戌丸アット
2022-05-29 23:33:40
33972文字
Public 戦国basara
 

三家SS詰め

三家(戦国basara)



!!!注意!!!

・学バサ設定でタイムスリップネタ
・あと影武者ネタ
・腐要素が薄い
・ハマりたての時に書いた古いものに加筆したもの
・宴の松永の章を参考にしてるけど皆、なんとか生きている
・完全に書き手の趣味
・変に長い

以上の事を踏まえても平気だよ!と言う方はどうぞ!





家康は今の己の置かれている状況を信じれずに居た
目の前には、自分に酷似した全身包帯に巻かれた男が眠っている

実は眠っている男、名を徳川家康
戦国時代の武将で日本史の中で長きに渡り、世を治める徳川幕府の初代将軍となる筈の男である
そして「高校生である徳川家康」と同姓同名の歴史上の人物であった

そもそも高校生、徳川家康は自分の名前をあまり好んではない
なんなら名付けた亡き両親を恨みそうになった事もある
それは過去に理由があった
目の前の男と同姓同名のお陰で小さな頃は、それはもう嫌と言う程に狸め!偽善者め!と見知らぬ者達から罵倒され続けて来た
酷い時には名前を知っただけで殴られた事もあった
しかし今のBASARA学園へと入学すると、自分以外にも歴史上の人物と同姓同名の者は多く、学園で濃くも充実した生活を送っていた為にそんな事は忘れていた
では何故、そんな事を思い出さなければならなくなったかと言うと
それは数刻前の事である



この時、家康は生徒会の仕事の為に一人で帰路に着いていた
本来は学園から学生は男女関係なく、一人で帰宅する事は避けるようにと言われ、家康は本多忠勝や友人の前田慶次や長曾我部元親たち等と帰るようにしていたのだが
生徒会の仕事で気になった事を調べていた為に忠勝さえも帰宅させていたのだ

そして空が赤から黒へと姿を変えようとする紫色の空を見ながらの帰宅中、薄暗い道を何故に一人で帰宅しないように教師が煩いかを実感しながら大通りに出た時のことである
その大通りで事件は起きた

「なっ!?三成!危ない!」

生徒会会長の座を争った、しかし家康自身は友と思っている男、石田三成が赤信号にも関わらず横断歩道の中心で、頭を抱えて蹲っていたのだ
この事態に家康は迷わず、三成の元へと駆け寄った
トラックが三成目掛けて突っ込んで来ていたからである

家康は駆け寄ると、三成の体を抱えて次に来る衝撃を目を瞑って耐える構えを取った
三成を突き飛ばすのでは間に合わない
ならば、せめて三成の体をトラックの衝撃から守ろうと思ったのだ
そして頭と背中が焼けるような痛みを感じた瞬間、家康は意識が飛んだのを感じた

暫くして目を開けると、周りには着物を着た友人の「伊達政宗」と隣には自分とは別に眠る全身を包帯に覆われた自分の姿があったのだ
そして自分を見た瞬間、自分は死んだのだと思った
がしかし結果は違っていた

「Hey、いつまで見つめてやがる、起きたなら挨拶くらいしな!」
「え?あ、ワシが見えるのか?政宗」
はぁ?見えるも何も………別にアンタは死んでねぇぞ」
「え」

一瞬、彼の言葉を理解出来ず、もう一度、隣を見るとやはり自分が眠っている
これでは自分が分裂した事になるではないか!とパニックを起こしかけた所で「政宗」が声をかけてきた
すると「伊達政宗」と話していく内に家康は自分がタイムスリップしている事に気付いた
無論、着物を着た「伊達政宗」は自分の知っている「野球部の伊達政宗」ではなく「奥州筆頭、伊達政宗」独眼竜で有名なその人であった

はぁ、信じづらいがアンタの名前も"徳川家康"だって事は分かった、それにその奇妙な服装や持ち物の理由もな」
「あ、あぁありがとうございます、ワシ自身もよく分かっていないから有難い、だが簡単に信用してくれたのは何故なんですか?」
「ん?あー忍びならTime travelなんて言い訳せずに家康を暗殺でもして姿をとうの昔に眩ますんじゃねぇのか?ましてや、本物の近くで呑気に気絶なんて有り得ねぇからな」
「なるほど、タイムスリップは信じがたいが敵の可能性は皆無に近いと言う事か

政宗はぎこちなく敬語で話す家康を目を細めて観察するように見た後、面倒臭そうに、だが丁寧に家康に説明をした
その説明に素直に納得すると、確認するように家康は呟く
そんな家康を政宗は、ただ静かに見つめていると障子の向こうから政宗を静かに呼ぶ声が聞こえた

「政宗様、少し宜しいでしょうか」
「小十郎か、待ってたぜ、入んな」
失礼します」

小十郎と呼ばれた男は一礼しながら言うと静かに障子を開けて丁寧な動きで閉めた後、チラリと家康を見たかと思えば政宗に耳打ちをしていた
無論、耳打ちの為に家康には何を小十郎が話したかは分からなかったが、美しい顔を少し厳しくした政宗に家康は自然と体を緊張させた

「っちやっぱりか」
「政宗様、我々は如何致しましょう」
「とりあえず最初に決めてた様に動くが

政宗は切れ長の目を細めて畳を暫し見つめていたが、ゆっくりと顔を上げるとニヤリと家康に向かって美しく笑う
その表情に隣に居た小十郎は眉間に皺を寄せ、主人の名を呼ぶ
がしかし政宗はそんな小十郎を無視すると楽しげに家康に話しかけた

「Hum良い事、思いついたぜ」
政宗様?」
「おい、アンタ!」
「?なんですか?」
「アンタ、家康の影武者をやってみねぇか?」
「はっ!?か、影武者?」
「なっ!政宗様っ!何をおっしゃっているのですか!」

政宗の突如とした提案に家康も小十郎も目を見開いて驚いた
もとい前代未聞な提案に小十郎は何処か怒りを含んだ雰囲気を帯びている
しかし影武者を提案された家康は、それ所ではない
さっきまでトラックに轢かれ、病院かと目を覚ましたらタイムスリップしていたのだ
それだけでも大事なのにも関わらず、今度は独眼竜に徳川家康の影武者にされそうになっているのだ
同姓同名だからとは言え、堪ったものではない

「な、なんでそうなるんだ!ですか!」
「顔も声も酷似してる、仕草や性格もほぼ完璧、これ以上ない程に影武者に適してると思わねぇか?小十郎」
「た、確かにそう思いますがしかし」
「ちょっ!人の話を聞いてくれ!」

双竜の二人だけで話が進みそうな事態に家康は慌てて声を張り上げる
二人の雰囲気は、自分の同意ナシに影武者に決められ兼ねない雰囲気であったからだ
しかし政宗は、そんな事は微塵も気にしていないのか面倒くさそうに家康を見据える

「An?なんだ、なんか文句あんのか?」
「当然だ!そもそもワシは身分も証明しきれない怪しい者なんですよ?影武者なんて出来る訳がない!」
「おいおい、アンタ自分の立場を理解してないみたいだな」
どういう事、ですか」

家康は自覚していないと笑う政宗に内心、冷や汗を掻きながらも悟られぬように気丈に背筋を伸ばして真っ直ぐに政宗に視線を合わせる
そんな家康に政宗も微笑んだまま、身を乗り出した体勢で家康を見つめながら説明を始めた

「良いか?確かにアンタは怪しい、だからこそアンタは俺らの監視の元に置かれるのは当然の結果だ、むしろ座敷牢に居ないのが可笑しい位だ」
はい」
「だがアンタは怪我してた上に火傷で眠ってる家康に酷似、いや、瓜二つだ!家康は双子だったのかと思う程にな」
………貴方は何が言いたいんだ?」

本題へと移らない政宗に家康は少し顔を顰めながらも一言も漏らさぬようにとゆっくり言葉を吐く
政宗も焦らしている自覚はあるのか、ニヤリと笑い、家康を たしなめる
小十郎と言えば政宗が話している為か何か言いたそうにしているものの隣に座ったまま押し黙っている
2人の会話がある程度、収まるまでは口を出すつもりはないらしい

「おいおい、そう急かすなよ!要はアンタはその容姿じゃあ簡単には動けない、俺達は家康の容態を隠したいもう分かるな?」
「利害は一致していると言いたいのですか?」
「ま、そういうこった!で?乗るのか?乗らねぇのか?」
……………

察しの良い家康の言葉に満足したのか微笑みを崩さず、政宗はあえて家康に選択させる
そんな答えの見えた選択肢に家康は顔を少し俯かせると言葉が出なかった
ここで引き受けなければ座敷牢に入れられ、元の時代に戻る手がかりを探せなくなるのは目に見えている
それだけは避けたかったが、家康は"徳川家康"となれるのかが不安であった
そして悩んでいると、小十郎が我慢の限界となったらしく政宗に怒りを露にする

「政宗様お言葉ですが此奴は得体も知れぬ輩です」
「小十郎、今は黙ってろ」
「軽率すぎると言っているのです!」
家康が眠ってる今、東軍の動きを決めるのは俺だ!それに、これはコイツが承諾して初めて決まる今は停戦中だが、西軍の奴らに家康が意識不明の重体なんて極上の餌を撒くわけにはいかねぇのは分かるだろ?」

正体不明で徳川家康と同姓同名だと名乗る家康が不安要素でしかないのか、小十郎は険しい顔をして捲し立てる
だがこの小十郎の言い分は当然である
ましてや家康本人は意識不明であった為に本人の承諾もない
しかし政宗も譲る気はないのか、鋭い眼差しで小十郎に言葉を返す

「っ分かりました、今は黙っています」
「悪ぃな、お前の不安も分かっているつもりだ」

結局、政宗の言い分に納得したのか小十郎は少し呆れた表情をしつつも、潔く頭を下げた
すると小十郎の真意や考えは理解していたのか、政宗も微笑み優しく小十郎の肩に手を置く
そんな二人の雰囲気に居づらそうに家康は言葉をかけた

「あのもう大丈夫ですか?」
「おっと!決意は決めたみてぇだなそれじゃあ返事を聞かせてもらおうか?ま、予想は出来てるがな」
「はい影武者となると決めました」
「だろうな、今のアンタにはその選択しか生きる道はねぇよし、小十郎!この秘密はこの場の俺達のみの物だ、誰にも悟られるな」
「御意」

政宗は小十郎の返事に満足そうに頷くと、小十郎は静かに部屋を退室していく
二人でそんな小十郎を見送っていると、フッと思い出したように政宗が家康に向き直る

「それと"家康のフリ"だがな」
「あぁ、どうしたら良いですか?詳しい歴史は知らないんだが」
「気にすんな、そのまんまのアンタで良い」
「へ?」

影武者の要となる部分の話の筈が、政宗は呑気に茶を啜りながら告げてくる
まさか"そのままで良い"と言われるとは思っていなかった家康は目を見開き、驚いた
すると政宗は驚く家康に向けて楽しそうに笑いながら理由を話し始めた

「さっきも言ったがアンタは仕草や性格が完璧だ、だから思った様にすりゃあ良い、公式の場には俺も居るだろうからsupportは任せな」
「なるほどうん!ありがとう、まずは感謝を!」
……………あーそれは素、なんだよな?」
「ん?何がですか?」
「いや、良い気にするな」

政宗の気遣うような言葉に先程よりも不安感が無くなって来たのか、家康はいつものように礼を述べた
しかしその礼に対しての政宗の顔は大変渋い顔をする
果てには元々の性格か?と聞かれ、家康としてはクエスチョンマークしか出てこない
すると政宗は家康の様子で察したのか、有耶無耶にする
そして、そんな事をしていると再び小十郎が部屋の外から声をかけてきた

「政宗様、宜しいでしょうか」
「An?どうした」
「大谷が"徳川"と石田を会わせたいと申し出てきました"徳川"と石田、総大将のみで、と………

今度は入室してくる事無く、外から話し始めた
しかも、その声は何処か固く緊張しており、小十郎が話し終えると2人は納得した
まさか早くも西軍の方から面会を申し込んでくるとは思っていなかったのだ
何より両軍の総大将同士のみという条件
誰が聞いても危険性しか感じられない話である
その為、政宗は苛立ちを隠そうともせずに顔を顰める

「チッ、どうやら早速、正念場らしいな」
「受けるんですか?」
「"家康は大火傷を負ったものの命に別条はない"って言っちまってる、受ける事になるだろうなおい、アンタ武道は何が出来る?」
「ワシですか?とりあえずボクシング拳を使う殴り合いのような経験はある、あと護身として体術を小さい頃に少しかな」

顔も声も家康の知る政宗であったからか、ボクシングの経験を話そうとして通じない事を思い出した家康は慌てて思いつく比喩を選ぶ
また総合格闘技も通じないと考えた家康は体術と言い換える
政宗はボクシングと聞いてキョトンとした顔になったがその後の言葉を聞くと、楽しそうに微笑み、家康の肩を叩く

「体術とは、ますます影武者には適任だなよし!石田に会うぞ」
………宜しいので?」
「あぁ、石田の野郎を騙せたら、大体の奴は騙せられるだろ……ん?あっ!忘れる所だったぜ!本多には影武者の事は教えておけよ、"徳川家康"を守らねぇ本多忠勝なんて怪しまれるだけだからな」
「分かりました、本多にだけ内密に影武者の事を伝えておきます」

政宗は徳川家康の忠臣、本多忠勝の事を思い出すと慌てて小十郎に命令をする
その場の者だけの秘密とは言ったものの本多忠勝が守らないのであれば、顔が瓜二つでも偽物とバレてしまう可能性がある
また忠勝自身も眠っている主人が突然現れては動揺して、突然の事態に対応出来なくなるかもしれない
本多忠勝に影武者の事を伝えないのは得策ではないと考えたのだ
その意図を瞬時に読み取ったのか小十郎は即座に返事を返すと今度こそ下がって行く

その迅速な小十郎の動きに満足した政宗は影武者と共に一息つこうと思い、向き直ると家康はただ畳を見ていた
実は家康は小十郎の報告の時から俯いていたのだが、政宗が気にしていなかったのだ

「おい、どうした?背中の傷でも痛むか?」
「いや、石田って………やっぱり石田三成ですか?」
「当たり前だ、それ以外に誰が居やがる確かに命の危険は否定しねぇが、会いたくないとは言わせねぇぞ」

ユルリと顔を左右に振ると眉を下げ、困った表情で家康は"石田三成か?"と聞いた
その問いに政宗はため息混じりに答えると、困り顔の家康は石田三成と会いたくないのだと感じたのか我が儘を言うな!と嗜めた
すると意外にも家康はまたゆっくりと顔を左右に振り、否定する

「そんな事は言いません、ただワシの知る"石田三成"が心配で
「あぁ、アンタが庇ったって言う………まぁ、アンタの気にする気持ちも分かるがこっちの石田はお前の知る石田じゃねぇ、何より家康を憎んでるんだから心配しても意味はねぇぞ」
「そうか………そうですね、すいません」

心配だと顔を強ばらせながら話す家康に政宗は納得しながらも、はっきりと別人だと言い切ってやる
総大将のみで対話する為に影武者である家康に私情を挟まれて、ボロが出ては困るのだ
ショックを受けるやもと考えていた政宗であったが"石田三成は憎んでいる"と聞いた家康は目を丸くしたかと思えば、ただ静かに微笑んだのみであった


「ヒヒッ!久しいな、徳川?」
「ふふっ、お前の話は時々、聞いていたからワシはそんなに久しぶりな気がしないよ」
「ほう、どんな話かまた聞きたいものよ」
「ワシもまたお前とも、ゆっくり話がしたいものだ」

家康の後ろで構えていた政宗は驚いていた
政宗の心配を余所に、家康は見事に"徳川家康"と同じように振舞ってみせたのだ
あの大谷の皮肉にも笑って返す様は、本当は眠っているのが偽物ではないかと思えてくる
しかしタイムスリップしてきたと言う家康は、あくまでも15歳の何も知らない若造である
大谷相手では小さな事で気付かれるかもしれないと、政宗はさっさと事を済ませようと考えて急かす

「Hey!もういいだろ、"家康"?さっさと石田と顔を突き合わしてこい、付き合わされる俺の身にもなりな」
「あぁ、すまない!また後でな、"独眼竜"」
「徳川、三成はもう部屋で待っておる故、さっさと入りやれ」
「そうだったのか!なら早速、会うとしようか!」
良いから早うにいけ、イケ」

事前に政宗とは呼び方を確認していたが家康は石田三成の事を"三成"と呼ぼうとして止めた
何故なら"徳川家康"が"石田三成"をどのように呼んでいたかなど知らないからだ
もし容易に名を呼んで怪しまれても困ると内心、焦った家康は"三成"と言う名を口の中で留め、明るく振舞うと大谷の小言と共に部屋へと入った
大谷が部屋へと入っていく家康の背をじっと見つめていたとは気付かずに


部屋へと入った家康は腰が抜けそうになった
もしやと考慮していた事だったが、豊臣秀吉の部下で徳川家康と戦ったと武将と歴史で習った"石田三成"の顔は、同級生の石田三成と瓜二つであった
部屋へと入り、目線を向けられただけで今すぐ帰りたいと叫びたくなった気持ちも押さえ込み、静かに三成の対面に置かれていた座布団に正座をする
その間も向けられる目線に家康は微笑みの下で冷や汗が止まらない
気まずい事、この上ないのだ

……あー
……………
………その、久しい、な」
……………
「顔色が悪いが、飯は食べていないのか?」
……………

家康の知る三成とこんなに静かな会話をした事がないなと、何処か的外れな事を思いながら家康は三成の事を観察していた
徳川家康を憎んでいると言っていた政宗の言葉を疑っている訳ではなかったが、家康は会ったら斬りかかられるとばかり思っていたからだ
何故なら"家康の知る同級生の石田三成"はそんな男だからである
しかし話しかけても反応を示さず、ずっと自分を睨む男に家康は同姓同名の別人だと再認識する
それに今の自分の役目をしなければ、と考え直した家康は返事を期待せずに本題へと移る事にした

「なぁどうしてワシと会う気になったんだ?」
……………火傷は、どうだ」
「あ、あぁ!まだ痛みはあるが、なんとか治り始めているよ」
………そうか」

まさか返事が返ってくると思っていなかった家康は一瞬、固まりかけたが調子を取り戻すと言い訳の為に過剰に巻いておいた包帯を撫でて見せた
家康は、あぁ声も彼と同じだ、と何処か現実逃避のような事を考えながら微笑んでみせる
会話としては噛み合っていないのは感じているが、それでも家康は少し自分が落ち着くのを感じた
きっと自分の知る三成も無事な筈だと感じたからだ
そんな風に落ち着きを取り戻し始めていた家康は三成の異常な様子に気付いていなかった

……………私は偽りが嫌いだ」
え?」
「私は私はこの目で見ていた家康が燃える様を
………何が、言いたいんだ?」
「貴様は誰だ家康は家康は生きているのか?」
「っ!?」

三成の言葉を聞いた瞬間、家康は息を呑むのを感じた
決して三成の言葉に驚いたのではない
三成の瞳に驚いたのだ
瞳は何処までも澄み切っているのに何処か淡く渇望の目をしている、そう家康は感じた
歴史の勉強と言うか昔から家康はその名前せいか日本史の教師の歴史の話によく付き合わされていた
そこで頼んでもないのに教えてもらったのだが石田三成と言う武将は徳川家康を憎んでいた、とか仲が悪く嫌っていたと散々聞かされていた
それだけに目の前の男の、まるで生きていて欲しいと渇望している眼差しに家康は動揺した

すると驚きで固まっている家康が気に食わなかったのか、三成は距離を素早く詰めると、家康の胸倉を掴んで押し倒し、改めて尋ねてきた

「答えろ!奴は生きているのか!!!」
「うぁっ!ぐっ!…………はっ貴方は、家康、殿が生きていて欲しいのか?」
「っ!………何?」

唸れような声で向けられた視線で肌が焼けるようなビリビリとひりつく感覚を感じながら家康は冷静に、あぁこれが本物の殺気と言うものか、と何処か他人事のように考えながら三成を静かに見つめた

「違うのか?」
黙れ、貴様は何者だ何故、家康と同じ姿や声どころか同じ気配を纏っている忍術にして出来すぎている
「悪いが生まれてから一度も整形はしていないよ」
「せいけい?何を言っている
……………貴方は未来から来たと、言って信じてくれるか?」
「っ!なんだと?」

家康は頭の片隅で早速バレてしまったなぁと考えながらも素直に告げたいと思った
せめて"この三成"に対してだけでも少し素直に話したいと思ったのだ
信じてもらえなくても構わないから話してみたかった
自分の知る三成を相手に話せない事も"彼"には話せるような気がしたのだ
すると意外にも三成は思った以上の反応を見せた
馬乗りになったままなのは変わりなかったが胸倉を掴む手は外し、何処か戸惑ったような表情を見せた

「えっと石田殿?」
貴様の名は家康と同じ名か?」
「え?あ、あぁ、そうだが
私の元にも私と同じ名を名乗る者がいる」
「えっ!ほ、本当か?け、怪我三成は無事なのか!?」
………先に家康の生死を言え、引き換えだ」

引き換えだと言う三成に家康の判断は素早かった
元々、包み隠さずに話したいと思っていたのも背中を押したのだろう
家康は心の中で政宗に1つ詫びを唱えた後、真っ直ぐに見つめ返しながら自分の知りうる情報を伝えた

………家康殿は生きているが意識はなく眠っている」
……………生きて、いるか」
………っ石田殿!教えてくれ!三成は無事なのか?」
大阪城の牢屋だ、怪我は浅く大事ない」
「そうかそうか!良かった無事で
………貴様は信じるのか、私の言葉を」
「え?」

三成の言葉を聞いた家康は己の危険な状態も気にする事無く、三成の無事を確認して安堵のあまり肩の力を抜いた
そんな家康をまだ得体の知れない輩と思っているのか、三成は家康に馬乗りのまま
ただ家康の両横に両手をついて静かに訪ねてきた
だが三成の質問は正しい
何故ならば三成は、"西軍総大将"なのだ
家康が偽物である事をアッサリと認めるべきではないし、何より敵軍である三成の言葉を信じるなのど、家康はどうかしているのだ

「私は貴様の敵には違いないのだぞ、今すぐ貴様の首を跳ねられる」
「っん」

三成の言葉に固まっている家康にこれは好都合と、脅し文句まで言い出した三成は押し倒したまま状態で家康の腕を掴むともう片方の腕で首筋をスルリと撫でた
その撫でられた感覚にくすぐったさを感じながらも家康は抵抗せずにされるがままの状態で真っ直ぐ三成を見つめながら答えた

「ワシが知る三成は無抵抗の人間を意味なく斬るような卑怯な男ではない」
私は貴様の知る男ではないぞ」
「でも貴方はワシの首を斬りも締めたりもしないじゃないか」
「だからなんだ、信じる理由にはならん」
貴方が何を求めているか分からないがワシは石田三成と言う男が嘘を言うような男ではないと思った、それではいけないか?」
「っ!………
「?石田殿?」

命の危険を感じても可笑しくない状態であろうと真っ直ぐに向き合うように見つめてくる家康の瞳に三成は、たじろいだ
今は眠っている方の家康をその目を見たことにより思い浮かべたのだ
しかしそんな事は露ほども気付いていない家康は内心、いい加減この態勢は見られたら大事になりそうだなぁと何処か他人事のように思いながら目の前の三成をただ見つめた
すると暫くして黙り込んでいた三成が舌打ち1つ、した後に彼らしくもない小さな声でボソリと尋ねてきた

チッ、おい、貴様、会いたいか?私と同名を名乗る男に」
「え?えっ!会わせてくれるのか!」
「構わん、だが条件がある、家康に会わせろ」
「そ、それは難しい何より彼は眠っていて会いに来れるような容態じゃないと思う
私が会いに行けば良い事だ」
「だが………いや……分かった、何処まで交渉出来るか分からないが頼んでみるよ!政宗殿を呼んでも良いか?相談したい」
………好きにしろ」


to be continued?



ーーあとがきーー
と言う所まで考えて、1人ニヤニヤしてました←
ネタは歴史小説「影武者 徳川家康」の本人にくりそつな影武者の家康と、ゲームの学バサ衣装で動く家康を使っていたら思いつきました
あと分かりづらいですが、高校生の方の家康の背中には三成を庇った為に肩から腰にかけて傷があります

これに関しては続きを書きたいとは思っていますが自己満足なのでやめておきます(;´∀`)