enoki181
2023-08-10 00:33:40
50433文字
Public リプレイ
 

【銀剣のステラナイツ/紫弾のオルトリヴート】十二支班1【リプレイ】

PCモチーフを干支で統一したオルトリのログ。ナンバリングは続くかもなのでつけてます。
俳優:まるさん、守部さん、黝さん、エノキ


【カーテンコール】


▼潮×ひいな

黒丑 潮:カンビちゃんとヨルちゃんとの激闘の末、アタシとひいちゃんは帰ってきた二人の家で朝を迎えている。
この世界に太陽はないけれど、それでもひいちゃんがいるから朝も悪くないと思う。

「ひいちゃん、おはよう。もう朝よ、起きて」

いつものように目覚ましで起きて、アタシはひいちゃんを優しく起こす。

そしてアタシは一足先にクローゼットの前に行く。

「ひいちゃん、今日はどんな服が着たいかしら?」

後ろをついて来ているであろうひいちゃんにアタシは振り向いてそう聞いた。

花見 ひいな:「んー……
目を覚ますと、あっちもこっちもクローゼットのお部屋。
どうしてこんなにいっぱいあるんだっけ?
目をこすりながら、小さくあくびをして、おねーちゃんの後ろをついていく。
クローゼットの扉が開かれて、たくさんのお洋服がひいちゃんの前に現れた。
……
何の気持ちもわいてこないの。
ただそこにお洋服が並んでて、すごいねって思うだけ。
「ひいちゃんが、着たい、服……?」
こてんと首を傾げながら、おねーちゃんを困らせないようにどれか一つ選んでみようとするけれど……
どれがいいのかな?

黒丑 潮:どうしたのかしら?いつもだったら「今日はこれの気分だからこのワンピースにする♪」とか言っていたはずなのに。今日に限ってどうして?

……ひいちゃん……まさか」

そうだ、あの戦いの時アタシはひいちゃんのバレットを何個も使ったんだ。その中に、服に関するバレットもあったという事だろう。

アタシはひいちゃんに見えないように拳を強く握り、泣きそうになる顔に無理矢理笑顔を張り付けて言う。

「そっかぁ、沢山お洋服があると迷っちゃうものね~……そうね、これとかどうかしら?」

そう言いながら服を選んでひいちゃんの前に持ってくる。それは鮮やかな海の様な水色をしたワンピースだった。

花見 ひいな:おねーちゃんの視線がひいちゃんから外れたその一瞬。
どうしてだか、何か大切な約束を破ってしまったような感覚がした。
……ごめんね、おねーちゃん。
ひいちゃんは思い出せないけど、きっとまた悲しいことがあったんだよね。
この感覚は昔から何度もあったの。
きっと、前のフォージのひいちゃんが残してくれた記憶だよ。

そうこうしてると、おねーちゃんが水色のワンピースを選んでくれた。
これは海の色だね?
絵本の挿絵で見たことがあるよ!
「かわいいね……!ひいちゃん、これにする!」
「じゃあ、今日のリボンはこっちにして……おねーちゃん、結んで!」

黒丑 潮:「ええ、ええ、そうね!このリボンも揃えるとひいちゃんによく似合うわね!」

ひいちゃんが選んだリボンは白色のリボン。
何色にも染まってしまうその白は、儚げで、だけどとても綺麗に見えた。

この色(ひいちゃん)を守るために、アタシは何度だってファッションショーをしてあげるの。

アタシはひいちゃんの髪を結んでやりながら、昔のことを思い出してひいちゃんに話しかけた。

「ねぇ、ひいちゃん。覚えてる?」

「昔、ひいちゃんが小さい頃かな……自分で髪を結べなくて大泣きしてた時のこと。あの時のひいちゃん凄かったんだから~」

なんて、思い出に浸りながら話を振った。

花見 ひいな:「ひいちゃんにも小さい頃があったんだねぇ」
ふふふ、おねーちゃんってば。
ひいちゃんは生まれたときも、死ぬときも、この姿なのに。

……あっ、最初のひいちゃんのことでしょ?大丈夫だよ、忘れてないよ」
おねーちゃんは、ひいちゃんがもっともっと小さい頃から知っている。
でも、ひいちゃんはおねーちゃんのことを詳しく知らないし、これからも忘れていく。
リボンが結ばれて、長い髪が揺れた。
朝って短いね。

黒丑 潮:「そう、そうよね……

「忘れてるわけないわよね」

ひいちゃんの言葉にアタシはそう頷いてそのまま何も言えずに、彼女の結った髪にさらりと触れた。

「さ、今日も素敵な朝ね。ご飯食べて今日も頑張りましょうね」

花見 ひいな:「おー!」


▼流星×花矢

三ツ星 流星:あの夜明けを終えて、少し。
僕達は仮眠を取りに家へと戻っていた。
昼頃にでもなれば報告書だか何だかでまた忙しくなるはずだ。
束の間の休息というやつをとっておかないとな。

カンビ・グリーンは気の合う先輩だった。
逆に言うと、それ以上のものはなかったし以下でもない。
ひとりのフォージにここまで執着するとは思わなかったが。

……
…………
台所の方から音がする。
困ったな、花矢くんの分の朝食ぐらい用意しておけばよかったか。

花矢:ベーコンと目玉焼きを焼く。サラダを作って、薄く切った食パンをトースターへ。
朝食作りは初めてだけど、そんなに難しい事じゃなかった。「お兄ちゃん」が毎朝やっていたのを横で見ていれば、覚えもするもの。

……むしろ今まで外見年齢に見合った知識が無かったのは、変なリミッターでも掛けられていたのかも。
その方が、「三ツ星流星」に都合がいいものとして。

やがてドアが開く音がする。
少しだけ首を回すと、いつもの通り「お兄ちゃん」が現れた。ううん、「いつも通り」だと語弊があるかな。
いつもは私が「お兄ちゃん」に起こしてもらって、「お兄ちゃん」に迎えてもらう側だったから。

「おはよう」
「朝ご飯、もうすぐ出来るよ。先に顔洗って来たら?」

三ツ星 流星:「あ、ああ、おはよう……
台所に向かうと、気味が悪いほどに穏やかな花矢くんがそこにいた。
テーブルには既にサラダのボウルと食器やコップが並んでいた。
ご飯がもうすぐ出来る?顔を洗ってきたら?
どうしたんだい、いきなり。

一度顔を洗って戻ってきたが、どうやら夢でもなさそうだ。
備品だかなんだか知らないが、急に何でもできるみたいに振る舞って。
今まで隠していたのか?そんなはずは……
「今日は花矢くんが作ってくれたんだね。すごいじゃないか。初めてなのに」

花矢:「……っふふ。そうよ」

「でもね。あなた、今こう考えたでしょう?

『備品如きが急に調子づいたな』

ーーーーって」

無邪気な子供ならいざ知らず、私はもうあなたに騙されない。
作り笑いのその裏側に秘められた劣等感も対抗心も野望も、全部お見通し。
でも、別に責めないわ。だってそれは、あなただけのものじゃないもの。

私にも、あなたと同じ血が流れてる。

だからあなたの心の中に渦巻く感情と同じものを、私もあなたに向けている。


「ねえ、どうして私に隠してたの?」
「私達、きょうだいなのに」
「ほんの少し運命が違えば、私が都市捜査官であなたがフォージの立場だったかも知れないのに」


「どうしてなの、『流星』?」


『お兄ちゃん』とはもう呼ばない。
だって、私の製造の方があなたより早かったんだから。
私の方が、本当は『お姉ちゃん』なんだから。

三ツ星 流星:「ど、どうして……
僕は目を泳がせながら、口を開けたり閉じたりして、せめて何らかの言葉を続けようとしていた。
冷たい汗が頬を撫でる。
どういうことだ?
僕は父さんの血と母さんの血から生まれた、たった一人の最高傑作!
この世界を救う英雄となることが運命付けられている都市捜査官!
その僕に、……
……
恐ろしかった。
血の繋がった"きょうだい"というものを自覚させられることが。

――僕と君の違いは生きているか、死んでいるか」
「それともそんなことを問い詰めるためにフラグメントを落としたのか?」
違うだろ。
姉さん。

花矢:「あら。落とす事を選んだのはあなたでしょう?」
「だって、生前がどうあれ今の私は『備品』だもの」

にっこりと笑う。
昔の私だったら、彼の動揺を見て少しくらい胸を痛めていたかしらね。
でも、今は何も感じないの。
それがフラグメントを落としたせいなのか、私の中で何かが変化したからかは知らないけどね。

「けど、あなたの言う通り。別にあなたを困らせる為にここにいる訳じゃないわ」

ゆっくりと、一歩ずつ距離を詰める。
そして立ち尽くす冷たい胸に、そっと指先を置いた。

「ねえ、流星」
「私達、一緒に英雄になりましょうね」
「あなただけ生を授かって、あなただけ栄光に包まれるなんて、許さない」

「残り一年に満たない時間、全部あなたにあげる。だから私達、二人で、世界を救うのよ」

歌うように、祈るように呟いて。
光なき朝の中でその身体を抱き締めた。
背中に回した手の熱は、彼がこれから背負う十字架。

私の『弟』が生きる限り付いて回る、呪いだ。

三ツ星 流星:二人分の心音がすれ違って聞こえた。
暗く、湿った気持ちの裏でふつふつと火が燃える。
備品が何だ、きょうだいが何だ、嫉妬が何だ、憎悪が何だ。
そんな言葉を吐くような女に、呪いをかける死人に、僕は屈したりなどしない。

……姉さん。こんなことをしていては、せっかく作ってくれた朝食が冷めてしまうよ」
目の前の少女の背を、とんとんと叩く。
どの道君が僕と同じ存在だというのなら……
これから先で、優劣というものを見せてやる。

三ツ星 流星:「いただきます」
二人で並んで食卓に着く。
昨日までと同じ朝は、もう二度と来なかった。


▼巳影×ハジメ

ハジメ:期間限定で出してる食いもんには飛びつく癖がある。飛びつくっつーと言いすぎか?生き返ってから気に入りの飯屋をいくつか見つけて、そこの新商品とか期間限定は食うようにしている。
まあ、つまり。そこそこ食にはうるさいと自負していたんだよな。

……

手の中にあるのは、推奨の店で買ったもの。歩きながら齧っても、なーんの味もしやしない。こないだのバトルからそうだ。

「めんどくせーや、フォージって奴は」

ぶつくさと言いながら家の扉を開く。キッチンから音がして、いい匂いが漂っていた。味と一緒に匂いも持ってけよ、クソが。

「また凝った料理してんの?」

巳影:「まあね。そっちこそ、また買い食い?ほどほどにね」

キッチンに立ったまま、鍋をかき混ぜる。
昔は料理も嫌いじゃなかったことを思い出して、久しぶりに作ったスープカレー。
味は分からなくても食感や香り、温度や舌触りなら彼にも分かるだろう。

彼の味覚が消えた代わり、という訳では無いだろうけど。
何を食べても味気なかったはずの僕に、最近少しだけ「美味しい」と言う感覚が戻って来た。
あの時、「自分の為に生きろ」なんて背中を蹴飛ばされたからかも知れない。

「ほら、座って。丁度出来たから」

皿によそう時も見た目を考える。
料理は見た目も大事だ、って母さんが言っていたから。味以外の楽しみを彼に提供できれば、と。

ーー復讐の対象じゃない相手の事をこんなに考える事が出来たんだな、僕は。それすら忘れていた。

ハジメ:食事の用意をする姿は楽しそうに見えた。鼻歌でも歌い出すんじゃないかってくらい。コイツ、こんな顔もできたんだなぁ。

オレはといえば、逆に生活から張りが減ったきがする。
この前、悪い奴を一緒にとっつかまえた。そんときはワクワクした。体を動かすのとか、昔の殺しを思い出したりして。
けど、元同僚を制圧したあと。ドキドキが減ってた。前だったら感情剥き出しの声に興奮しただろうに。

どんどんオレが正しくていい奴になってしまいそうだ。
なんか困る、嫌だ。

……

モヤモヤを抱えながらも料理の前に座る。

「先食って。オレ、冷めないと食わない」

あーあ。なんか失うなら、猫舌がなんとかなりゃよかったのに。

巳影:「……そう言えば君、猫舌だったね」

かつて世間を震撼させた殺人鬼が猫舌、という事実を知るのは僕くらいなんじゃないかな。思わず口元が緩む。
ーーなんで笑ってるんだろうね、僕は。
犠牲と欺瞞だらけのこんなどうしようもない、独りぼっちの世界でさ。

「話は変わるけれど、この間の戦いでバレット2発使ったよね」
「片方が味覚ってのは分かったけど、もう片方は何だったの?」

お先にスプーンを手にしながら、問うてみる。
見た所、味覚以外の変化は感じられない。だとすると、見て分からないような箇所に変化が生じている可能性がある。例えば記憶や思考などに。

ハジメ:「ん、んー……

唸って考える。なんせオレがよくわかってない。

「まー、言ったとおり、オレの楽しみが減ったんだろうけど……ハッキリしねぇ」
「ちょっと殺しに興味が薄れた、みたいな?悪くないんじゃねぇの、世間的に」

目の前で他人が食ってると美味そう。味がしないのはわかっててもだ。スプーンでひと掬い、それに念入りに息を吹きかける。ちびりと舌先でスープを舐めた。

「んまい。多分」

それにしても、こんな大層な食いもんを作ったのかぁ、コイツが。ゴロゴロ転がってるデカい具たちにも齧りつく。味はわかんないけど、噛み応えの違いは楽しいんじゃねぇの。

「ほんとにくれてやっちまったかなぁ、人生の楽しみみたいなの。大事に使えよ」

にへらと笑って言ってやるくらいの余裕はまだある。
だってさ、あんだけ表情筋が働かなかったやつがさ。楽しそうにしてるんだ。オレに気遣ってあの顔に戻したいんじゃない。
オレが最後のフォージになんだろ。じゃあコイツももうすぐ最期。「いい人生だった」とか言って死んでってもいいんじゃん?

ああ、なんだか牙が抜けちまった気がする。最期の叫びが好きで殺しやってたのに、このザマかよ。
失くしたのはしょうがない、きっと世間様には悪いもんじゃねぇんだよな。そうわかっているものの、心に空いた穴に風が吹くような感覚は慣れなかった。多分、これからもずっと慣れない。

巳影:「うん。有難く貰い受けるとするよ」

彼の言う通り、世間的には殺人への欲求が落ち着くのは万々歳、なんだろうけど。
僕としては少しだけ、寂しい気がした。前に一緒に戦った時は、結構楽しかったから。

虎は死して皮を留め、人は死して名を留める。
だから、僕だけは覚えておこう。

彼が、僕と同じ「殺人鬼」だったと言う事を。


「ーーうまい、って。味、もう分からない癖に」


なんて返した時に胸に湧いたこの感情の名が「楽しい」だと言う事を思い出すのには、少しだけ時間を要した。


▼カンビ×ヨル

カンビ:あの後、僕はアンサング・ヤードに捕まった。
凍結牢行きになるかと思われたが、そうはならずに済んだ。今までの実績が評価されたのはもちろんだけど。人間を惑わす龍がフォージとしてやってきた今回は運が悪かった、と判断されたらしい。
ヨルはそんなんじゃないと言い返したが、凍結されたくなかったら黙っていろと一蹴されてしまった。

そうして、僕はまだブリンガーを続けることになった。これも凍結牢にいきたくなければやるしかなかった。
ヨルのいない世界を守る……虚しさはあるが、僕が生きていくにはこれしかないんだ。
父と母がヨルと出会って、まだ妹がいて。僕がヨルと一年生きた場所。あの頃の彼女は人形の様だったけど、僕だって楽しかったんだ。

今日は新しいフォージがくる。
僕が失敗してしまったことは最初に嘘偽りなく伝えるべきだろう。次はしないと誓うためにも。
そんなことを思いながら、フォージの待つ部屋へ足を進める。ノックをしてから扉を開けた。

「はじめま……

言葉が止まる。
そこにあったのは、初めて見た顔じゃなかったから。

……ヨル?」

ヨル:「また、会えたわね。カンビ」

「あなたが置いて行かないでと言ったから、また来ちゃったわ」

目の前にいるカンビが目を見開いて私の顔をまじまじと見るものだから、それがおかしくって笑ってしまった。
周囲が私達に向ける視線は冷たいかもしれない。けれど、二人でいればそんな視線なんて気にならないはずだ。今度は、カンビを守りたい。私はそう思った。

そうして、悪戯っぽく笑った私は思った事は胸にしまい、続けざまに彼に問う。

「お姉さんの私は変かしら?前の姿の方がカンビは慣れている?何なら、男の子の姿もできるわよ?」

しかし、暫くしても返事をしないカンビに、私はヤレヤレと呆れた笑みを見せる。

まったく、私の鳥は仕方のない子なんだから。

カンビ:「ヨル?ほんとうにヨル?」

信じられない、夢でも見ているのだろうか。
一年とちょっと前、こうして出会ったのと同じように立っている……いや、違うな。あの時はもっと幼い年頃で、表情もなくて、僕の名前を呼ぶことはなくて。

「どんな姿でも君は君だよ。楽な姿でいて……あれ、まって。全部覚えているの?」

そう思うと、途端に気恥ずかしくなってくる。変に笑いそうになる頬を抑えながら近くに寄る。

ヨル:「全部覚えてる?……さぁ、どうかしら?」

カンビに色々されたことも、彼と共に戦ったことも本当は覚えている。だけど、それをカンビに答えることなく私は微笑む。

貴方が真実を求めていたことも、私と共にありたいと思ってくれていたことも。最後まで大事にしてくれたことも。全部全部覚えている。

「どんな私でもいい……そうね、私は私である限り私なのだから、どんな私でも全部自分、なのよね」

「ねぇ、カンビ……大好きよ、これからもずっとずぅっと」

私の元に近寄ってきたカンビに顔を近づけて、私が以前付けた噛み痕に軽くキスをする。

そこで顔を離すとカンビと目が合った。
彼はびっくりしたような、照れているようなそんな表情をしていた。それが可愛らしくて私は人差し指を口元へと持っていって「しーっ」っとする仕草を見せた後、くるくると舞うように彼から少し離れる。

そして私の好きなメロディの鼻歌を口ずさんだ。

カンビ:「それ、絶対おぼえてる……

口付けられた部分が熱く、指で撫でる。好きと言われたのが胸の中で蕩ける。
鼻歌まで口にして、ヨルは随分ご機嫌だ。また一年僕に使われる命だというのに。僕がしたこともしっかり覚えているんだろうに。

「まあ、いいか。予定は変わらないのだし」

そう、次は失敗しないことに変わりはない。
ヨルの両手を取ると、崩れる気配はまったくなかった。それが嬉しくて頬が緩む。
それから、もうひとつ。彼女にだけ誓うこと。

「ヨル、次こそは君を光にする」
「君の存在が御伽噺の龍みたいなんだ、きっとあれも本当だよ。君が憎んだこの世界から、一緒に僕を連れ出して」
……っていうのは、どうかな、だめかな。君を大事にしたいから、君の意見も聞きたい」

以前、彼女の意見も聞かずに突っ走った自覚がある。意見を求めるのは僕なりの誠意だった。
ここまででも嫌な気持ちになっていないといいのだけど。ちらりと顔色を伺う。

ヨル:「カンビがそう信じるのなら、私も貴方を信じるわ」

「ダメなんかじゃない。貴方を私の背に乗せてこの世界を飛び越えてゆきましょう?きっとこの世界だけが世界ではないわ」

貴方がいれば、私はどこへでも飛んで行けそうよ。
ねぇ、カンビ。今度こそ私、貴方を一緒に連れて行きたいの。だってこんな命が失われ続ける世界に優しい貴方は置いてはおけないもの。

「カンビの手は、暖かいのね……

「まるでお日様のよう」

今は見る事の叶わない太陽も、彼に見せてあげたい。

彼に握られた手に私も少しだけきゅっと握りしめる。

「今度こそ、約束するわ。貴方と共にあるって」

カンビ:この世界に太陽はない。ずっと夜空が続いている。
けれど、僕たちは日の光と暖かさを知っている。
だから求めてしまうのかもしれない。

「この約束は守ってくれよ。僕もそうする」

彼女の手を持ち上げ、指の先に口付けた。
ひんやりと冷たい気がするのは人ではないからか。この冷たさに嫌な気持ちはなかった。

「愛しているよ、ヨル」

もし本当に御伽噺だったとして。別の誰かに彼女を殺させたりしない。もうこれ以上、世界を恨ませたりしない。

次になくのは朝を迎えたときだ。

愛しい存在とゆっくり迎えられる朝日を夢見て。
僕たちは羽ばたきを止めない。


【勲章】

勝利の騎士:全員
終撃の騎士:黒丑 潮
鉄壁の騎士:なし
模範の騎士:全員
共闘の騎士:全員
暮六の騎士:全員 くれむつのきし。夕闇を駆け朝を呼んだあなたたちに贈る。