【失笑の歌と蒼い月】終章B

一ページ目必読
※Ibパロ



カンジはポシェットから、マチェットを取り出す。漫画家と呼ばれる〈作品〉から貰ったこれなら、あの茨を切り刻むことができるだろう。冷静を保つよう慎重に、それでいて素早く刃を振り上げる。

ガシャンッッ!!
扉が破壊される音と、息を呑む気配。振り返っている暇はない。高く掲げたマチェットを、力の限り振り下ろす。刃にあっさり裂かれた茨たちは、細い太い関係なくビリビリに破れる。何度も何度も振り上げて、何度も何度も振り下ろす。


ガタン、と。固いものが落ちる音。振り返れば、額縁を落とした半身が居た。親友の姿をした半身は、呆然とした顔でカンジを否、本を見つめている。哀しそうな、悔しそうな顔。膝をついて蹲り、やがて彼は倒れ伏す。残ったのは、空っぽの額縁と友人の身体だけ。

荒い息を整えたカンジは、ようやく自分が本に繋がっていた茨を全て裂いたことを理解する。額縁に繋がっていた茨はバラバラになっており、床を点々と彩る。天井や壁に突き刺さっていた茨は根本から破れて、ポッキリと折れているのが見える。


ふと気付く。ここは、最後に意識を失った場所あの通路とは違うらしい。自分が意識を失っている間に、別の場所へ移動させられたのだろうか。とにかく今は現状把握を優先しようと、改めて周囲を確認する。