MN*B
2024-06-20 22:04:30
10679文字
Public 蠱毒な夢術廻戦:pixivバックアップ
 

じゃんけん/回収任務 【短編二本】

この小説は【蠱毒な夢術廻戦】シリーズの番外編です。
短編二本立てになってます。
高校生やってくれ…という願いから生まれた話ギャグ風味。
話の二つ目は、まぁ軽くノベライズ版二巻からのネタです。

 
【男子の力関係的な】
末っ子力…伏黒<青嶺<虎杖…みたいな感じです。
ここに五条さんが混ざると、
大人げのなさ…伏黒<虎杖≒青嶺<五条みたいな感じになります。
※実年齢加味

 

書いたのを推敲してたら、自分でも解釈違いな気が…となりだしたので勢いであげます。
魔法の言葉…これは番外編!!

表紙は、かんたん表紙メーカーさんからお借りしました。



#オリ主 #夢術廻戦 #虎杖悠仁 #伏黒恵 #釘崎野薔薇
2021年4月25日 22:51


じゃんけん


「おっ、そうだ!グリコやろーぜ」

 任務帰り。高専の敷地内を移動する道中に、虎杖がそんなことを言った。
一緒に歩いていた者みんなの視線が彼に向く。

「はぁ?グリコってあれじゃんけんで進むやつでしょ。ガキかってーの」

呆れた顔で、ほかの人間俺と恵の代弁とも言えることを、代表して話す釘崎。
言われた側の虎杖は、えー!と不満そうな声をあげた。

「いいじゃん。ほら!ちょうど良く長い階段があるし」

示すのは進行方向、歩いている道の脇に造られたその言葉通りの長い階段。

「坂道のほうでいいだろ。なんでわざわざ時間かかることしなくちゃなんねーんだ

嫌そうな顔をして恵が喋った。
道のりとしてかかる時間はおそらく、あまり変わらない。しかし遊びながらになれば、断然階段のほうが時間がかかることになるだろう。

「やろうぜー?な!青嶺はやってくれるよな!?」

最低二人でやれるし、俺が付き合うか。

……わかった」

「よっしゃー!!」

「おい、青嶺

何かを言いたげな顔でこちらを見てくる恵。それに対して俺は頷きを返しておく。恵は付き合わなくていいぞ、言い方は悪いが生贄には俺がなるからな。
俺の頷きで、彼はさらに険しい顔になった。通じてないか。

そんなやり取りの間にも、虎杖の話は続いている。

釘崎にも、じゃんけんのリベンジを挑みたかったんだけどな~。まぁ今度は俺が勝つから、やりたがらないんだろーけど」

棒読み。しかも参加者をどうしても増やしたいらしい。
それに思わず白けた目を虎杖に向ければ、同じように釘崎も視線を向けているのがわかった。

「煽り下手クソか?そんなに言うなら、また負かしてやろーじゃないの。結局あの日はアンタらのせいで、座銀じゃなくて回転寿司になったし」

えっ。なんか俺にも流れ弾来たんだが?
釘崎はやる気になったようで、ズンズンと前を歩いていく。
それを見た恵が、呆れたと言わんばかりにため息をついた。

「その下手クソな煽りに乗ってんじゃねーか。俺はやらねぇからな」

「えー?伏黒この流れで一人、先に帰んのー?」

「ノリ悪いわよ。その辺はまだ青嶺のほうがわかってるわ」

「コイツは絶対に何もわかってねぇだろ」

言い切られた
恵にそう言われてしまったので俺は少し考えて、提案をする。

それこそ、じゃんけんで決めればいい」

勝ったら参加しなきゃいいだろ。と、俺が付け加えて話せば、周りから、お~と納得の声があがる。

「それもそうって、なんでだよ!俺を巻き込む気しかねぇな!?」

あっノリツッコミ!と虎杖が歓声をあげた。
不満げな恵に、俺はしれっとして言った。

「勝てばいい話だ。一回しとけば虎杖も納得しそうだし」

虎杖に視線を向ければ、彼は悩んだような声を出した。

「ん~まぁジャンケンで決まったことならでもそれならいっそのこと、グリコに参加して欲しーけどなぁ」

「もう階段前に着いたんだけど」

前を歩いていた釘崎が立ち止まり、こちらを振り向いてそう言った。
彼女からの、やるのかやらないのかハッキリしろという鋭い視線が、恵に刺さっている

わかった。やればいいんだろ」

視線に負けた恵が渋々言って、虎杖が嬉しそうに笑った。

「やりぃ!合図は『最初はグー、じゃんけんポン!』でいいよな?」

そんな確認を取りながら、全員で階段の前に輪を作る。

「いいわよ。ローカルなの出しても混乱するし」

「相子のときは、続けて『あいこでしょ』だよな?」

「もうそれでいいだろ。さっさと始めるぞ」

「お、意外とやる気?」

「面倒なことはさっさと終わらせてぇんだよ!」

じゃあなんで参加するんだ?
そんな思いで恵に目を向ければ彼は深くため息をついた。



 じゃんけん、数試合後。

伏黒、じゃんけん弱くね?」

「オメーも人のこと言えねぇからな」

虎杖と恵の、そういうやり取りが聞こえた。

 現在地。一番上に近いほうから、釘崎。俺。虎杖。恵。となっている。
釘崎と俺は、階段の中腹辺りまで登ってきた感じだ。
ルール的に勝った人しか進めないので、参加人数が多ければ多いほど、先へ進むのが遅くなるのが、このゲームの特徴だった。
虎杖と恵はまぁ、一回も勝ててないわけではない。

「今のとこ、私が首位独占って感じかしら。野薔薇さまって崇めていいわよ!」

「すぐ下に青嶺いるじゃん!ってか青嶺、じゃんけん強くね!?」

「強くない、釘崎に負けてるだろ」

もっと声張れ!」

不服そうな恵の声が響いた。



 そこからさらに数回、勝負が行われた結果

「なぁ、もう良くねぇか?虎杖も気が済んだだろ」

俺は下を覗きながら言った。
現在地釘崎がゴール寸前、俺がその数段下。そして

「えっ?青嶺、もうちょい声大きく喋ってー!?」

そんな声が下から響いてくる。
虎杖は、長い階段のその中腹を過ぎた辺り。一応会話が成り立つし、出した手が把握できる距離だ。
問題は

「あーもう!遠すぎてじゃんけんもロクにできないじゃない!終わりにしましょー!!」

釘崎がしびれを切らして、そう叫んだ。それを聞いた虎杖が、だってよー!とさらに下へ向けて大声を出す。
姿は見えるものの、反応に時間差が出始めていた恵が、やっとか!!と心底疲れた声をあげた。


 釘崎と俺は、二人が上ってくるのを、階段の一番上で待つ。
すぐに虎杖が上がってきて、それからしばらくして恵がたどり着いた。

「最初から普通に上らせろ無駄に時間食っただろーが」

上り切ってから早々に、恵がそんな小言を漏らした。
それに対して虎杖は、まぁそんなこと言うなって!と笑った。

「でも楽しかったな!また今度やるときは、最後までやろーぜ」

結局釘崎に負けてるしと、口を尖らせる虎杖。
それに釘崎は、ふふんと得意げにした。

「望むところよ。あぁでも、最後まで出来るかはアンタたち次第ね~」

もう二度とやらねぇ……!」

恵は力強くそう言った。
ボロ負けだったもんな。



 やっと本来の速度で、帰り道を進んでいく最中。

「おい、青嶺

横を歩いていた恵から、声をかけられる。

「なんだ?」

「じゃんけん、ぽん」

不意打ち。
だが、俺はとっさに手を出した。

恵」

弱くね
俺がそう思ったのを見透かしたように、彼は俺にデコピンを食らわせる。
地味に痛いぞ。

「オメーのせいでこんな目にあってんだよ」

「言い出したのは虎杖だろ

恵は不満そうなうるせぇって言いたげな顔をしていた。
そして彼はまた手を俺のほうへ伸ばすが、俺はそれをスッと避ける。

俺たちは無言のまま顔を突き合わせた。


ガッと両腕が伸びてくるので、俺はそれをとっさに掴み、その手がそれ以上近づくのを防ぐ。
恵はさらに腕へ力をこめながら、いろいろとお前のせいだ!と、憎々しげに喋った。
それに対して俺は、ちょっと乗っかっただけだろ!と言い返しつつ、彼の腕を押し返そうと試みる。

 俺たちはそんな攻防戦を繰り広げるも、その均衡はすぐに崩れた。俺がつい、右手の力を緩めたからだった。

「涼しい顔しやがってッ」

彼は怖い顔をして、俺の頬をつねった。

なんでそんな怒ってんだ あんでしょんあおこってんあ

「うるせぇ」

「何やってんのアンタたち」

立ち止まってしまっていた俺たちを気にして、先を歩いていた二人が戻って来た。
それを見た恵は、ムッとした顔のまま、俺の顔から手を離す。しかし釘崎はともかく、虎杖にもバッチリ見られていたようで

「あ!今度はあれだな、あっちむいてホイの罰ゲームつきのヤツ!」

いや違うが?しかも勝ったのは俺だったし、なぜか一方的にやられてただけだぞ
俺がそう思っている間にも、釘崎が話を続ける。

「なんなのかはわかるけど、もっと言い方あるんじゃないの?」

あれって正式名称あんの?」

「どーでもいいし、ぜってーやらねぇ!」

言い切った恵は、肩を怒らせ大股で歩き始めた。それに倣って、全員でまた道を進む。
俺は恵のあとをついて行きながら、こういうときなんて言うかと考えた。


おこなのか?」

俺の横を歩いている虎杖から、盛大に吹き出す音が聞こえた。
その逆側を歩いていた釘崎からも、フッと息を漏らした音がした。

「伏黒~、おこなのか~?」

「激おこじゃない?」

半笑いで追撃する二人。
前を歩いていた恵は、ピタッと止まったかと思えば、ぐるりとこちらを振り返ってくる。
あっやべ、コレぜってー間違え

「お前なあ!!」

「待て、すまんッ」

キレた恵の顔がチラッと見えたかと思えば、視界の上半分が彼の手で覆われる
まてまて、意外と握力つよ?!

「決まった~!伏黒っ怒りのアイアンクロー!」

「ダサい。売れないB級映画みたいな文句ね」

「たすけてくれる気はねぇんだな

あっさらに力籠めるのやめてくれ、痛いぞ
俺が彼の手を引き剥がすこともできず、うろたえていれば恵は低い声を出した。

「お前らもう片手分が空いてるからな」

「虎杖、いけ」

「俺ぇ!?」


帰りつくまでの時間が、さらにかかったのは言うまでもなかった。