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kurotera
2024-05-27 10:15:49
10495文字
Public
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Même si ce n'est pas le destin. destiné aux adulte
東京流通センター(TRC)
TRCオンリーライブ2024 June.09
スペースNo.D23
サークル名:カノコソウ
【Même si ce n'est pas le destin. destiné aux adulte】
ラビ×リュカ
小説 成人向
文庫サイズ 110頁
800円(通販の場合+送料)/全年齢版とセット購入の場合は1500円
TwitterやWEBであげていたラビ×リュカの成人向けSSを再録した本です。
2024.6.9のラブアップ★チュウ21で頒布予定。
よろしくおねがいします:)
1
2
3
4
理由
「ダブルブッキング
……
ですか?」
ラビの困惑したような声に待機していたリュカは顔を上げた。視線を向ければそこにはラビと、スタッフがいた。青ざめたスタッフはぺこぺことラビに頭を下げていて、ラビはううん、と頬を掻いている。
「でもタクシーとかで家に帰れる距離でもないし
……
あ、別のホテルが近くに
……
そうですか、わかりました。ここからどれぐらいですか?」
ラビとスタッフのやり取りを聞き流しながら、リュカは慌ただしく片付けを始めた周囲の邪魔にならないよう、隅に立ち竦んでいた。
――
急な仕事だった。
ベースとドラムが急遽出られなくなったので、ベーシストとドラマーを探している事務所があるとプロデューサーから話が来たのだ。バンド活動が主であるI❥Bにこういった仕事が舞い込むのは珍しくない。
リュカは当初、あまり気乗りがしなかったのだが、リーダーであるノアは何事も経験だからとそういった話があればこちらに寄越すように、彼女に働きかけた。なので今でも、こういった仕事が数ヶ月に一度、舞い込んでくる。
例えば、ベーシストが必要ならばリュカだけが現場に赴くし、ドラマーを探していると言われればラビが向かう。リズムパートが二人ごっそり抜けるだなんてことは稀、というよりも今回が初めてではないだろうか。
――
リュカにとっては、いっそ、やりやすい。
ただ、やや遠方ということで泊まりがけである。ライブののちにホテルで一泊してから、朝に帰る予定だった。
「お待たせ。ちょっと困ったことになって」
話を終えたらしいラビがこちらにやってきた。相変わらず困惑を顔に張りつかせているのに、リュカがどうしたんだ、と促せばとりあえず出よう、とラビが言った。
「ダブルブッキング?」
「うん、オレ達の部屋がね」
「おい、引き下がったのか?」
挨拶を済ませてライブ会場を後にする。
一時間ほど前までライブの熱気に当てられていた身体に、夜の冷えた空気が心地よかった。ダブルブッキングで泊まるところを失ったと告げたラビに、リュカはどうするんだと問えば、大丈夫、とラビは頷いた。
「少し離れた所になるけど、急いで別のホテルを手配してくれたみたい。名前を言うだけで大丈夫だって」
ここから二十分ぐらい歩くよ。渡されたらしい手書きの地図を片手に、ラビが歩き出す。それに着いていきながら、リュカはため息を吐いた。
「不愉快だ。蔑ろにされているんじゃないか?」
「彼らだってワザとじゃないよ」
ラビが苦笑いして首を横に振れば、いよいよ片眉を上げて顰め面をさせたが、ここで怒りを露わにしても泊まる予定だったホテルにもう一つ空き部屋が作られるというわけではない。
日本に来て芸能活動を始めて数年、こうしたトラブルにも慣れてきた。
この国に来たばかりは未成年であったから、そういうトラブルはプロデューサーやマネージャーの速水が受け持っていた。今でもその場にいればそうするのだが、今はラビと二人だけなのだから仕方が無い。
やや人気の失せた繁華街を足早に歩いて行く。向こうから千鳥足で歩くカップルや、まだ飲み足りないと騒ぐ集団は自分たちには目もくれない。目深に被ったキャップから赤い眼差しを彷徨かせて、リュカはラビが知らされたというホテルを探した。
「あそこかな」
ラビの声にそちらを見る。気がつけば飲み屋街から離れた通りに差し掛かっていた。あのギラギラとした店通りから一転、こちらはひっそりとしている。
目当てのホテルが入っているらしいビルの見た目は、お世辞にも新しいとは言えなかった。軒下を飾る植木鉢は何が生えているのか見当がつかない。その隣にはやはり古い立て看板が、三時間、休憩、一泊、とそれぞれの値段を示していて、一番下にはビジネス利用可、と付け加えられている。
「
……
これは」
次はラビが唸る番だった。磨りガラスで出来たドアに看板に書かれた値段をまじまじと眺めれば澄ましていた顔が苦虫を噛みつぶしたような表情に変わっていく。
内密ってこのことかよ、と小さく悪態をついたあと、ちらりとリュカを見れば、リュカは仏頂面を崩さずに口を開いた。
「着いたんだろう? 入らないのか」
「
……
そうだね、入ろう。うん。前でモタモタするほうがまずい」
覚悟を決め、ドアをくぐった。
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