ツキシキ
2024-03-03 10:55:49
15076文字
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★crsmまとめ

仮住まとめ。オールキャラ、名前変換無しモブ、ネームレス夢含む。



祭りごとには是非も無し


理解とふみやが多めのオールキャラ。テーマ「パーティ」。
カリスマWebオンリーイベント「Caricature Party!!!」様のアフター企画「カリパ3アフターパーティー」に参加いたしました。
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「次の休みさあ、僕を讃えるパーティを開くことにしたから。ここで」テラが明朗と宣言したのが始まりだった。

「はぁいお任せあれっ! 満漢全席はありきたりかなぁ、うーん……」降って湧いた負荷に喜んだのは依央利で、

「ホールケーキ食べたい。アイスケーキもいいな。あとフィナンシェとプリンアラモードと……」ふみやがちゃっかり追加発注をした。

「では、余興の方はお任せを」新しいパフォーマンスを披露できると天彦が微笑み、

「俺は知らねえ、勝手にしろよ」意見を伺われなかったおかげで慧は反発せずに済み、

「クソ吉はお邪魔にならないよう野宿します……」と身一つで出て行きかける大瀬を、テラが呼び止めて会場の飾りつけ役に任命した。



 ……よって、眉間にしわを寄せているのは理解だけになってしまったのである。



 ◆◆◆



 むっつりと口をへの字に折り曲げたまま、理解は商店街を歩く。へそを曲げていても背筋と手足は真っ直ぐに伸びているのが理解の有り様だ。隣を歩くふみやは対照的に、だらりとしているものだから、自然と二人の距離は開いた。

「ふみやさんほら、もっとシャキッと歩く!」
「しゃきー」
「ぜんっぜん、シャキッとしてない! 口だけなんだからもう!」

 普段から世のため社会のため努める理解だが、この日は小言の頻度が増していた。ついには同居人にも痺れを切らされ、買い出しというテイの元に追い出されてしまう始末。そこにふみやが添えられたのは、あわよくばパーティに乗じて諸々グレーな行いを成そうとする彼を留めるためでもあった。相互にお目付け役となれるのはカリスマたちの美点とも言えた。

「理解。クラッカーあった」

 ふみやはのらくらと本題を出してお𠮟りから逃れる。言われた理解は、目標の遂行に忠実に、あっさりと流された。

「よし、ではここで他の物も揃えてしまいましょう」

 教科書体の手書きメモを一読、方向転換ヨシ。理解はスタスタと店内の奥へと向かう。
 ……そうして視線が逸れた隙に、ふみやはちらりと背後を伺い、勤勉な奴隷の影がないことを確認する。料理の仕込みに忙しいはずの依央利だが、いつ負荷を求めて電光石火を発揮するやらわからない。だとすれば、本題は早いうち切り出すべきだ。





「で、理解はどうするの」

 おつかいをこなした帰り道、ふみやはぼそりと呟いた。

「どうするって、何をですか」
「パーティ。気乗りしないなら、いいんじゃない、それ捨てても」

 指されたのは今しがた買い終わった、パーティの準備物だ。二度、瞬きをする。

「ポイ捨てなんてふざけた真似はしませんしさせません」
「ああそっちなんだ」

 ふみやは笑い、悪意のないその笑みに、しかし理解は目を逸らした。論点がずれている自覚はあった。

……ちゃんと、やりますとも。頼まれて引き受けたのだから」

 言い直してはみたものの、どこか自分の中ですら噛み合わない。理解はうつむき、己に問い直す。確固たるものとして存在するはずの正しさを求めて。
 白一色の床面で角砂糖を探すような行いだ。空いた沈黙に、ふみやが差し込んだ。

「パーティさあ、ぶっ壊してもいいんじゃね」
「なっ……
「もう依央利はケーキ作り終わっただろうし。めちゃくちゃにするのもそれもそれで面白そうだ」
「よくないだろうが!」
「なんで?」

 予想通りの返事だが、それでも理解は口を噤まざるを得なかった。
 よくない。やると決めたことを曖昧にしてしまうのも、パーティーにはしゃぐ皆の喜ぶ顔が潰れてしまうのも、よくない。そう理解は思うのに、なぜか断言できない。

「壊したいわけじゃないんだ……

 落ちた声は独り言のようだった。ふみやはそれを軽々と拾い上げる。

「なら、嫌?」
「嫌だなんて。誰かの記念日を祝うことは素晴らしいものです。他にも、四季折々の行事に参加することは伝統を守っていくうえで大切なことで……

 理解は零れ落ちていく言葉を留め、グッと拳を握る。

「でも、今日は何でもない日だ」

 重々しい理解と対照的に、ふみやは首を傾げた。

「いいじゃん。何でもない日、おめでとう」
「いえ。足るを知るも大切なんです。何でもない日にパーティーなんて……これが上手くいってしまったら、テラさんのことだ。毎日開催しかねないでしょう?」

 言いながら、これだという感覚に指先が触れた。身体のうちへ反響する自分の声で、改めてその確信を強めていく。

「祝い事も毎日起これば日常だ。それじゃあいつか……せっかくの楽しい時間が、そうと感じられなくなるかもしれない……

 理解の心がつまずき続けていた小さな粒は、きっとここにある。

「日々質素堅実に生きるからこそ、特別な日が輝く! そう思うでしょうふみやさん!」

 理解はガバリと顔をあげ、隣のふみやに同意を求めた。


 いない。


「ハイ?」

 慌てて辺りを見回す。カフェなしケーキ屋なし街角スイーツキッチンカーなし。ひとまず呼びかけようと理解が大きく息を吸い込んだその時、

「みぃつけたぁ……
「ぃいい゛っ!?」

 泥よりも重く粘っこい声が背にまとわりついた。

「ひどいよぉ理解くぅん……奴隷を差し置いて買い出しなんてさぁ……
「いえ依央利さん、これには理由が……なんだそれはぁっ!?」

 ぎょっ、と目をむく理解にふみやが悠々と手を振った。依央利が引いている荷車に乗り、空いた片手でマフィンを頬張りながら。

「奴隷特製タクシーだよ……? ぜぇ……はぁ……。二人が負荷をくれないからさぁ……。こうなったら、もう、自主的に僕が送り迎えするしかないよねぇぇええ?」
「いやっ、だってほら息切れしてるし! 歩きます! 理解、歩けますから! ほらふみやさんも降りる!」
「えー」
「えーじゃない!」
「理解くん……? そうやって奴隷から負荷を奪う気なら、後ですごい目見ちゃうよ……? 帰ってすぐに、豆を挽いて淹れるコーヒーをお茶菓子と共にお出ししちゃうんだからね……?」
「え、あ、ありがとうございます。…………違う!!」
「俺はホットチョコレートがいい」
「かしこまりっ! ホイップクリームもつけるね!! 腱鞘炎まっしぐら、腕が鳴るなあ!!」
「ふ・み・や、さん!! どさくさに紛れて注文するんじゃない!」

 やぁやぁと賑やかに、彼らの帰路は凡人からすれば奇妙な漫才になり果てる。



 ◆◆◆



 ひとしきりやいのと騒いで、無事家にたどり着き、一息。ちょうど理解が顔を上げたタイミングだった。

「また特別にすればいいじゃん」

 まっすぐ理解の目を見て、ふみやは言う。理解が前後の文脈を測りかねていると、言葉が重ねられた。

「さっきの、毎日パーティになっちゃったら、のやつ。そんときには皆、パーティすんのにも飽きてるだろ。そんでいつも通りが特別に見えて、戻って、忘れた頃にまた誰かが気まぐれでパーティするって言いだしてさ」

 ふみやは手をくるくると表向けては裏返す。見える角度は変われど、そこに彼の手があることに変わりはない。

「心配しなくても、ずっとこんな感じだって」
……はは、」

 当たり前のことだ。だが、見逃しやすいことでもあった。理解の肩から力が抜けて、気づけば笑ってしまっていた。



 聞きつけたわけでもないだろうが、どこからともなく皆が集まってくる。

「なになに、テラくんは一生素晴らしいって話? うんうん、それどころかどんどん美に磨きをかけていくのがテラくんなんだよね。ハァッさすがテラくん……!」くらりと己に酔うのがテラであり、

「おっとセクシーな鼻血がこちらにも……」天彦は鼻血を拭う、と見せかけて華麗に衣服を脱ぎ散らかす。

「回収回収っと。シミ抜きも着替えの準備もお任せあれっ」依央利が素早くランドリーへと駆け出し、

「おいコラ天彦、じわじわ近寄ってくんな! 踊るな! 晒すな! ポールを出すな!!」慧は対極の磁石めいた動きで天彦から後ずさり、

「あぁぁあのっ…………自分がモロダシすっぽんぽんになります!」大瀬が慧を庇おうと割って入り、逆にツッコミを受ける始末。

「はっはっは」他人事めいたふみやの笑いは、大騒ぎの中でもなぜだか明瞭だ。



 よって、今日も理解は大きく息を吸う。

…………おまえらいい加減にしろーーーッ!!!!」

 青筋を立てて甲高く鳴らされるホイッスル。突き抜けるその音は、どこまでも真っ直ぐで揺るがない。
 かくして今日も変わらぬ特別な日々が、つつがなく開催されるのだった。





¦CHARISMA CHARGE SUCCESS¦