enoki181
2023-08-10 00:33:40
50433文字
Public リプレイ
 

【銀剣のステラナイツ/紫弾のオルトリヴート】十二支班1【リプレイ】

PCモチーフを干支で統一したオルトリのログ。ナンバリングは続くかもなのでつけてます。
俳優:まるさん、守部さん、黝さん、エノキ


【幕間】

休暇中のフォージが逃亡。古からの龍であり、戦闘の際は注意されたし。
また、都市捜査官カンビ・グリーンが事情を知っているものと思われる。共に休暇中であり、恐らく逃亡を共にしている。

第12班。今動けるのはお前たちだ。

必ずフォージをバーンナウトせよ。

繰り返す、必ずフォージをバーンナウトせよ。


▼潮×ひいな

黒丑 潮:「な、なんですって……?」

カンビちゃん達が逃亡中ですって?

突然連絡が入ってビックリするアタシ。

「はぁああ、あの子達ったら……何をしているのかしら……

よりによって自分の班の班員をここで止めなけれはいけないという事に直面してアタシはため息を吐く。これまでそんなことを経験したことがなかったわけじゃない。

だけど、やはり見知った子達を相手にするのはつらいわね……

「ひいちゃん、あの二人、カンビちゃんとヨルちゃんが逃げちゃったんだって」

花見 ひいな:「えっ、カンビさんとヨルさん……?まだ、仲良くなれてないのに?」
ぎゅ、とひいちゃんは両手で自分の髪を掴んで俯いた。
バーンナウトってことは、もう間に合わないってことだよね。
それをしたら、多分もう会えなくなっちゃうよね。

「お仕事はしなきゃだけど、寂しいなぁ……
「おねーちゃん、また後で飴もらってもいい?悲しいときは、甘いものを食べると元気が出るの」

黒丑 潮:「そうね、悲しいわよね。アタシも悲しいわ……でもね、アタシ達は前を向いてなきゃいけないのよ。あの子達の為にも、この戦い……頑張りましょうね」

そう言ってひいちゃんの頭を撫でてよしよしと慰めるように包み込む。

アタシもつらいけど、ひいちゃんもつらいわよね。でもアタシに任せて、あの二人を必ず止めて、そしてひいちゃんとの日々をまた送ると誓うから。

「そう、ね……このお仕事がんばったらご褒美にひいちゃんの大好きな飴をあげるわ」

「だから、一緒に頑張ってくれるかしら?」

花見 ひいな:ほんとうは、さっきもらったのが一つ残ってるけど……
二人に「これあげるから、戦わないで、仲良くして」ってお願いしたら聞いてくれるかな?
……でも、そんなことしてうまくいかなかったらもっと悲しいから。
「うん、おねーちゃんと頑張る!」

黒丑 潮:「うん、ひいちゃんえらいわね!」

そう言うなり、アタシは気持ちを切り替えて立ち上がり、改めてひいちゃんを見る。

「じゃあ行きましょうか、あの二人にお仕置きしに!」

そして仮面を張り付けながら言うの

『もうアタシが殺さないように』

ほら、ひいちゃんも続けて?

花見 ひいな:『もう私が死なないように』
今まで何度も唱えたことがあるような、不思議な言葉。

黒丑 潮:『アタシが貴方をコーディネートしてあげるわ』

そうしてひいちゃんに手を伸ばした。

微笑んで伸ばした手は彼女の頬に触れようとした。

花見 ひいな:『私がずっと待っててあげるね』
その手をとって、頬を寄せる。
温かい。人の体温。
"ひいちゃん"はまだ生きている。

黒丑 潮:触れた感触を一瞬感じたところでアタシの周りにひいちゃんのぬくもりを感じる。
それに安心してアタシはふっと一瞬閉じていた目を開ける。

手に持っていたのはいつも使い慣れている銃。これはひいちゃんにも渡しているものだ。アタシの手にもしっくりと馴染む。

「もう、殺させたりしないから……

そう言って現場に向かう事にした。
勿論、アタシの仕事をしに。


▼流星×花矢

三ツ星 流星:「先輩?冗談だろ……!?」
無線を切り、溜息をついた。
随分と資料室に長居していた。
気付きを得てから、僕の時間の感覚が少し鈍ってしまったのかもしれない。
大丈夫だ。安心してほしい。
君がどんな存在であっても僕が"都市捜査官の三ツ星流星"である以上、善い形で利用させてもらう。

「花矢くん、バーンナウトの連絡だ。いけそうかい?」
さっきの作り笑顔はすぐバレてしまったようだが、今回は大丈夫だ。
微笑み、手を差し伸べる。

花矢:「……うん!だいじょうぶ、いけるよ!」

よかった、さっきみたいにこわくない!
ここでちゃんとがんばって、いっしょにおしごとできたら、きっとお兄ちゃんはカヤのことほめてくれるよね!

カヤはお兄ちゃんのために、そしてセカイのために生まれたの。
だから、ヨルおねえちゃんやカンビお兄ちゃんにはごめんなさいだけど、カヤはまけないよ。

だってカヤは、エイユウであるお兄ちゃんのフォージだもんね!

三ツ星 流星:英雄になる条件として、大切な人を失う必要がある。
当然これは僕の推測にすぎない。
けれど歴史に名を残す者は皆……例えば両親、例えば兄姉、例えば恋人を失っている。
失うことできっと、強さを手に入れるのだろう。
丁度いい。
先輩達には僕の英雄への踏み台、その一歩目になってもらうとしよう!

――天にありては星』

花矢:お兄ちゃんがヘンシンのための「キーワード」を口にする。
だからカヤもそれに合わせてつづけるよ。

『地にありては花』

お兄ちゃんがお星さまで、カヤがお花なの。
お兄ちゃんはお空でいちばんきれいで、カヤは地上でいちばんきれいってコト。

エイユウはセカイに一人だけ。

そしてカヤは、一年後にお星さまになる代わりに、お兄ちゃんといっしょにエイユウになることをカミサマにゆるされてるの。

だからいっしょに行こうね、お兄ちゃん。

三ツ星 流星:『これ世に秀でたるものの最たらずや』
人も、愛も、この世界においては無価値も同然。
秀でている者こそが最も美しくて強いのだ。

花矢:『これ世に秀でたるものの最たらずや』

お兄ちゃんと同じコトバ。
くりかえすように、かぶせるように口にしたら、なんだかカラダがあつくなってくる。
何にもかんがえられなくなって、ふわぁってカヤはお兄ちゃんにとけていくの。

今のお兄ちゃんはキラキラしてて、それはまるで。


空から地へと堕ちていく、流れ星みたい。

三ツ星 流星:星のように一際大きく輝いて、光を手にする。
この重みが、僕に戦うための高揚感を分け与えてくれる。
さぁ、花々しく駆け上がろうじゃないか!


▼巳影×ハジメ

ハジメ:容疑者を引き渡してパトロールを続けていたところ、車の中に通信が響き渡った。

「あれかぁ、変身してってやつ……オレが暴れらんねーやつ!体なくなっちまうやつ!」

頬を膨らませ助手席でふんぞり返る。

巳影:現場へと急行する道すがら、助手席でハジメ君はそんな事を宣う。
特に表情を変えないまま、僕は口を開く。

「暴れたいなら最後、僕が略式執行出来るように善処はするよ」
「でも君が言う通り、身体機能なり記憶なり感情なりに影響が出るのは間違いないね」

それを申し訳ないとか悲しいとは思わない。そう感じる事自体が傲慢だ。
人は誰しも役目を持って生まれてくる。彼の役目がそうであるなら、僕もまた今の自分の役目を遂行するまで。

ハジメ:「暴れらんなくて嫌なのは今!銃になるじゃん」
「前も言ったけど、嫌がってねーから躊躇うなよ。何が無くなったって、オレは人殺しなのは変わんねーんだよ」

車の前んとこに足を乗り上げさせる。なんか消えても、オレはまたこうやってだらしない格好で車に乗っかるだろう。よくわかんねぇ確信があって、じゃあいいやって気がする。

「あとさぁ、その殺すやつ?顔知ってるやつだ、同じ班だし。そいつが嫌がっても躊躇うなよ」

そんな会話をしつつ、互いに前を向いて視線は交わらないまま。

巳影:「……僕が情に流されるように見える?」

それが可笑しくて、少しだけ目を細めた。
随分と僕に人間らしい感情がある前提で語るじゃないか。この世界ではヒト扱いなんてされてこなかった僕に対して。

「躊躇いなんか無いよ、今更」
「それでも、君が喪失を恐れていないと言う事を僕は少しだけ嬉しく思う」

僕の罪悪感が薄らぐからじゃない。
君が君の人生を悲観してないって事がだ。


やがて、現場が近付いて来る。ここから先は徒歩で向かった方が良さそうだ。車を停め、降りるように促した。

ハジメ:「んー……オレに『どうしたい』って聞いたじゃん。最後のフォージでも、アンタはオレにそうやって聞いたんだ」
「だから、アンタは今更でも何か無駄なことを考えそうだ。殺しがいのある仕草してたら足元掬われるぞ、ってこと」

これはオレなりの激励だった。さっき、嬉しいと感情を伝えてきた相棒に向けての。何も思わない人形じゃねぇんだろ、アンタはさ。

車を降りて木々の生い茂る中を進んでいく。

「なあ、そろそろ?」

巳影:「……そうだね。姿は見えないが、気配は近い」

野生の勘、という奴だ。この辺りで先に変身しておいた方が良いだろう。
緑の匂いが立ち込める森の中で足を止め、ハジメ君の顔をまっすぐに見つめる。

「ねえ、ハジメ君」
『虎は死しても毛皮を残す。なら、君は何を残すの?』

僕をいたく人間扱いする僕のフォージにそう問うてみた。

ハジメ:コイツとは同じような勘が働くらしい。鼻で笑った。

『オレは何も残さない。テメェが全部持っていっちまえよ』

交わった視線はすぐに融解する。オレが溶けていってしまうからだ。
さぁて、あとは任せるとしようか。

巳影:目の前の少年は光の粒に溶けて消える。
僕の腕の中に残されたのは、一本のサバイバルナイフ。
これで彼は何度も人を殺めてきたんだろう。虎が爪で獲物を裂くように。

「なら僕も、君に倣ってみようか」

呟いた言葉は誰にも拾われず、苔むした回廊に落ちていく。


▼カンビ×ヨル

カンビ:「ヨル、来るよ。君の糧になる者たちが」

やっぱりこちらから出向かなくてよかったね、と笑った。森の中が騒がしい。

「安心して。償いはきちんとする、自分で始末をつけるよ」
……嫌じゃないかな、僕といるの。僕を恨んだりしないの?」

ヨル:「ええ、なんだか美味しそうな匂いがするわ……きっと、これから戦う人間はとても美味しいんでしょうね」

そう言いながら鼻をスンスンとひくつかせる。ここまで嗅覚が敏感なのは久しぶりの感覚だ。以前は人間と大して変わらなかったけれど、この状態も悪くはない。ようやく本来の私に帰ってきた、そんな気さえする。

カンビと二人隣り合って座りながら私は彼の手を優しく握る。そして耳元に近付いて囁くように言う。

「いいえ、貴方を恨んだことはないし、これからも恨むことはないわ……

「だってあなたは私の特別、だもの……

カンビ:彼女の吐息が耳にかかる。不思議だ。温かくも冷たくもあるようで……僕とは違う生き物なんだと思い知らされる。
そんな彼女に『特別』と言われ、嬉しくて頬が緩んだ。

「そっか……僕も君の恨む人間なのかもしれないと思ったんだ」
「もし嫌いだと言われても関係なかったけどね。君を死なせはしないよ」

こちらからもヨルの手を握る。

ヨル:「本当?貴方が私のことを守ってくれるナイト様になってくれるの?それはとても素敵な事だわ」

だって今まで私は守られる様な、そんな存在でもなかったし、むしろ殺されるような目にばかりあってきた。それが、私のことを死なせないだなんて可愛いことを言ってくれる。

「それじゃあ……

「いいえ、なんでもないわ……カンビ、二人で生きる為に頑張りましょうね」

私はまっすぐ彼の目を見つめて言った。

カンビ:何かを言いかけてやめたヨルを見て、ふつりと不安が湧き上がる。
僕が彼女を守るのは、両親を救ってもらった恩返しか。両親の代わりに、何かを返そうとして。……ヨルも同じなんだろうか。それって、僕は本当に彼女の『特別』と呼べるのだろうか?

……ねえ、もし君が死ぬときがきたら。僕も連れて行ってくれない?」

その返答を聞く前に、ヨルの唇に人差し指を立てた。

「ごめん、言わないで……僕も今言うことじゃなかったね」

こんなの縁起でもないな、と寂しく笑う。不安があっては成すことを成せない。今は前だけ見ていればいい。

『君に光を灯したい。この先を照らす光を』

ヨル:「……

ふいに人差し指で言葉を止められた。これでは変身するための言葉も言えないではないか。まったく、かわいい子だこと。

私はそっとカンビの手を取りながら、その手に指を絡める。もうその手を離さないように。

『もう、貴方からは充分に光を貰っているわ』

『私のことを照らしていてくれる、貴方はそんな存在なんだもの……

彼の頬にそっと手を添える。

『私の壊れた世界に、再び色を付けたのは貴方だから、カンビ』

そうして微笑むと彼に柔らかなキスを贈る。

「大好きよ」

名残惜しいけれど、私はふわりと彼の前から仮初の姿を消した。

カンビ:昨日と今日と何度も変身させた。バレットを消費するために。そのどれもが虚しくて寂しくて苦しかったのだけれど、今はそんなことなかった。
体の中に力が満ち溢れてくる。あの美しい龍が僕の傍にいるのだ。負けは許されないだろう。
宙に浮くヨルはとても綺麗で、この世のものとは思えなくて。心地が良さそうで。そんな存在を滅ぼしていいはずがない。

……願わくば、君と共に飛びたい)
(ああ、食べて欲しいとは。僕もわかるよ、お母さん)

この生き物に取り込まれたら自分も美しく在り続けられると思う。僕も堪らなくなって、あんなことを言ってしまったんだ。

(母と父の先じゃなくて、僕だけを見てくれないか)

こんな綺麗じゃない感情も、全て浄化してくれる気がした。
人ならざる存在は人を狂わせる。世界よりも君が欲しくなってしまったのだから。

――龍に心を巣喰われ、朝告げ鳥は正しく鳴けない。