸いです。
 
追記:いつもより少し遅れそうです。最悪、予定最終日の午後か、その次の日になるかもしれません。

 
【今回の時系列について】

 作中で描写した順番だと一部時系列が前後しちゃってます。
 悩んだんですが、アニメの流れに合わせてます。本来なら、五条戦の合間に蝗GUY戦があってるんですけどね。
 ちなみに、蝗GUY戦は「21:03 都心メトロ明治神宮前駅 B2F」です。

 余談ですが、回想のときに二人が観ていた映画はⅡです。

 
#夢術廻戦 #オリ主 #オリキャラ #虎杖悠仁 #五条悟
2023年11月19日 01:20



 この問題に正解はない。だが、呪術師としての正解は決まっている。


 暗くした部屋の中で、テレビの青白い光だけが光源だった。画面では映画のエンドロールが流れている。

「夜蛾学長も、なんか似たようなこと言ってたな」

 虎杖がぽつりと話す。その横顔は青白い光に照らされていた。
 俺たちは隣り合わせに座って同じものを観て、時折、感想を言い合っていた。その延長線上だった。

「"仲間の死を横目に、呪霊の肉を裂かねばならない"とかって」

 その言葉で、虎杖が何を言いたいのかが分かった。おそらく「"多数の要求は少数の要求より優先する 重い。明白なことだ"」と“彼”が語ったシーンのことだろう。
 そう尋ねれば、虎杖は「そう、それ」と呪骸のツカモトさんに顎を乗せたまま頷く。

「学長が言いたいこととは違うかもしんないけど……

「まぁ、そうだな。でもそう変わんねぇと思う。その場合、呪術師が少数で、“呪いを祓うこと”が多数……もしくは非呪術師が多数だ」

だが、学長が言ったことは単純な数だけの話ではない。

「仲間やお前自身が犠牲になるとしても、優先すべきものがあるって話だろ」

 ふと、それに重なる事柄を思い出し、「少なくとも、お前はその選択ができた」と俺が言うと、虎杖は心当たりがなさそうにした。

「お前は“彼”と同じことをやってのけたんだ。……伏黒を逃がして、自分は危険の中に残って。挙句、一度は死んだんだからな」

 意識が戻れば死ぬという状況で、虎杖は肉体の主導権を取り戻した。そして、死んでいる。それは自分よりも他者を優先した結果だ。

「あーまぁ、そういうことになんのかな? でもそんな難しいことまでは考えてなかったっていうか」

特に気にするでもなく、虎杖は自然体のままだった。

「青嶺も、おんなじことすると思うけど」

 何気なく言われた言葉に、俺は返事ができずに押し黙る。
 もし俺が同じことをしたとして、その意味合いはきっと虎杖とは違う。……他者を優先したのではなく、自分の優先度が低いだけだ。

 不意に流れていた音楽が止まる。いつの間にかエンドロールも終わっていた。

「次、何観る?」

「まだ観るのか」

「まぁ、ほかにやることないし」

「これって続きあるんかなぁ」という呟きに「あと11本ある」と返せば、「マジで!?」と驚かれた。TVシリーズを抜いてる分、少ないほうなんだが

 虎杖はツカモトさんを抱えたまま立ち上がり、ディスクを取り出しに行く。続けて観るつもりだからか、電気もつけないままだ。横着してるな。
 暗がりの中で動き回るそんな彼の姿が、俺の目にははっきり見えていた。


 彼はまだ知らない。映画の中で犠牲になった人物が生き返ることを。

"一人の幸せが、多数の幸せより重要だ"

 そう言われ、舞い戻る。魂を取り戻すのだ。