MN*B
2024-06-21 01:47:26
22245文字
Public 蠱毒な夢術廻戦:pixivバックアップ
 

E.16 結び目の解き目

シリーズ中第30話になります。
注意書きは1ページ目、もしくはシリーズ概要の方にあります。

このシリーズの閲覧、ブックマーク、いいねなどを、いつもありがとうございます。
お待たせしました…!!
これは時間で考えると遅刻で、日付ならセーフってラインですね!すみません!!

 
今回、また長くなりました。
最初の頃の話の、解答編みたいな感じです。
区切ろうかとも思ったんですが、いいところがありませんでした…。

次回で、アニメ化した部分がほとんど終了する予定です。
2週間以内を目指してあげます。

 

猪野さんの口調が合ってるか、ちょっと不安ですね…。
いろいろと見直して、しれっと手直しするかもしれません。
推敲とかしても、基本的に話の流れは変わらないのでご安心を…。

 

【青嶺の、風間さんの呼び方が3種類ある件について】

彼に対しての呼び方が、オリ主の年齢(世代)によって変化しているからです。一応、使い分けてあります。
ちなみに、母親に対する呼び方も記憶と相違していますし、青嶺もあえてそうしている部分があります。



#オリ主 #夢術廻戦 #猪野琢真 #伊地知潔高 #オリキャラ
2021年9月12日 22:40



 事件現場前であり標的だった可能性が高い、俺の家族が住む家。
現時点の報告では、一般人には被害が及んでいないと聞いていた。
だが、それでも俺は気にしてしまっていた。そしてそのことは、伊地知さんや猪野先輩も察していたらしい
そんな彼らから提案され町についた俺たちは、ひとまず俺の実家にやって来ていた。



「母さん本当に、何もなかったのか?順平は?」

家に上がって早々に、俺は母さんへそう尋ねた。
母さんはこの状況に緊張している様子だったが、それ以外は特に変わったところもない。

「ええ何も。早朝にインターホンが一度、鳴ったくらいでそれに、戸口には誰も居なかったらしいの」

その言葉に、俺たちの間にも緊張が走ったのがわかった。
呪霊は、一般人の目には見えない。一部の状況は別だが。
しかしこれは、"アイツ"が玄関まで来ていた、ということか

「順平くんが出たんだけどそのときは何もなかったわ。あの子は今、部屋にお兄ちゃんの部屋よ」

あの子の部屋になったのよと母さんは付け加えた。
そして不安そうにしながら、言葉を続ける。

「大丈夫だって言ってたけど、心配だわ。家の前で騒ぎになったとき、あの子は外に出ちゃってるの。もしかしたら

そこで母さんは言い淀んだ。
言いたいことがわかった俺は、それに頷いてみせる。

「わかった。すみません、ちょっと待っててもらっていいスか」

猪野先輩と伊地知さんに目配せをすれば、彼らも頷いてみせた。
本当に何もなかったのか彼に聞かなければならない。

「ああ。なんなら俺はその間に、この家の周辺をちょっと見てみるな」

「私も一度、連絡を入れる先がありますし気にしないでください」

気にするな、といった感じの雰囲気を出す二人。母さんからすれば、俺が任務のついでで、家族に会うのを許してもらったみたいだろう。
それを確認した俺は、足早に順平の部屋へ向かう。
胸騒ぎがする。






 元は兄貴の部屋だったとはいえ、長いこと放置されていた、その部屋の前に立った。

「順平、俺だ。入ってもいいか?」

「え、あ……衛、くん?」

返ってきたのは、戸惑いよりも覚束なさを感じる声だ。
俺はそれに返事を待てず、扉をそっと開けた。
その隙間から顔を覗かせれば部屋の奥、ベッドの上に座っている順平の姿がある。その顔色は蒼白だ。
俺はそれを視認して、すぐに彼へ近寄った。

「順平っ大丈夫、じゃなさそうだな

「僕変なんだ。……死体、を見てから」

彼の表情はどこか虚ろで、それでいて苦しげだ。
何かを耐えるように、その手は握りしめられている。

「目の前がチカチカするような、頭が痛くないのに痛いような何か、引っかかってるような……

「順平、息を整えることに集中しろ。何も考えるな

俺は彼の前に膝をつき、彼のその手を握る。
母さんが心配していた通り、順平は死体を見てしまっていた。彼がこの状態になのは、きっとそのせいでもある。

「自分を強く保て。お前は大丈夫だ」

「そうだね、そうだ……大丈夫。僕は、大丈夫

息を呑んだ順平は、俺のことを見つめ返してくる。

「僕が忘れてる"彼"が来たんだ!」

「視たのか!?」

彼は表情を曇らせると、首を横に振ることで答えた。
死体を見てしまったせいで、それがアイツの仕業だということに順平も気がついている。そこから来た発想なだけで、彼にはまだその能力は戻っていないということか。
だが、きっと

「順平。思い出したいのか」

「わかんない。わかんないよ

苦悩するように、彼は俯いてしまう。
そんな彼を見つめてどうするべきかを、俺は決めた。







 頭がグラついて、目の前も見えているのか僕には分からなくなりそうだった。
それでもこんな状態でも考えずにはいられない。それとも、それを考えるからこうなっているのだろうか。

考えるのはなぜ"彼"が来たのか
あの呪霊は、母さんの仇でありそしてそれを招いたのは……

「  だ」

え?」

僕は顔をあげて、彼のほうを見る。
周りは静かなはずなのに、彼の言葉が聞き取れなかった。

「聞こえない、よな

彼はそう言いながら、悲しげに目を伏せる。

「俺のせいだ。お前に忘れることを強要してる。俺の勝手を押しつけてるだけだ

「アイツがここに来たのも、俺のせいだ。こんなの、俺が呼びこんだのと同じ

僕はそんな彼を見ながら、何も言えずいた。
握っていてくれていた僕の手から、彼はそっとその手を放す。

「思いだしたくなったらこの記憶を思い出せ。これが記憶の"鍵"になる」

「アイツの名前は、」

喋っている彼の姿が目に映る。
だけど。僕に、その先の声は聞こえなかった。