MN*B
2024-06-21 01:47:26
22245文字
Public 蠱毒な夢術廻戦:pixivバックアップ
 

E.16 結び目の解き目

シリーズ中第30話になります。
注意書きは1ページ目、もしくはシリーズ概要の方にあります。

このシリーズの閲覧、ブックマーク、いいねなどを、いつもありがとうございます。
お待たせしました…!!
これは時間で考えると遅刻で、日付ならセーフってラインですね!すみません!!

 
今回、また長くなりました。
最初の頃の話の、解答編みたいな感じです。
区切ろうかとも思ったんですが、いいところがありませんでした…。

次回で、アニメ化した部分がほとんど終了する予定です。
2週間以内を目指してあげます。

 

猪野さんの口調が合ってるか、ちょっと不安ですね…。
いろいろと見直して、しれっと手直しするかもしれません。
推敲とかしても、基本的に話の流れは変わらないのでご安心を…。

 

【青嶺の、風間さんの呼び方が3種類ある件について】

彼に対しての呼び方が、オリ主の年齢(世代)によって変化しているからです。一応、使い分けてあります。
ちなみに、母親に対する呼び方も記憶と相違していますし、青嶺もあえてそうしている部分があります。



#オリ主 #夢術廻戦 #猪野琢真 #伊地知潔高 #オリキャラ
2021年9月12日 22:40



 風間の爺さんと一緒に、俺は道場の奥にある一室にやってきた。
部屋にはいくつかの棚が並んでいて、そこに積み上げられているのは古びた紙束だ。それらと埃の匂いが、この部屋には漂っている。
窓はなく、換気ができているとは思えない。

そんな部屋の隅には、大きな桐箱が置いてある。
俺の背丈を超えるほどの大きさだ。2mはあるだろう。

爺さんはそれに近づくと、音も立てず、厳かに蓋を開けた。
その中にはおそらく綿 わたと絹でできた緩衝材 クッションに埋もれながら、ひっそりと横たわる物がある。

「儂らが受け継いできたものの一つ法具 金剛」

それはパッと見、柄の太い錫杖のように見えた。
だが、錫杖でいう先端の輪になっているはずのところが、刃になっている。しかもそれが五枚ある上に、柄から伸びたもう一つの刃に集まる形だ。
それらの刃の根元に、錫杖にもある輪が通っているがまるでこれでは、法具というより武具に見える。でも金属部分が"それ"っぽい金色をしていて実用的には見えない。

法具というのなら、金剛杵 こんごうしょに近いかもしれなかった。しかし、柄の両端にあるはずの刃が片方にしかなく、もう片方は石突のようになっている。
錫杖と金剛杵が混ざったような代物だ。


「これを持ち上げてみい」

傍にいる爺さんが促してくるがこれに対して俺は、心当たりのようなものがあった。

「これってあれか。力試し」

「そうじゃ。これで試されるのは単純な筋力ではなく、その素質じゃ」

勇者の剣みたく、持ち上げられるかどうか、子どもの間で流行っていたやつだ。
ある意味それも間違いではなくこれは呪術師の素質がある者を、見つけ出すための物なのか。
"昔の奴"は興味がなかったし、人が多いのとかあと爺さんも苦手だったから、見たことはなかった。もし昔に触ってたら、バレてたわけだな

 法具と言っているが、おそらくこれは呪具の類いだろう。
漆塗りのように見えるその黒い柄に、そっと指を伸ばす。

「力を開放し、掴むんじゃ」

その言葉で、俺は呪力を開放しながら、それを握りしめた。
胸ポケットにある"お守り"が、ジリジリと消費されるなかグッと力を籠めて持ち上げる。


「いっやめっちゃ重いんだが!!?」

「何ィ!?」

全っ然、持ち上がらない!!
ある程度の重さは、見た目からしても想像はしていた。だが、それを遥かに超える重たさをしている
俺が非力でも、呪力で強化してあるんだぞ!一体、何キロあるんだコレ?!

「お前さんのような骨っ子でも、条件さえ合っていれば持てるはずなんじゃが!!?」

風間の爺さんにとっても想定外らしく信じられん!とばかりに、目をひん剥いている。
そんな彼を視界から外し俺は本腰をいれて、持ち上げることに集中する。
……全力で踏ん張るものの1ミリたりとも浮いた気配はないッ。

「合ってねぇんじゃ、っねぇか!?」

「条件は満たしておるはずじゃ!逆にお前さんでも揮えなければ、誰が使えるんじゃそれ!!」

「知るか!!」

俺は持ち上げるのを諦め、ソレから手を放した。
大きく息を吐きながら、その辺に座りこむ。

持ち上げられたヤツを、お爺は知ってんのかよ」

尋ねられた爺さんは、見たことはないが何度か動かされとる。と言って頷いた。

「記録じゃと、この町に前から住んでおる血筋の者それは何代も前で打ち止め。お前さんの家も似たようなもんじゃ」

爺さんは眉を寄せると、さも不可解そうに呟く。

「お前さんらのような力を持った者なら、最低でも持つことは可能なはずじゃが

今の俺の姿が、原因かもしれねぇ」

その詳しい条件は知らないが俺には、資格がないのかもしれない。
一人の人間でもない、不完全な状態 たましいの俺では

「そうかもしれんし、そうじゃないかもしれん。どちらにせよ、今のお前さんには扱えんのは確かじゃ」

爺さんは冷静にそう言いながら、桐箱の蓋を閉めた。
それって、猪野先輩とか伊地知さんじゃダメなのかたぶんダメなんだろうな。というか、マジでこの爺さんは何をどこまで知ってるんだ。
そう思っても俺は口に出す気にはなれなかった。

で。要件はこれで終わりか?」

俺が疲れた声で尋ねれば、爺さんは鼻で笑う。

「まさか。そんなわけなかろう。これと対を為すのが、受け継がれた業である『風間流・錫杖伝』じゃ」